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2026年6月17日

第18回JEITA会長賞受賞者

  • 受賞者: 芝原 嘉彦 氏 (富士フイルムホールディングス株式会社)
  • テーマ:「IEC/TC 110(電子ディスプレイ)の国際標準化事業」
氏は、IEC/TC 110(電子ディスプレイ)において国際幹事として委員会運営を統括し、運営体制の整備や進行管理の強化を通じて同分野の発展に大きく貢献した。さらに、AR/VR関連プロジェクトの立ち上げやGHG定量化の検討開始など、将来技術および社会課題を見据えた取組を進めている。一連の活動は、電子ディスプレイ分野における国際標準化活動の発展を支えるとともに、我が国の産業競争力の強化に寄与したものと評価する。

JEITA会長賞受賞に寄せて(芝原 嘉彦氏)

このたび、第18回JEITA会長賞という栄えある賞を賜り、身に余る光栄に存じます。本受賞は、長年にわたり標準化活動にご理解を賜り、温かいご指導とご支援をいただいた関係者の皆様のお力添えによるものであり、心より感謝申し上げます。

IEC/TC 110とは

IEC/TC 110は、電子ディスプレイ分野のIEC国際標準化を担う技術委員会(TC)であり、世界18か国から約260名の専門家(エキスパート)が参加しています。電子ディスプレイおよびそのコンポーネントに関する性能評価や信頼性試験の標準化を推進しており、技術分野・ディスプレイタイプ別に設置された12の作業グループ(WG)が活動しています。毎年約10件のIEC文書を発行し、電子ディスプレイ産業の発展を支えています。

対象は、テレビ、モニター、スマートフォン、アイウェア、サイネージ、電子ペーパーなど電子ディスプレイ全般に及び、3D・空中表示、フレキシブル、タッチ&インタラクションなど多様な機能領域も扱っています。

さらに近年では、電子ディスプレイから排出される温室効果ガス(GHG)の定量化など、環境側面の検討にも着手しています。

IEC/TC 110標準化の意義

電子ディスプレイの性能や信頼性について、適正な測定法・試験法を標準化することにより、サプライチェーン間の円滑な意思疎通が可能となり、お客様に正確な性能情報を提供できます。これは品質・信頼性の向上、さらには業界と市場の健全な発展につながっています。また、ディスプレイおよびそのコンポーネント、測定試験機器、ソフトウェアなど裾野の広い産業の成長を支援するとともに、GHG定量化など社会課題の解決にも貢献しています。

2021年3月の参議院予算委員会で標準化の重要性が議論された際には、適正な品質評価と市場拡大に寄与した事例として、第一にIEC/TC 110の標準化が取り上げられました。

国際幹事としての貢献内容

IEC/TC 110は日本が幹事国を務めており、JEITAが幹事団体となっています。私は2012年にTC 110の国際幹事に就任し、その運営面・技術面のマネジメントを担ってまいりました。

その中で、成長分野のWG(インタラクティブ、アイウェア・ディスプレイ等)や、社会的重要性が高まる環境分野のWG(GHG定量)の早期立ち上げを主導しました。また、従来は技術別に議論されていた測定法・信頼性試験法について、横断的に標準化するWGを設置し、より統一的な標準化を可能にしました。その結果、参加国(Pメンバー)、エキスパート数ともに倍増し、TC 110全体の活動の活性化につながりました。

さらに、新規課題に迅速に対応を目的として「TC 110版ホットトピック・レーダー」を導入するとともに、新規提案の質を高め効率的な議論を促すPWI提案テンプレートを作成しました。このテンプレートは現在、ほぼすべてのPWI提案に適用するに至っており、他のTCの参考にもなっています。

また、電子ディスプレイの重要性の高まりと応用分野の拡大に伴い、他TCとの間で重複課題が生じるケースも増えてきました。こうした状況に対応するため、ジョイント・アドバイザリー・グループ(JAG)を設立し、コンビナーとして調整を進めてまいりました。IEC全体として高品質で整合性の取れた標準化が効率的かつ適切に進むよう尽力しています。

さいごに

こうした標準化活動を支えるのは、各WGのコンビナー、プロジェクトリーダー、エキスパートの皆様の多大なご尽力です。皆様には年3回の国際会議にも積極的に参加いただき、課題解決に向けて献身的に取り組んでいただいております。今回の受賞は、まさにこれら多くの皆様の活動が評価されたものであり、私はその代表として受賞させていただいたものと受け止めております。

電子ディスプレイは、人と情報・機器をつなぐ重要なインターフェースとして今後も進化を続けます。環境対応や新たな応用領域の拡大など、標準化に求められる役割は一層大きくなると考えております。引き続き、国際標準化を通じて産業界と社会の発展に貢献できるよう、微力ながら尽力してまいります。

最後になりますが、これまでご支援くださったすべての皆様に、心より御礼申し上げます。

略歴: 芝原 嘉彦 氏

1978年京都大学修士課程修了、富士フイルム株式会社入社。写真材料や電子ディスプレイ材料の研究開発に従事。2006年より同社国際標準化推進室で国際標準化に専念。2012年よりIEC/TC 110(電子ディスプレイ)国際幹事。主な受賞歴は、2012年 工業標準化事業 経済産業大臣賞、2023年 IEC トーマス・エジソン賞。

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