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活動報告事業推進部

IEC TC124ヘルシンキ会議報告

TC124概要
IEC TC124(ウェアラブルエレクトロニクス):2017年7月に設立、現在、国際議長:平川秀治氏(東京電機大学)Pメンバー(投票権を持つ国):13カ国、Oメンバー(オブザーバーの国):10カ国、傘下に4のWG(Working Group)がある。なお、TC124の受託審議団体はJEITAであり、TC124国内委員会・委員長には相澤氏(東京大学)、幹事長には前田氏(東京大学)が就任し、議事運営を行っている。

A. ヘルシンキ会議

IEC TC124(Wearable Electronic Devices and Technologies)の中間会議がフィンランドのヘルシンキで開催されました。会場はヘルシンキの隣町、地下鉄で20分ほどのエスポ―にあるアールト大学工学部、緑に囲まれた素敵なキャンパスでした。
IEC TC124では発足以来、これまでは比較的基本的な部品や素材(E-textiles)、センサー類の評価方法に関する標準化提案が主体で、提案国も幹事国である韓国からが多数を占めていました。この状況に大きな変化はありません。
しかし、最近は、前記に加えて、ウェアラブル装置を用いたストレス評価、睡眠評価あるいはウェアラブル機器から得られた情報のセキュリティなど、提案対象がウェアラブル装置の応用面に広がってきています。提案対象の広がりとともに提案国も、欧米、インドなど広がりつつあります。

扱う対象領域が、ウェアラブル機器から得られる情報になると、ISO/IEC JTC1との関係整理が必要になります。実際JTC1 SC6、JTC1 SC41から、SCOPEが重複する領域の標準化提案が出てきており、現在JWGで取り組むための準備が進められています。
日本は、このような状況を予想して、数年前から、ウェアラブル装置の通信とインターフェイスを扱う新WGの設立を提案してきており、難色を示す幹事国を押し切って、昨年秋にようやくWG8を設立させ、コンビナー席を獲得することができました。今後、JTC1との関係について、WG8を核にして日本が主導的な立場で対応していくことが可能となります。これにより、日本はウェアラブル装置の応用面に関する標準化に積極的に関与していける足がかりを築けたと言ってよいでしょう。
TC124の国内委員会、専門委員化ではこのような状況変化に対応してゆくために、これまで以上に、エレクトロニクス関連企業、IT系企業からのエキスパート参加が求められてきます。

<主なWGの活動状況>

1. E-textiles(WG2)

エナジーハーベスティング用の摩擦発電やピエゾ発電に関する下記規格について、審議され、それぞれ、CD(Committee Draft)段階に進むことになりました。
・IEC 63203-203-1 ED1
・IEC 63203-203-2 ED1

2. Devices and Systems(WG4)

ストレス、睡眠などの評価システムに関する下記規格について、審議が行われました。
・IEC 63203-402-X: Wearable electronic devices and technologies - Part 402-X: Performance of stress measurements in wearables
・IEC 63203-402-X: Wearable electronic devices and technologies - Part 402-X: Performance Measurement of Fitness Wearables - Sleep Measurements
いずれも次回会合までにWD案が示されることとなりました。

3. Wearable communications(WG8)

昨年秋のTC124総会でPメンバー国による投票で判断することになったウェアラブル通信に関する新しいワーキンググループ(WG)が今年初めに賛成多数で可決され、WG8として設立されると共にコンビナーが日本から選出されました。ヘルシンキでは、初めての対面によるWG8会議が開催され、新規提案3件について議論が行われました。ウェアラブル通信分野は今後発展が期待できることから、日本としても積極的な提案活動を行っていくと共に議論を主導していくことが重要です。

B. TC124構成

議長:
日本 幹事国:韓国
平川秀治(東京電機大学)
AG1
全体 Convenor 韓国
WG1
用語 Convenor フランス
WG2
E-テキスタイル Convenor 日本と英国
前田郷司(東京大学)
WG3
材料 Convenor 韓国
WG4
デバイスとシステム Convenor 韓国と米国
JWG6
電熱衣服(ISO/TC38(Textiles)とのジョイントWG 韓国とベルギー(ISO)
AhG7
将来のユースケース検討 Convenor 韓国と米国
WG8
ウェアラブル装置の通信とインターフェイス Convenor 日本
田中宏和(広島市立大学)

C. 今後の予定

2024年秋:Plenary会議:米国・アーリントン
2025年春:シンガポール
2025年秋:インド

D. 国内対応

TC124にて審議しているIEC規格は、ウェアラブルエレクトロニクス標準化専門委員会にて審議、対応しています。

ウェアラブルエレクトロニクス標準化専門委員会

1)参加企業数:11社
オムロンヘルスケア、クラレトレーディング、図研、帝人、H2L、大日本印刷、東洋紡、ボーケン品質評価機構、ミツフジ、村田製作所、ユニオンツール

2)事業概要
ウェアラブルデバイスは、端末に搭載されたセンサーを通じて装着している人の生体情報を取得し、クラウド上で解析してフィードバックすることによって、フィットネスやヘルスケア分野などで活用され始めています。また、産業分野では作業支援や労働管理などにも使われ始めており、IoT社会の発展において、人とインターネットの融合に欠かせないデバイスとして、幅広い分野での展開が期待されています。既に、多くの企業からウェアラブル端末が発売され、また研究開発の発表などが行われている状況にあって、グローバルで健全な普及促進と市場拡大を図るためには、適切な国際標準の開発が求められており、我が国としても積極的に参画し関与して行くことが重要となっています。

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