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プレスリリース
第7回「世界半導体会議(WSC)」共同声明
著作権料の賦課に関するWSCホワイトペーパー
デジタル環境における著作権料賦課の危険性に関するWSCペーパー


概要
現在、個人がテープ録音などのアナログ技術を用いて営利目的以外で作品を複製することに対して著作権所有者を補償するために著作権料を賦課している国が多数ある。著作権料を賦課している国の徴収対象は、機器か媒体(場合によっては両方)である。著作権料の徴収は、国内の著作権所有者が加入している独立した団体、いわゆる国内の“徴収団体”が行う場合が多い。各技術に対する著作権料の賦課額は徴収団体が決めるが、賦課額の決定方法が常に明解であるとは限らない。徴収団体が林立し、技術に対する著作権料を賦課する権限が各団体にあるため、製品によっては複数の著作権料が賦課されている国もある。制度を正当化するため、本来の個人的複製の原理の代わりに著作権侵害を根拠とする徴収団体も増えている(ただし、著作権侵害ではなく合法的複製に対する補償のための著作権料は整備されている)。

パソコン等のデジタル技術およびフラッシュメモリーカードなどの空のデジタル媒体にまで著作権料が賦課されるようになると、新しく重大な貿易障壁が生まれる。著作権料が価格に対して不釣合いなほど多額になるということは、メーカがいくら費用節減をしても消費者に還元できないということである。


著作権料賦課金制度の欠陥
世界半導体会議(WSC)は、著作権所有者や消費者、その他関係者にとって公正な著作権の保護や補償については心から支持する。しかしながら、賦課金制度は、バランスを欠き、監視が行き届かず、効率的ではない。著作権料は無差別であり、多くの消費者や個人、企業は、複製のために当該技術を使用しなくても強制的にその分を余分に支払わされる。こうした制度は、実際に技術を利用する大半の人は何も悪いことをしないにもかかわらず、購入する際、法律違反に対する罰金を請求されるのと同じである。また、徴収された著作権料が直接著作権所有者に渡されず、徴収団体の活動維持に回される場合も多く、その結果、徴収団体が強力なロビー団体になっている国も多い。


デジタル著作権管理の役割
著作権料は、作品を複製されたアーティストに対する補償手段としては、現在の技術ソリューションに比べてはるかに正確さを欠く。デジタル著作権管理(DRM)技術は、著作権所有者が作品に対する公正な報酬を受ける一方で、消費者がダジタルのコンテンツを利用できるため、賦課金制度よりも適切である。DRMの場合、著作権所有者は、無断使用されないようコンテンツを保護することができる。また、こうした技術を用いると、複製を作品の“公正”使用の一環とみなすことができる場合に多少の個人的な複製ができるようにすることもできる。アーチストが作品の使用料の徴収を希望する場合、DRM技術を用いてコンテンツにアクセスする人物や方法を以前にも増して正確に掌握することができる。


経済的影響
著作権料は、CDバーナー/ドライブ、メモリーカード、フラッシュメモリーなどのコンポーネントだけでなく、パソコン(PC)などの最終製品についても賦課することができる。ドイツでは、当初、著作者の徴収団体がPCに30ユーロの著作権料を賦課することを提案したが、同国のIT産業協会であるBitkomから反対された。しかし最近になって、政府の仲裁によりPC1台あたり12ユーロで決着している。ある半導体企業は、「著作権料が2001年に10ユーロ、以後30ユーロになると、フランスとドイツでは、2005年までに獲得できるPC市場が4%も減り3億ドルの減収になる(フランスとドイツ以外のEU諸国における損失は計算の対象外)」と見積もっていた。

価格が下がり在庫が増える一方の部門では、著作権料は末端価格の大きな割合を占める。著作権料は、メーカによる費用節減を帳消しにするだけでなく、最終価格を押し上げる場合も多い。欧州では、著作権料が販売価格に占める割合が増値税(VAT)よりも高くなる国もある。1

複数の部品に対して著作権料が賦課されるだけでなく、一つの品目に対して国内の複数の徴収団体が著作権料を賦課する場合もあり、重複作用が出る可能性もある。例えば、ある製品に対して、著作者協会や音楽協会、視聴覚協会がそれぞれ別個に著作権料を求める場合もありえる。


各国の状況
カナダではアナログ媒体とCDに著作権料が賦課されており、対象を電子メモリーカードやフラッシュメモリー、ハードドライブ、録画可能なDVDにまで広げる法案が出されている。中欧・欧州の15ヶ国は、空のデジタル媒体に対して著作権料を賦課し、その内9ヶ国はデジタル機器に対する著作権料も採用している。メキシコは、賦課金制度の実施に関する法案が出されているがまだ可決されていない。オーストラリアでは、著作権所有者団体が、空のCDやDVDに3-10%の著作権料を賦課することを支持している。


勧告
WSCは、「政府/当局は、デジタル機器や空の記録用デジタル媒体に著作権料を賦課することを認めるべきではない」と考える。また、WSCのメンバーは、著作権料に反対する文言を新しい貿易協定に盛り込み、WTOの枠組み(電子商取引やITAに関する作業グループなど)をもとに貿易障壁に取り組むよう政府/当局に呼びかけている。
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    1. European Information, Communications, and Consumer Electronics Technology Associations (EICTA)
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