2015.12.16 一般社団法人 電子情報技術産業協会 |
本日、当協会では、水嶋繁光会長会見により、電子情報産業の世界生産見通し2015を発表いたしました。その概要を無償公開いたしますので、広くご活用いただければ幸いです。 1.電子情報産業の世界生産見通し 電子情報産業における2015年の世界生産額は、スマートフォンや薄型テレビ等の拡大や為替変動による上ぶれもあり318兆870億円(対前年13%増)と見込んだ。今後は、CPS/IoT社会に向けた、スマートフォン等のインターネットに繋がる機器の拡大や、自動車のIT化を取り込む電子部品・デバイス、新しい価値の創造に向けたITソリューション・サービスの伸長も見込め、2016年には327兆2,898億円(同3%増)と5年連続のプラス成長を見通した。 2015年の世界経済は、先進諸国を中心に緩やかな成長持続傾向にある。特に米国経済は、雇用改善、消費・住宅投資の改善が顕著で設備投資も回復している。しかし、新興諸国では中国の景気減速の動きや資源価格の下落を受け成長は鈍化の傾向にある。そのような中で、高速無線通信網の拡がりと共にマルチバンド化や省エネ化の進むスマートフォンや、大画面化・高付加価値化が進む薄型テレビが堅調に拡大し、さらに、為替変動による上ぶれもあり、2015年の電子情報産業(電子工業とITソリューション・サービスの合計)の世界生産額は、318兆870億円(対前年13%増)、うち電子工業(電子機器と電子部品・デバイスを合わせたハードウェア)の世界生産額は234兆5,827億円(同14%増)と4年連続のプラス成長を見込んだ。 2016年の世界経済は、新興諸国の成長率の鈍化など懸念材料が一部にはあるものの、欧米経済は原油安のメリットから成長持続、インドや東南アジア等での消費拡大やインフラ整備、日本でも消費拡大と企業増益による設備投資増加による成長が見込める。電子情報産業では、CPS/IoT社会に向けた、スマートフォン等のインターネットに繋がる機器の拡大を見込む。また自動車のIT化の進展は電子部品や半導体の搭載数増加に繋がる。さらに、CPS/IoT社会の到来を見据え、様々な分野での新しい価値を創造するための取組みが進展しITソリューション・サービスの需要が拡大することから、2016年の電子情報産業の世界生産額は対前年3%増と5年連続のプラス成長を見通した。 2. 日系企業の世界生産見通し 電子情報産業における2015年の日系企業生産額(海外生産分を含む)は、薄型テレビや電子部品・デバイスの好調や為替変動による上ぶれもあり、42兆7,968億円(対前年7%増)と3年連続のプラス成長を見込んだ。2016年は、世界市場での高信頼性・高級志向の高まりや省エネ・小型化の進展に日系企業の優位性があること、日本市場でも攻めのIT投資増加が期待できることから43兆4,816億円(同2%増)とプラス成長を見通した。 日系企業の経営環境はアベノミクスによりプラス傾向となっている。薄型テレビでは海外での大画面や高機能・高性能・高価格帯の需要が根強く底堅い。また信頼性や省エネ化など日系メーカの得意技術を盛り込んだスマートフォン等の製品へのニーズも強く電子部品やディスプレイデバイス、半導体は好調に推移した。一方で日系企業が得意としていた単体製品の市場へスマートフォンの浸食が見られるものの、為替変動の上ぶれもあり、2015年の世界生産に占める日系企業の生産額(海外生産分を含む)は電子情報産業で42兆7,968億円(対前年7%増)、うち電子工業で36兆8,258億円(同8%増)と見込んだ。 2016年に向けては、世界経済の緩やかな伸びが期待されている。電子部品・デバイス分野では、自動車のIT化の進展やIoT機器の拡大により日系企業が得意とする高機能・高信頼性ニーズが一層高まる。またITソリューション・サービス分野では、日本市場での攻めのIT経営に向けた動きやセキュリティ対策に向けた動きが加速することで新たなIT投資の伸展が見込め、さらに2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて各産業や社会インフラ分野を中心としたIT投資が活発化することから、電子情報産業全体としては、プラス成長を見通した。 3. 電子工業の国内生産見通し 電子工業における2015年の国内生産額は、12兆5,802億円(対前年7%増)と4年ぶりプラス成長となった2014年に続き、2年連続のプラス成長を見込んだ。今後も電子部品・デバイスの輸出拡大や国内需要の改善が期待できることから、2016年には12兆9,426億円(同3%増)と3年連続のプラス成長を見通した。 国内経済は、実質賃金上昇で個人消費・住宅投資は回復、企業増益を背景に設備投資も底堅く推移しつつある。電子工業では、輸出の柱となっているディスプレイデバイスや半導体・電子部品などが国内生産増加の牽引役となっている。その要因としてスマートフォンの大画面化やマルチバンド化による搭載数増加があげられる。また、電気計測器やプリンタ等の国内生産も回復しつつあり、電子工業における2015年の国内生産額は対前年7%増と、東日本大震災の影響で落ち込んだ2011年以降、実に4年ぶりプラスとなった前年に続き、2年連続のプラス成長を見込んだ。 2016年は、国内で生産する小型・薄型・省エネに貢献する高信頼性電子部品や半導体が、スマートフォンの高機能化や、電装化率の向上による車載向け需要が増加することで、搭載数のさらなる増加が期待できる。また企業増益からIT投資も拡大、サーバやパソコンの需要増加も見込めることから2016年はプラス成長を見通した。日系企業の国内生産比率は35%となり、「ディスプレイデバイス」(日系国内生産比率92%)、「サーバ・ストレージ」(同77%)、「医用電子機器」(同70%)、「電気計測器」(同68%)、「半導体」(同66%)など、高度な信頼性や品質を要求される分野では、引き続き高い国内生産水準が維持される。 ■無償公開の数字/グラフ/分析コメントはこちら【概要PDF】 ・日本語版 ・英語版 ※本無償公開の範囲内においては、出典を明記していただければ、転載自由と致します。広くご活用いただければ幸いです。
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