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プレスリリース
第7回世界半導体会議(WSC)にてSIAより提出された参考文書
SIA(米国半導体工業会)参考ペーパー
半導体に対する中国の差別的増値税(VAT)について

(2003年5月)


概要
中国の半導体市場は190億ドル規模で世界第3位にあり、成長率も世界最高である。2010年までには、米国に次いで世界第2位の半導体市場に成長すると予測されている。我々は、中国の昨今の市場解放に向けた大きな前進を大変嬉しく思っている。特に、世界貿易機関(WTO)および情報技術協定(ITA)への加盟は賞賛に値する。中国市場の成長は、中国政府による国内経済の開放・改革に向けた多大な努力による側面でもある。


不可欠な自由貿易
現在の半導体産業は、顧客やサプライヤーが世界中に広がっている文字通りグローバルな産業であり、通常、本社のある国以外で収益の大半を確保している。例えば、米国企業の場合、売上の60%は米国外における実績である。半導体産業は、そのグローバルな性質上、障壁のない自由で開放された貿易を支持している。自由貿易によってもたらされる競争は全ての関係者に力を付けるものである。


中国と半導体産業
現在、中国は、半導体産業においてサプライヤーとしても顧客としても重要な役割を果たしている。成長の可能性を秘めた中国のような大市場で外国の全てのチップメーカーが公正に競争できることは必須条件である。中国政府は、2000年に20億ドルであった国内の半導体生産量を2010年には外資を含めて240億ドルに増やすことを目指す第10次5ヵ年計画を発表し、同国ではこの5カ年計画に沿って国内半導体産業の生産能力が急速に上昇している。


VAT(増値税)
中国は全ての半導体に対して17%のVATを課し、国内生産推進のために国内で製造された製品についてリベートを還付している。中国で製造された半導体は11%(結果的にVATは6%となる)、国内で設計・製造された半導体は14%(結果的にVATは3%となる)のVATリベートが受けられるのである。複数の報告書によれば、還付金は中国国内における研究開発に還元しなければならないという。この差別的なVAT政策は、本来2000年6月に発表された国務院文書18で整備されたものである。同文書では、国内のソフトウェアや集積回路(IC)産業を推進する数々の政策が明らかにされている。


WTO(世界貿易機関)ルール
中国は2001年12月にWTOに加盟し、WTO/GATTの課税要件を含むWTOルールに全面的に従うことを約束した。内国税や国内規制の内国民待遇に関して定められたGATT第III条では、輸入品に対して「類似の国産品に対して直接的・間接的に国内で課せられる税金・課徴金を上回る税・課徴金を直接的・間接的に課してはならない」とされている。この規定は、国が国内産業を保護するために差別的な課税を行うこと、すなわち輸入品に対して関税と同じ経済効果をもたらす行為を禁じるものである。国産品に限定したVAT率の引き下げがWTOに対する中国の義務に違反していることは明らかである。


中国の競争力を損なう高いVAT
半導体に対して高いVATが課せられると中国製のパソコンや携帯電話その他半導体を使用している重要なIT製品のコストが高騰する。こうした下流製品は、米国を始めとする諸国で普及し、生産性を向上させ、インフレを抑制していることが分かっている。チップに高いVATを課税すれば、国外生産者が市場に参入しにくくなるだけでなく、中国のIT部門の成長が妨げられ、中国経済が技術改良の恩恵に浴せなくなることも考えられる。また、輸入半導体に高いVATが課税されれば密輸が再燃することにもなる。報告書は、中国では半導体関税(6〜9%)が撤廃されたためにチップの密輸入が激減したと伝えているが、こうした進展が水泡に帰しつつあると言える。


提言
世界の半導体産業、中国のITの発展、さらには中国全体の経済成長のため、中国が原産国を問わず全ての半導体のVATを引き下げまたは撤廃することが法律的・政策的視点から見て最善の策である。

中国の全ての半導体に対するVATの税率は、製造された場所を問わず3%を超えるべきではない。この目標実現に向けて速やかに政府間協議を行うべきである。

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