■本フォーマット作成の経緯・目的
近年、自然災害やパンデミック、地政学的リスクなど、不透明で予測が困難な事象が、サプライチェーンに多大な影響を及ぼす機会が増えています。こうした事象に備えるために、企業には、自社の被害想定だけでなく、サプライチェーン全体を可視化し、調達先の分散や在庫の確保など多面的なリスク対応によるサプライチェーンの強靭化が求められています。
現在、多くの企業はサプライチェーン全体を可視化するために、個社間でサプライチェーン関連情報を把握する取り組みを進めています。しかしながら、現状の個社間の情報把握では、情報提供依頼企業の質問内容や回答様式が各社各様となっており、情報回答企業の負荷が大きく課題となっています。また、サプライチェーンの上流に遡って情報を把握する方法が、一般に確立されておらず、サプライチェーン全体の情報把握が難航しているのが実態です。
資材委員会傘下のサプライチェーン可視化/情報共有に関するWGでは、この課題を解決するために「共通的な」仕組みづくりが必要と捉え、今般、製造地情報把握のための標準化項目を定義しました。また、標準化項目を活用した情報収集をスムーズに行うためのフォーマットを公開いたします。
この標準化項目を用いることで、情報提供依頼側の企業は、個社での製造地情報把握における必要項目の洗出しと選定が不要となり、情報回答側企業は質問内容が統一されることで回答の負荷を軽減することができます。これにより、個社間におけるサプライチェーン関連情報把握の効率化と可視化を進め、多くの企業において、サプライチェーン強靭化施策の検討が促進されることを期待しています。
なお、本フォーマットで収集する製造地情報は、企業戦略の機密情報にも成り得るため、信頼のおける個社間で情報の取り扱いを定めて活用することが必要となります。情報の取り扱いに関するルールを明確に定め、情報漏洩や不正利用を防止することが重要となりますのでご留意ください。
本フォーマットは、現時点では、平時における製造地情報の可視化を目的としておりますが、例えば有事におけるサプライチェーンの影響把握での活用等、今後その活用領域を広げていきたいと考えており、引き続きサプライチェーン可視化/情報連携に関する検討WGで検討をして参ります。加えて、本取組が、経済安全保障や責任あるサプライチェーン実現といった別の社会課題に対応するにあたってのサプライチェーンの可視化の実現にも寄与できればと考えています。
本フォーマットや標準化項目は JEITA会員企業間にとどまらず広く活用いただき、サプライチェーン全体の有事対応能力を向上させていくことによって、サプライチェーンの強靭化、可視化に貢献できれば幸いです。
【標準化フォーマット】
■内容
・サプライチェーン製造地情報交換における標準化フォーマット(Excel)
・サプライチェーン製造地情報交換における標準化フォーマットの説明書(PDF)
■説明書の目次
1 はじめに
2 標準化フォーマット
3 項目定義
4 記入者例
(1)2社間で標準化フォーマットを活用するケース
1-1.基本となる記入例
1-2a.受注者の法人内で工程によって製品が別ロケーション(2ヶ所)に所在するパターン
1-2b.受注者の法人内で工程によって製品が別ロケーション(3ヶ所以上)に所在するパターン
(2)3社間で標準化フォーマットを活用するケース
2-1.商社・代理店等を含む3社間パターン
2―2.商社・代理店にストックポイントありパターン
2―3. 受注者が製造を委託したパターン
■本フォーマットの英語版はこちらから
https://www.jeita.or.jp/cgi-bin/public/detail.cgi?id=898&cateid=1
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