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わが国におけるサーバの2017年度出荷実績、及び、ITユーザトレンドを発表

ITプラットフォーム事業委員会では、サーバ及びネットワークストレージ製品に加え、ネットワークやミドルウェアも含めたITプラットフォームに活動の場を広げ、調査研究と関連市場拡大に向けた提言を行うことを目的に、活動を推進しております。

2017年度(2017年4月~2018年3月)の出荷実績を取り纏め、この実績発表とともに、IoT/AI等を含めた最近のITプラットフォームの国内市場動向の調査結果を報告すべく記者懇談会(5月30日(水))を開催致しました。主な報告内容を紹介します。

1.2017年度 総出荷実績

1.2017年度 総出荷実績

需要の中心であるIAサーバは,金額で下半期は前年並みを維持したが,年度では対前年度を下回り、UNIXサーバは,金額で上半期は前年増となったが,年度では対前年度を下回りました。また、メインフレ-ムコンピュータは金額で対前年増となりました。 

2.2018年度以降見通しについて

国内経済は、2020年に向けたインフラ投資やセキュリティ対応強化、大企業を中心とした好業績などで需要拡大の兆しが見えています。今後は、IoTの進展によるビッグデータの高速処理・解析、人工知能(AI)を取り込んだ新たな価値創造の動きなど、サイバーフィジカルシステム社会への対応が求められている。これらの動きに対応したITプラットフォームの導入が期待できます。

このような市場環境において、下記の分野・領域においてサ-バ需要の拡大が見込まれます。

  • クラウドを活用したシステム・サ-ビスの拡大に対応するデータセンター構築・増強。
  • IoTの浸透によるネットワーク接続デバイスやデータの増加など市場変化への対応。
  • ビッグデータの高速解析や機械学習による新たな価値創造への取り組み。
  • 社会や市場からの要請による、高度なサイバーセキュリティへの対応。
  • システム運用効率化に向けたサ-バ統合・仮想化からシステム統合への取り組み拡大。
  • 企業内ユーザー部門での利用拡大に伴う新たなサーバの導入。
  • 働き方改革に伴う、業務自動化(RPA)などのITを活用した企業の生産性向上に向けた取り組み。

(注)RPA:Robotic Process Automationロボットによる業務自動化

サーバ市場は、国内の企業ユーザーにおける効率投資追求による投資抑制や、サーバ統合・仮想化のさらなる進展の影響で減速となりましたが、今後は、上記領域のプラス要因の浸透と、データセンターへの集中投資などにより、需要確保が期待できます。IAサ-バは、幅広い用途で今後も需要の中心となることが見込まれるが、市場環境や技術動向によっては、需要に影響を与えることも想定されます。UNIXサ-バは、企業の基幹システムを担う需要はあるが、IAサ-バへの需要分散等もあり、減少が予想されます。メインフレームは、高度の信頼性を要求される社会インフラシステムの中核で、今後も一定の需要が見込まれます。

3.ITユーザトレンド2017/
市場動向調査について

当事業委員会では、IT投資動向を始め、注力分野、ITプラットフォームの構築状況等のIT活用トレンドを捉える調査研究を1998年から実施してきました。本年度は、「ITユーザトレンド2017/ビッグデータ・クラウド取り組み動向調査」と題し報告書を発行致しました。(https://www.jeita.or.jp/cgi-bin/public/detail.cgi?id=700&cateid=6
前年度の305社から526社へと調査会社が増加しており、記者懇談会ではこの内容を一部抜粋し報告しております。

①需要動向<IT投資スタンスと投資予算推移>

①需要動向<IT投資スタンスと投資予算推移>

IT投資動向のこれまでの推移をみると、「昨年と比べて増加した」は、前回、前々回は34%で推移していたが、今回の調査では36%となり、2005~2007年調査に次ぐ、高水準となりました。また、「昨年と比べて減少した」は、これまでの調査で最も低い10%であり、今年度は、近年にないほど、IT投資が活発になったことが本調査から明らかになりました。

②IT化関連テーマの注目度(10年間の推移)

②IT化関連テーマの注目度(10年間の推移)

「ネットワークセキュリティ」、「モバイル端末の活用」、「クラウド活用」、「仮想化システムの構築」、「外部DCの活用」、「ビッグデータの活用」、「AI技術の活用」、「IoTの取り組み」が数年注目度上昇しています。

③サーバ統合、仮想化取り組み推移

③サーバ統合、仮想化取り組み推移

サーバ統合は5割、仮想化は6割の取り組みとなっています。4~5割が取り組んでいないが、これは規模の小さい企業ほど、その傾向にあります。

④クラウドサービスの利用状況

④クラウドサービスの利用状況

パブリック、プライベートともに年々利用率は増加しています。

4.サーバの年間総消費電力量に関する試算について

4.サーバの年間総消費電力量に関する試算について

当事業委員会の傘下に設置したITプラットフォーム事業委員会(プラットフォームグリーンIT専門委員会)では、自主統計発表しているサーバ出荷台数と、省エネルギー効率化把握のために求めているサーバ定格電力を基準として、サーバの年間総消費電力量の推定値をまとめています。今回、2001年度から2017年度までのサーバ出荷台数に基づく推定値と、2020年度までの予測値をまとめました。2017年度は68億kwhの試算結果となり、2016年度と比べると、1億kwh微増となりましたが、2008年度(72億kwh)を最大として、減少傾向となっています。なお、1台当りの年間消費電力量は増える傾向にあります。これは、IAサーバの中位機クラスが仮想化用途で高機能化して、平均定格電力が大きくなっているためと推定されます。ただし、稼働台数が減少傾向にあるため、今後の総電力量は横ばいから減少に転じると推定されます。

記者懇談会会場の様子
記者懇談会会場の様子