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- 第18回JEITA会長賞受賞者
第18回JEITA会長賞受賞者
- 受賞者:平川 秀治 氏 (一般財団法人日本規格協会)
- テーマ:IEC国際標準化活動を通じた日本の電子情報産業の国際競争力強化への貢献(IEC/TC 100・TC 124等の国際標準化活動)」
氏は、IEC/TC 100(オーディオ・ビデオ・マルチメディアシステム及び機器)およびTC 124(ウェアラブルエレクトロニックデバイス及びテクノロジー)において国際幹事・国際議長を歴任するとともに、IEC標準管理評議会(SMB)日本代表委員として標準化体制の構築にも寄与した。特にオーディオ・ビデオ機器の消費電力測定方法に関する国際規格の策定を主導し、当該分野における評価手法の国際的基盤の確立を推進した。一連の活動は、標準化活動を通じた我が国電子情報産業の国際的プレゼンスの向上に貢献したものと評価する。
JEITA会長賞受賞に寄せて(平川 秀治氏)
この度、このような素晴らしい賞をいただき、たいへん光栄に存じます。標準化活動にご理解いただき、ご指導、ご協力いただいた関係者の皆様を代表しての受賞と受け止めており、心から感謝、御礼申し上げます。
JEITA関連分野での国際標準化活動を主導
私は、JEITA(一般社団法人電子情報技術産業協会)が引き受け団体となっているIEC TC100(オーディオ・ビデオ・マルチメディアシステム及び機器)では2004年から2010年まで国際幹事として、IEC TC124(ウェアラブルエレクトロニックデバイス及びテクノロジー)では2017年から2026年まで国際議長として、IECエレクトロニクス分野でIEC国際標準化活動を主導してまいりました。
その間、TC 100では大画面フラットパネルテレビジョン受信機の消費電力を測定するIEC 62087 Edition2の制定が大きな成果でした。もちろん、国際議長、国際副幹事、規格開発を行うエキスパートの活躍が重要であったことは言うまでもありません。この規格は大画面フラットパネル型ディスプレイでプラズマタイプと液晶タイプが競っていた時代にTV受信機の消費電力測定を実際の放送波と同様のAPL(平均画像レベル)で測定できるテスト信号をDVDとBlu-ray Discに入れて販売した規格です。2008年12月のIEC広報では「World’s most boring DVD and Blu-ray Disc™ to measure energy efficiency of new generation TVs」と紹介されています。このテスト信号は、長時間の放送コンテンツから作成したAPLマスターにできるだけ近い(下図参照)ものになっています。多くのTVメーカ、試験機関がこの「世界一つまらないDVD/Blue-ray Disc」を購入しましたので、この規格はIEC中央事務局(当時)での規格販売第1位を記録しました。
Figure C.1 – Dynamic broadcast-content video signal APL′
また、当時はForum標準として広く普及していたUSF-IF規格をTC 100で国際標準にすることが望ましいとして、米国オレゴン州にあるUSB-IF事務所を2度訪問、TC 100でIEC規格化を進めることとなりました。現在IECはUSB-IF規格をIEC 62680シリーズとして13規格文書を発行しています。近年、欧州指令が充電インターフェースをUSB Type-Cとするように指定したのは、USB-IF規格が既にIEC規格化されていたことが大きな要因です。 その他、TC 100関連では、日本企業が深く関わるECHONET関連規格、DLNA規格をIEC国際規格に格上げすることができました。
Directives Part 1(DP1)関連では、TC 100の内部文書であった独自の運営規則を2010年発行第5版Supplement – Procedures specific to IECに入れることができました。TC 100独自のTechnical Area (TA)がDP 1 Supplementに記載されたことでSub-Committee同格と公式に認知され日本NCの国際幹事国数、国際議長数を大きく増すことができました。
日本NC代表SMB委員に就任、幹事国獲得に尽力
2011年1月から前任でJEITA所管のTC 91元国際幹事であった原田SMB委員の後任として、私が日本NC代表SMB委員に就任、2016年末まで活動いたしました。SMBはTCリーダの業務とは異なり、Directivesに書いていないことを審議する組織です。以前からIECで議論されていたSystems Approachを深耕してSystems Committee(SyC)の仕組みを作りDP 1 IEC Supplementに追加することになりました。その3番目のSyC Smart Citesでは日本人では初めてのSyC議長を実現できました。また、LiaisonはDP 1ではObserverと記載されていましたが、私が主査となったSMB ahGでLiaison Officerと改称することを提案、SMBで審議の結果、最終的にLiaison Representativeとの名称でDP 1に記載されました。現在、総ての技術委員会のWebページにこの用語が記述されています。
SMBはTCを新設を審議、承認します。2012年10月発足のTC 120(Electrical Energy Storage (EES) systems)、2013年11月のTC 122(UHV AC transmission systems)、2016年11月のTC 123(Management of network assets in power systems)の3つの新TC設立に関与し、日本NCは、これらTCの幹事国を獲得することができました。
また、2014年10月のIEC東京大会時に韓国NC提案のWearable Device新TC提案はSMB傘下のStrategic Group 10で検討、日本NCは新TC設立をサポートしたこともあり、2016年10月のSMB会合で新TC設置の方向で手続き開始となりました。日本からTC議長を出すことで国際幹事国候補の韓国NC代表が同意、私がTC 124議長となることが内定しました。新議長就任の正式承認は2017年6月、同年7月1日からTC 124 (Wearable electronic devices and technologies)議長となりました。このTCはJEITAが引き受け団体で、TC発足以来活発に国際標準化活動を行っております。本年6月末までが任期で、後任議長も日本NCから出る予定です。
国際標準化では幹事国、議長、コンビナ等のポストが重要
7年間のTC 100国際幹事、6年間のSMB日本代表委員、9年間のTC 124議長での活動を通して学習したことは、国際標準化ではTC/SCの幹事国、議長、コンビナのポストを確保することが重要、ということです。本年10月のDP 1改定では、IECに於いても幹事国の意向のみで議長を選任できる様になります。
2004年のTC 100幹事国引き受けは、それまでの日本NCの活動が顕著であったことが評価され、オランダから幹事国を譲り受けることができました。しかし、その後、日本NCが幹事国を譲り受けたのはSyC AALのみ、しかも、IEC事務局からです。日本NCが幹事国を獲得できるのは新TC設立時です。TC 120、TC 123は日本NCが新TC提案しましたので、設立が決り、自動的に幹事国を獲得できました。TC 122はNC以外の提案であったため、幹事国はSMB委員15票で決することに。事前活動が有効に働き、最初の投票で2/3以上を得票、1回の投票のみで日本NCが幹事国と決まりました。
実際の規格開発段階では、WGコンビナのポストが重要です。新しいWGを提案するとコンビナが獲得できます。もう一つの方法は、WGで活発に活動してポストが来るのを待つことです。何れもNCとしての長期的な戦略が必要です。とはいえ、国際幹事、議長の立場からすると、多くのPメンバ国にコンビナのポストを割り振り、TC/SC全体の活発化を図ることも重要です。
私のTC 124議長任期は今月末までですが、引き続き日本NCメンバとして標準化活動に微力ならが関わらせていただく所存です。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
略歴:平川 秀治 氏
1978年株式会社東芝入社。以降、放送局向け機材の開発設計に携わる。その後、アナログハイビジョン放送システム(MUSE)、2.6GHz衛星デジタル音声放送システム開発、ケーブルテレビジョンシステムでの高速インターネットサービスシステム開発に従事。関連して、電波産業会、ITU-R SG 6、ITU-T SG 9の標準化活動に参加。2003年本社技術部に異動、東芝全体の標準化活動管理業務に従事。2017年7月-2021年6月(一財)日本規格協会理事。2007年産業標準化事業表彰 経済産業大臣表彰、2018年同・内閣総理大臣表彰受賞。2014年IEC Lord Kelvin賞受賞。