IEC TC110(電子ディスプレイ)
大津会議 開催報告
2026年2月2日から6日にかけて、電子ディスプレイ分野の国際標準化を議論するIEC TC110会議が滋賀県大津市のコラボしが21にて開催されました。本会合は日本開催としては2024年1月の沖縄開催以来2年ぶりで、日本、韓国、中国、米国、ドイツ、フィンランド、ベルギーなどから90名のエキスパートが現地に集まり、コロナ禍以降で最大規模の会議となりました。オンラインで参加した約40名も加え、活発な議論が行われました。
IEC TC110(Electronic displays)の活動
IEC TC110は電気・電子分野の国際標準化を進める国際電気標準会議(IEC)における技術委員会の1つで、電子ディスプレイ分野に関わるさまざまな標準文書(規格)の開発を行っています。TC
110にはPメンバー(投票権を持つ)20カ国、Oメンバー(オブザーバ)11カ国が参加しており、275名(うち日本から53名)がエキスパート登録して活動しています。
IEC
TC110は日本が幹事国を担当しており、日本がこの分野の中核を担っています。国内では経済産業省から国内審議団体をJEITAが受託し、ディスプレイデバイス部会傘下のディスプレイデバイス標準化委員会が各案件の議論や審議を行っています。
今回の大津会議は、ディスプレイデバイス標準化委員会が中心となって、会議の準備から運営までを行いました。
ワーキンググループ(作業部会)会合の実施内容
IEC TC110では冬・春・秋の年に3回、対面を主体とした国際会議を開催しており、冬会議は、傘下にある作業部会(WG, PT, MT,
ahG)ごとの議論を中心に行っています。今回は12の作業部会の会議が開催され、電子ディスプレイを使用したさまざまなアプリケーションへの展開を含め、光学・信頼性などの各種測定・評価技術を用いた標準文書の開発について議論が行われました。
近年は、電子ディスプレイの応用分野の拡大に伴い、AR/VRなどアイウェアディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、空中投影など3Dディスプレイ、タッチセンシングを含むインターラクティブデバイスなどの標準化が活発になっており、今回の会議でも各作業部会で多くの新提案が議論されました。更に、世界的な環境への意識の高まりを受け、2025年に設立されたahG
20では、製品の温室効果ガス(GHG: Green House Gas)排出の計算法に関するドラフトが議論され、初めて委員会ドラフト(CD)を配布して各国にて審議を行うことが決まりました。

TC110会議の様子
日本開催の取り組みと評価
会場としたコラボしが21は、琵琶湖に面した立地に恵まれ、落ち着いた雰囲気で議論に集中することができました。スタッフの努力で音響や通信環境も入念に準備され、ハイブリッド開催の難しさも克服することができて、参加者からはとても良い会議だったとの評価をいただきました。
また、今回の大津会議は、ディスプレイデバイス標準化委員会が目標の1つとして掲げている「アカデミアとの連携」の取り組みとして、多くの大学教員、学生の皆様を招いてオブザーバ参加していただきました。特に教育の一環として国際標準化を取り入れている宇都宮大学の学生からは、海外の専門家との議論の場を初体験し、実感を持って標準化のプロセスを理解できたとの感想をいただきました。
テクニカルツアーとレセプション
会議とあわせ、会期中にはテクニカルツアーとレセプションを開催しました。テクニカルツアーでは会員の大塚電子ほか滋賀県内の大塚グループ各社の施設を訪問し、ディスプレイ向けを含むさまざまな計測機器のご紹介をいただいて技術的知見を深めることができました。草津市で開催したレセプションは、なごやかな雰囲気で、各国参加者間のネットワーク強化と円滑なコミュニケーションの促進につながりました。テクニカルツアーの実施にあたり、多大なご協力をいただいた大塚電子に深く感謝申し上げます。
今後の開催予定
2026年5月に米国ロサンゼルスにおいて、各作業部会の会議を開催する予定です。
また、同年11月にはドイツ・ハンブルクで開催されるIEC総会に合わせて、IEC TC110のプレナリー(全体)会議および傘下の作業部会の会議を開催する予定です。

レセプションの様子
【IEC TC110傘下の個別組織と対応する国内組織】

※JEITA ディスプレイデバイス部会 ディスプレイデバイス標準化委員会 傘下の組織