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活動報告事業推進部

IEC TC80 長崎会議報告

TC80概要
IEC TC80は、SOLAS条約による性能要件に対する製品の適合性を評価するための試験規格を開発することを目的に、1979年に設立されました。TC80では、これまでに約50のIEC規格を開発しています。これらのIEC規格の最新版が、多くの関係国主管庁において、舶用航法装置、無線通信装置の型式承認試験のための試験規格として採用されています。
※SOLAS条約:海上における人命の安全のための国際条約(Safety Of Life At Sea)

A. 主な議論

1. TC80総会長崎会議

2025年10月21日~22日に長崎出島メッセにおいて、日本で初開催のIEC TC80総会が開催されました。参加国は計12カ国(英国、ドイツ、デンマーク、ノルウェー、オランダ、フィンランド、スウェーデン、米国、カナダ、韓国、中国、日本)で、TC80のPメンバー18カ国のうち、12カ国が参加。その他、ISO、RTCM、CIRMやOneseaの代表者もリエゾンメンバーとして参加しました。アジア地区での開催ということもあり、韓国、中国、日本のアジア勢が参加者の約半数を占めていました。

総会ではWG15で開発中のVDES試験規格の発行目標が2028年末に、CDVの発行目標が2026年末に変更されることが承認されました。同じくWG15ではVDES基地局のPWI発行とEPIRBとMOB、AIS-SARTの追補発行の作業が承認されています。MT19 GMDSSではSART、NAVTEXの改定作業開始が承認され、航海用レーダーと船速距離計の規格改定が決定され、それぞれメンテンナスチームMT21、MT22の立ち上げが承認されました。また、衛星測位装置GNSSのWGが立ち上げと改定中のECDIS規格のCDV発行を2026年末に変更することが決定されました。
韓国からIMOで規定作成が進行中のMASS(海上自律船)のアドホックグループの立ち上げが提案、承認され、韓国がコンビナを務めることが決定されました。アドホックグループの設立目的は今後開発が想定されるMASS関連機器の規格開発の準備を行うためです。同じく韓国からは船舶の周囲情報を把握するカメラシステムの開発提案があり、PWI発行しアドホックグループで議論されることになりました。
日本からは簡易型VDES移動局の規格開発を提案しPWIを発行、WG15で議論が開始されることが決定しました。みちびきに続く日本発の規格として期待されています。
総会に合わせてAIS/VDES関連の規格を検討しているWG15と日本が提案したみちびき(QZSS)のIEC規格を制定するPT 61108-8も同一会場で開催されました。PT 61108-8の活動は日本が初めて提案、制定するTC80分野での規格です。
以下、新規作業に関する2つのトピックについて説明します。

2. 全地球衛星航法システム(GNSS)

2025年10月23日、同じ長崎出島メッセにて「第2回 PT 61108-8 国際会議」が開催されました。本会議は、IEC 61108シリーズ「海洋航行ならびに無線通信機器およびシステム-全地球衛星航法システム(GNSS)」の第8部として、日本版GPSとも呼ばれる準天頂衛星システム「みちびき(QZSS)」の受信機を対象とする試験規格の策定を目的としています。本規格のプロジェクトリーダーを務める一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構の浅里幸起氏が、会議の議長を担当しました。

【全地球衛星航法システム(GNSS)】

上図にシステムの概要を示します。本規格は、性能要求事項、試験方法および必要な試験結果を規定するものです。IEC61108シリーズにはすでに、米国のGPS、ロシアのGLONASS、欧州のGalileo、中国のBDS、インドのNavICに加え、DGNSSおよびSBASの受信機が規定されています。今回の会議は、IEC 61108-8の委員会原案(CD)を審議する第2回目の場でした。米国より全米舶用電子機器協会(NMEA)が2024年に新たに発行した測位結果に関するセンテンスを、本規格の付録に追加する提案がありました。これは規定内容(Normative)として採用するものです。審議の結果、米国の提案をPTで精査の上で現在のシステムで対応可能なセンテンスを受け入れることとなりました。この新センテンスには、インテグリティ情報を伝達する新たな項目が含まれています。
さらに、中国からは補強データやインテグリティ等に関する試験方法をより詳細に記述すべきとの意見が示され、これらもPTで精査の上で規格本文に必要な試験を反映することとなりました。また、オーストラリア、韓国、スウェーデンからも内容に関するコメントが寄せられ、規格改訂に反映されました。
今後は、2025年10月末までに改訂した委員会原案の回覧を開始し、12月末まで参加国からのコメントを募集します。その後、2026年2月3~4日にオンラインで次回会議を開催し、委員会原案の完成に向けた作業を進めます。日本のプロジェクトとしても引き続きこの作業を推進していきます。

3. 簡易型VDES移動局の新規規格提案

SOLAS船向けに、ClassA AIS機能を有するVDES移動局の規格開発が進む中、次の段階として、非SOLAS船にも対応する目的で、VDES機能を一部制限し、ClassB AIS機能を有する簡易型VDES移動局の規格開発を開始することを日本から提案しました。フィンランド、スウェーデン、ドイツ、U.S.からサポートの発言があり、PWIを発行し、WG15内で議論することが決定しました。2026年から、WG15の会合内で協議が開始される予定となっています。


  • Welcomeディナーの様子

  • 夕暮れの長崎港

航海システム専門委員会

1)社数:6社

2)事業概要 電気技術、電子、電気音響、電気光学、およびデータ処理技術を利用した海上航海装置、海上無線通信装置とシステムの標準規格への対応

3)関係リンク先 IEC TC80 https://iec.ch/tc80

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