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「JEITAベンチャー賞」受賞企業6社、
特別賞「Early edge賞」1社が決定

2022年3月29日、「JEITAベンチャー賞」の受賞企業6社及びEarly edge賞(特別賞)1社が決定したことを発表しました。JEITAベンチャー賞は、電子情報技術産業の総合的な発展のみならず、経済発展に貢献しうるベンチャー企業を表彰するもので、IT・エレクトロニクス業界の発展に繋がるベンチャー企業を支援するとともに、JEITA会員企業とスタートアップ(優良ベンチャー)企業との共創・連携・エコシステムの構築支援を目的としたものです。「JEITAベンチャー賞審査委員会」が成長性(先導性)、波及性、社会性の3つの視点からベンチャー企業を審査・選考した結果、第7回 JEITAベンチャー賞は、株式会社AiCAN、株式会社インプリム、株式会社エイシング、ボールウエーブ株式会社、株式会社エスケーファイン、株式会社ottaの6社が受賞しました。また今回から特別賞として「Early edge 賞」(市場における貢献度は未知数だが、非常に高い技術を保有し、将来、大きな成長が期待できる企業を特別賞として表彰するもの)を創設、Mantra 株式会社が受賞しました。
今回受賞した7社のベンチャー企業は今後、JEITAの活動に参画いただくほか、Society 5.0の実現を目指すCPS/IoT総合展「CEATEC」への出展やJEITAが主催するシンポジウムやセミナーなどへの登壇、さらには JEITA会員企業との交流支援などの特典が授与されます。

【上段】左より:エスケーファイン 椹木代表取締役社長  、Mantra 石渡CEO、otta 露木社長室長(代理出席)【下段】前列左より:AiCAN 高岡CTO、インプリム 内田代表取締役、エイシング 出澤代表取締役CEO 、ボールウエーブ 赤尾代表取締役、後列左より:荒川JEITAベンチャー賞審査委員長(東京大学)、JEITA 綱川会長、JEITA 長尾専務理事 ※役職等は表彰式当時のものです
【上段】左より:エスケーファイン 椹木代表取締役社長 、Mantra 石渡CEO、otta 露木社長室長(代理出席)
【下段】前列左より:AiCAN 高岡CTO、インプリム 内田代表取締役、エイシング 出澤代表取締役CEO 、ボールウエーブ 赤尾代表取締役
後列左より:荒川JEITAベンチャー賞審査委員長(東京大学)、JEITA 綱川会長、JEITA 長尾専務理事
※役職等は表彰式当時のものです

受賞企業6社と審査評価の概要(社名五十音順)

株式会社AiCAN

株式会社AiCANは、昨今の社会課題である児童虐待の問題解決に取り組み、子どもの安全を守る業務をサポートする「AiCANサービス」を提供している。「AiCANサービス」は、AIを搭載した業務支援アプリケーションである「AiCANアプリ」を顧客に提供し、ケースに関する記録、リスクアセスメント、写真等の画像データを登録・共有することで、AIがケースの傾向や今後の動向について予測し、児童相談所職員等の「判断の質向上」と「業務の効率化」を実現している。社会におけるウェルビーイングを目指す土台となる「安全・安心」への貢献が期待される。よって、JEITA ベンチャー賞に相応しい企業と判断した。

株式会社インプリム

株式会社インプリムは、「プリザンターUIエンジン」という独自開発のフレームワークにより、業務アプリケーションをローコード開発により簡便に作成できるプラットフォーム「プリザンター」をオープンソースで提供している。エクセルとフルカスタムの中間を埋める用途を中心にして、製作結果をオープン化する条件で安く受注するというビジネスモデルにより多くの企業と提携している。業務細分化とカスタマイズの展開によるDXの推進の容易性、オープンソースによる呼び水効果、低価格でのサービス提供、Webアプリの機動性など、利用しやすさという優位性が期待される。よって、JEITA ベンチャー賞に相応しい企業と判断した。

株式会社エイシング

株式会社エイシングは製造業向けに機械制御に特化した独自エッジAIアルゴリズムを研究開発し、超軽量独自AIアルゴリズム「MST(Memory Saving Tree)」を始め、巧みなオープンクローズ戦略で主要な技術を特許化した。現在、エッジAIの導入を検討する企業に開発環境やトレーニングプログラムを含めたライセンス提供を進めており、既に複数の大企業で導入実績を上げている。今後、製造業の生産性と品質の向上に貢献することが期待される。よって、JEITA ベンチャー賞に相応しい企業と判断した。

株式会社エスケーファイン

株式会社エスケーファインは、セラミックス粒子と紫外線硬化剤との材料調合技術と高精度レーザ制御技術を融合することにより、世界最高性のセラミック造形3Dプリント技術の事業化を実現した。スラリー化されたセラミック材料を用いることで滑らかな表面形状を実現し、また紫外線レーザーによる光造形方式を用いることで複雑かつ高精細の構造体にも対応できる。製造プロセスのカスタマイズ対応や少量多品種対応が求められる中、3Dプリンターをはじめとするディジタルファブリケーション技術は、電子部品分野、半導体関連分野、インフラ分野、生体材料分野までの幅広い分野での展開が期待される。よって、JEITA ベンチャー賞に相応しい企業と判断した。

株式会社 otta

株式会社 otta は、Bluetooth Low Energy 技術を応用した見守り端末と端末から発信される電波を受信する基地局の組み合わせで、見守り端末が基地局を通過した時間と場所の情報を見守り利用者にアプリ上で伝えるサービスを展開している。当該サービスは、安価な端末の活用や地域の企業スポンサーの協力を得ることで、予算の少ない自治体や学校への導入を安易にする、明解なビジネスモデルが特徴的である。見守り対象が子供だけでなく高齢者へも展開できるなど、将来性にも期待できる。よって、JEITA ベンチャー賞に相応しい企業と判断した。

ボールウェーブ株式会社

ボールウェーブ株式会社は、「ボールSAW」の原理を活用した微量水分計を開発しており、既に複数の販売実績を有し、半導体プロセス管理向けで海外大手ファンドリの認定ファシリティ・メーカと独占販売契約も締結している。また、センサの感応膜をカラム材料にかえたガスクロマトグラフは持運び容易なハンディガスクロマトグラフとして製品化し、これも納品実績が出ている。感応膜を抗体あるいはアプタマとすれば、抗原-抗体反応を用いたウイルスセンサとなる等、本技術は、今後様々なセンサへの展開が期待できる。よって、JEITA ベンチャー賞に相応しい企業と判断した。

Early edge賞(特別賞)1社の審査評価の概要

Mantra株式会社

Mantra株式会社は、マンガに特化した自動翻訳システム「Mantra Engine」を開発した。マンガの画像データから、セリフの文字を抽出し、多言語に自動翻訳する。日本語、英語、中国語、韓国語など14カ国語に対応する。日本のマンガは世界中に愛読者が多く、国際競争力が高いが、日本の出版社が海外展開に対してリソースを十分に割けないのが現状である。このような状況で、本テクノロジーは日本のコンテンツ産業の輸出を大きく後押しする可能性がある。出版社との取り組みも具体化しており、今後事業化への展開が期待され、また、テクノロジーの応用先として極めてユニークといえる。よって、Early edge賞(特別賞)に相応しい企業と判断した。