3月度運営部会・部品運営委員会
合同会合講演会
運営部会・部品運営委員会合同会合では、3月4日(水)合同本会議後に、ヌヴォトンテクノロジージャパン株式会社
CIOの田口浩文氏をお迎えし、パナソニックから台湾企業傘下への譲渡を経て得たことをテーマに「100年企業で育った私たちが外資になって学んだ違い
~あらゆる場面で加速するスピードの正体~」と題して講演会を行いました。
過去の追求から未来の「打ち手」への転換
田口氏がまず指摘したのは、経営サイクルの劇的な変化です。従来の日本型経営にありがちな「なぜ未達か」という過去の反省に時間を割くスタイルは、ヌヴォトンテクノロジージャパン(以下NTCJ)には存在しません。四半期ごとのレビューでは、変化する市場環境に対し「次にどのような手を打つのか」という未来への議論が中心となります。そこでは事業部門だけでなく経理・人事・ITの全責任者が一堂に会し、その場で経営判断を下すことで、翌週からのアクションを即座に変えるスピード感を実現しています。
「調整」を排した意思決定とアジャイルの真意
意思決定の仕組みにおいても大きな違いがあります。NTCJには部門間の調整を担う「企画」という職種が存在しません。経営が目指すべき「到達点」をまず決定し、そこへ向けて全部門が自らのやり方を寄せていくスタイルが取られています。また、田口氏は「朝令暮改」を肯定的に捉える重要性を説きました。方針転換を恐れず、途中の試行錯誤から得られた知見を「貴重な経営資産」と考える文化が、組織の柔軟性と加速を支えています。
組織を動かす「OS(常識)」という概念
田口氏は、これらのスピードの正体を、組織の底流にある「OS(常識)」の差であると定義しました。特に、競争優位を見出す「勝ち筋探索OS」と、現場の停滞を経営が責任を持って取り除く「停滞解消OS」の二つが有機的に機能していることが重要です。経営側は現場のボトルネックを徹底的に排除し、スタッフ部門も「従業員の成功を支援する」という原点に立ち返り、実現のための条件を提言する役割へと変貌を遂げています。
速度競争の入り口としての「言語力」
最後に、DXやAI活用を支える土台として「言語力(母国語の習熟)」の重要性が示されました。論理的な概念構築と共通理解には、精度の高い言葉の使い方が不可欠です。NTCJでは「言語力強化講座」を地道に継続しており、母国語による論理的思考力が、経営の直感精度向上や生成AIの効果的な活用に直結すると説きました。不確実な時代、小さな「常識」からOSを書き換え、問いの質を変えていく姿勢は、参加した会員企業にとって極めて有益な指針となりました。
その後の質疑応答では、OSの優先順位や母国語による言語力向上、経営の「問い」の質を変えることの重要性について活発な質疑応答が行われました。