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  • 第18回JEITA会長賞受賞者
2026年6月17日

第18回JEITA会長賞受賞者

  • 受賞者:鈴木 敏厚 氏 (日本ケミコン株式会社)
  • テーマ:「IEC/TC 40における標準化活動の推進及び次世代標準化人材の育成」
氏は、IEC/TC 40(電子機器用コンデンサ及び抵抗器)において長年にわたり委員会運営および規格制定・改訂に携わり、特に電気二重層コンデンサの充放電効率に関する性能評価手法の整備を主導し、製品設計や性能比較の合理化および適正な性能表示の確保を実現した。さらに、多様な講義、演習の企画・立案等を通じて標準化人材の育成にも取り組んできた。一連の活動は、評価手法の国際的整合を通じた信頼性向上と適正な市場形成に加え、標準化活動を担う人材基盤の強化にも寄与したものと評価する。

JEITA会長賞受賞に寄せて(鈴木 敏厚 氏)

この度、このような素晴らしい賞をいただき、たいへん光栄に存じます。今回の受賞は、標準化活動においてご指導、ご協力を賜りました皆様、ならびに活動をご理解いただき温かくご支援いただいた皆様のおかげと受け止めております。心より感謝申し上げます。

省エネルギー分野への標準化貢献

私は現在、JEITA(一般社団法人電子情報技術産業協会)において、電子部品分野(IEC/TC40)のIEC規格(国際規格)及びJIS(日本産業規格)の制定・改正に関わる標準化活動に携わっております。また、国際会議への参加を通じて、我が国の意見を反映した国際規格の策定にも取り組んでおります。

  • ※IEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)
  • ※IEC/TC40(電子機器用コンデンサ及び抵抗器)

電子部品の中の一つにコンデンサという製品があります。その中でも電気二重層コンデンサ(EDLC)は、一般的な二次電池と比較して、急速な充放電が可能であり、かつサイクル劣化が小さく長寿命であることから、回生用途をはじめとする省エネ分野や瞬時停電対策など、様々な分野で活用が広がっています。また、EDLCは「環境にやさしい」とされますが、その理由として、①重金属を使用しない、②エネルギー効率が高い、③長寿命であることから廃棄物(産業廃棄物)を削減できる、といった点が挙げられます。

IEC 62391-1(電気二重層コンデンサ品目別通則)の改訂においては、各国間で充放電効率の算出式について意見の相違がありました。その審議において、プロジェクトリーダーとして論点を整理するとともに、技術的な裏付けデータに基づき議論を進行し、最終的に合意形成に至りました。 また、IEC/TC69(電動道路車両・産業車両用の電力/エネルギー伝達システム)国内委員会の規格開発に協力し、IEC 62576(ハイブリッド自動車用電気二重層キャパシタの電気的性能の試験方法)の制定に携わりました。その他、IEC/TC9(鉄道用電気設備とシステム)の規格開発に協力し、IEC 61881-3(鉄道車両-電力用コンデンサ-第3部:電気二重層キャパシタ)の制定に携わり、同規格にIEC 62576に規定する容量及び内部抵抗の測定法を反映しました。さらに,この測定法をIEC 62391-1改訂時に新たに「クラス5」として取り込むことを国際提案し、審議の結果採用されました。 以上により、各種市場における測定方法の標準化が確立され、公正な評価が可能となりました。

次世代標準化人材の育成貢献

標準化活動を進める上で、我が国にとって次世代の標準化人材を育成することは、規格開発とともに非常に重要な取り組みです。国際会議では、近年特に新興国が積極的に自国に有利となるような提案を行っています。そのような状況の中で、我が国としても継続的に国際規格に意見を反映させていくことが求められます。我が国が得意とする小型化技術などでは標準化をリードし、また、他国からの有害な提案は無害化していくことが必要です。

標準化は長期的に継続して対応することが望ましいですが、実際は各企業の事情によりメンバー交代が発生することも多く、知見の継承と標準化人材の短期育成が急務となっています。こうした状況への対応の一環として、新たに加わったメンバーが早期に実務に参画できるよう、教育研修会を継続的に企画・実施し、演習、意見交換およびケーススタディなども取り入れ、理解の促進と実践力の向上を図りました。また活動報告会では実務経験豊富な講師を招致し標準化特別講演を実施しました。講演内容については、初心者にも分かりやすいよう基礎的な説明を盛り込んだ資料の作成を講師に依頼するとともに、失敗事例についても可能な限り盛り込むよう働きかけました。標準化においては、成功事例の紹介はもちろん重要ですが、「なぜうまくいかなかったのか」「どのようにすればよかったのか」「どのようなデメリット(損害)が生じてしまったのか」といった失敗からの視点も、成功例と同様に貴重な知見であると考えています。 また、自ら教育研修会の講師も務め、標準化担当者のみならず、その上司の方にも理解いただける内容となるよう心掛け、標準化への見識を深めていただくことを意識しました。

その他の取り組みの一例として、実務上の課題を踏まえ、「ISO/IEC Directives」を日本語で分かりやすく検索できるガイダンスブックの作成に取り組みました。同ガイダンスブックは、IEC/TC100国内委員会で作成された教材(逆引き集)を基に、同委員会からの助言も受けながら、国内委員会の実情に合わせて再構成を行いました。 IEC/TC 40、SC 37A/B、SC 48B、TC 51の4つの国内委員会に対応する形で内容を整理するとともに、ISO/IEC Directivesの改訂や新たに寄せられた質問を反映し、継続的に更新を行いました。

これらの活動を通じて、IEC規格の制定・改訂においてプロジェクトリーダー/エキスパートを担う標準化人材の育成に加え、教育・支援体制の整備により我が国の製造業における標準化への理解がさらに深まれば幸いに存じます。あわせて、これらの取り組みが我が国の製品の市場拡大にさらに大きく貢献することを期待しております。 今回の受賞を励みとし、引き続き標準化活動に取り組んでまいります。

国際標準化人材教育研修会の様子(2019年2月)

略歴:鈴木 敏厚 氏

1991年日本ケミコン株式会社入社。EDLCの開発・設計に従事。2008年からJEITAの標準化関連PGに参画。2013年標準化活動奨励者表彰 (鉄道技術標準化調査検討会/国土交通省)、2014年 IEC 1906賞(IEC)、2016年IEC活動推進会議議長賞(日本規格協会 IEC活動推進会議)、2018年産業技術環境局長表彰(経済産業省)、2021年JEITA電子部品部会表彰(JEITA)、2025年経済産業大臣表彰(経済産業省)

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