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活動報告関西支部

2025年12月度 関西支部運営部会講演

運営部会では12月3日(水)にうめだMホールにおいて、日本総合研究所 関西経済研究センター 所長の藤山光雄氏を講師に迎え、「通商施策・経済安全保障から見る2026年度の経済動向」と題する講演を行いました。

本稿では、トランプ政権下の不確実な国際情勢における経済展望と、わが国および製造業の拠点である関西が取るべき戦略についての講演となりました。

1. 世界経済の展望:不透明感の中での「軟着陸」

2026年度の世界経済は、トランプ政権による通商施策の翻弄を受けつつも、実質成長率3.1%で「軟着陸」する見通しです。景気の良し悪しの判断基準とされる3%をわずかに上回る水準を維持し、深刻な景気悪化は回避されると予測されています。米国経済は、物価上昇や雇用悪化の懸念はあるものの、旺盛なAI関連投資や所得の伸びに支えられ、1.8%程度の底堅い成長を続ける見込みです。一方で日本経済への影響は大きく、トランプ関税によるコスト転嫁等により、対米輸出額が年間で約4兆円(約18%)下押しされるリスクがあると試算されています。

2. 中国の政策転換とアジア各国の経済情勢

中国は、従来の製造業強化策から、過剰生産能力の是正を目指す「反内巻」政策へと戦略を転換しました。
トランプ政権の強硬な対中政策を奇貨として、最先端製品の内製化と中国中心の独自のサプライチェーン構築を加速させており、日本企業にとってのビジネス難易度はさらに高まると分析されています。 アジア全体では半導体サプライチェーンが密接に結びついており、もし中間・最終製品にも関税が課されれば、ベトナム、マレーシア、タイなど広域に甚大な影響が及ぶと想定されます。成長市場として期待されるインドは、人口動態を背景とした成長可能性を秘める一方、民族や言語の多様性ゆえに、中国以上に一筋縄ではいかない難しさがあることも浮き彫りになりました。

3. 資源安全保障とわが国の戦略

トランプ政権は軍事面で重要なレアアースの確保を重視する一方、脱「脱炭素」の姿勢から、EVバッテリー向けレアメタル(リチウム、ニッケル等)における脱中国化の動きには逆風が吹く可能性があります。
こうした地政学リスクに対し、日本が取るべき方策として、自由貿易体制を維持するための「CPTPP」の拡充と、的を絞った産業政策による「供給力強化」が提言されました。特に関西においては、「副首都構想」が大きな追い風となり、東京の模倣ではなく、関西が強みを持つエネルギー、ライフサイエンス、食といった分野で、東京とは異なる独自の成長産業を創出することが、日本の経済安全保障を支える鍵となります。激動の時代において、自社の技術を有事の盾とし、戦略的な供給体制を構築できるかが今後の成否を分けるでしょうと強調されました。質疑応答では、チャイナ・プラスワンの今後やインド市場の可能性について活発な意見交換が行われました。

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