CEATEC 2025:
暮らしのDXパビリオンが描いた
より身近な未来の生活
2025年10月、最先端技術が一堂に会したCEATEC 2025。なかでも「暮らしのDXパビリオン」は、未来の生活を具体的に体感できる場として、多くの来場者で賑わいました。JEITAスマートホーム部会は、防災など非常時課題の解決を目指す最新の取り組みを展示いたしました。当部会の出展内容を中心に、パビリオン全体の動向をレポートします。
活況を呈した「暮らしDXパビリオン」
今年のCEATECは、昨年に比べて「スマートホーム」が格段に大きなテーマとして扱われたのが特徴です。我々が活動の中心とするこの分野が、展示会全体の主要な柱の一つとなったことを象徴するように、「暮らしのDXパビリオン」は全13の企業・団体が集結し、大きな注目を集めました。
出展企業は以下の通りです(順不同)。
株式会社ACCESS、mui Lab株式会社、Aqara、NHK放送技術研究所、Connectivity Standards Alliance日本支部、株式会社ヤマダデンキ/株式会社ヤマダホームズ、株式会社エディオン、イッツ・コミュニケーションズ株式会社、JEITAヘルスケアインダストリ部会、JC-STAR制度(IPA・経済産業省)、積水ハウス株式会社、一般社団法人エコーネットコンソーシアム、そしてJEITAスマートホーム部会です。
パビリオン全体が活況を呈するなか、まずはJEITAスマートホーム部会が提示した内容について詳細を紹介します。
スマートホーム部会、データ連携と災害対策の「次の一手」を提示
今回の暮らしのDXパビリオンにおいて、JEITAスマートホーム部会は「イエナカデータ連携基盤」の継続的な取り組みと、それを活用した最新のユースケースを提示しました。
イエナカデータ連携基盤と災害時ユースケース
スマートホーム部会は、例年「イエナカデータ連携基盤」の仕組みと、その具体的なユースケースの展示を行っています。この基盤は、メーカーや機器の垣根を越えてデータを連携させ、新たな価値を生み出すことを目的としています。
昨年(2024年)は、石川県能美市における「IoT見守りシステム構築事業」での社会実装の取り組みを展示し、平時における地域の見守りというユースケースを紹介しました。
そして今年は、この連携基盤を活用した防災ユースケースとして、能登半島地震の教訓も踏まえ、「災害時デモ」を展示の柱としました。
能登半島地震の教訓を活かした「災害時デモ」
今年の展示の柱としたのが、災害時におけるスマートホームの役割を提示するデモです。2024年1月に発生した能登半島地震で得られた多くの教訓を踏まえ、電力・通信が途絶えた状況下でも機能する「レジリエンス(強靭性)」の強化を図りました。
災害発生などの非常時でも、どの家電がオフラインになったかの情報を集計し、早期の停電情報による被害エリア把握に貢献する仕組みや、機器からの音声で避難勧告を通知するなどの取り組みを紹介しました。また、避難勧告などをクラウド上から各家庭の給湯器端末に送信して通知するデモを展示しました。これらは、家が「最後の砦」として居住者の命を守るための重要な機能です。
また、我々スマートホーム部会と連携し、政策的に重要な点として、IPA(情報処理推進機構)のブース展示も挙げられます。ここでは、IoT家電製品のセキュリティラベリング制度である「JC-STAR」制度が大きく紹介され、多くのラベリング取得製品が並びました。データ連携が進むからこそ、その入口となる機器のセキュリティは不可欠です。スマートホームの普及に不可欠な「安全・安心」の基盤が整いつつあることを示すものでした。
災害時ユースケースのデモ展示を行う
スマートホーム部会ブース
ラベリング取得製品が並ぶ
JC-STAR(IPA・経済産業省)ブース
暮らしDXパビリオンに見る、スマートホーム業界の最前線
スマートホーム部会が目指す方向性は、パビリオンを通じた各社の展示によって表現されました。パビリオン全体を通じて、各社による先進的な生活課題解決への取り組みが多く見られました。
主要企業とセキュリティ分野の重要展示
中でも、積水ハウス、エディオン、ヤマダデンキ/ヤマダホームズといった住宅・流通を代表する企業のブースは特に高い注目を集めていました。
積水ハウスは、「PLATFORM HOUSE」構想を掲げ、住宅が居住者の健康や快適性を支える基盤となる未来像を提示。太陽光発電や蓄電池、EV(V2H)を連携させたエネルギー自立運転のデモは、我々が提示した災害時デモとも通じる、レジリエンス強化の重要なアプローチでした。
積水ハウスブース
エディオンは、「暮らしのDXを、身近なエディオンから」をテーマに、家電量販店としての強みを活かしたソリューションを展示。メーカーの垣根を超えた多様なIoT家電を組み合わせる「スマートライフパッケージ」や、それらを一元管理できる「エディオンスマートアプリ」のデモに加え、購入後の設置・設定からアフターサポートまで一気通貫で対応する「コンシェルジュサービス」をアピール。スマートホーム普及の「最後のワンマイル」を担う決意を感じさせました。
エディオンブース
ヤマダデンキ/ヤマダホームズは、「YAMADAのスマートLIFE」をテーマに、住宅(YAMADA [S_x_L]ブランド)と家電(YAMADA SELECT)、家具・インテリアまで含めたトータルコーディネートと、エネルギーマネジメントまでをワンストップで提案するソリューションを展示。グループの総合力を強く印象付けました。また、大阪・関西万博でも話題となった「人間洗濯機」のコンセプト展示も行われ、未来の生活スタイルを想起させるものとして注目を集めていました。
ヤマダデンキ/ヤマダホームズブース
まとめ:
技術が「暮らし」に溶け込む未来へ
CEATEC 2025の暮らしのDXパビリオンは、テクノロジーが私たちの生活に「溶け込む」未来を具体的に提示する場となりました。個々の機器が高機能化するだけでなく、それらが有機的に連携し、利用者の状況(平時か災害時か、健康か体調不良か)に応じて最適なソリューションを提供することがますます重要になっています。DXを単なる効率化の道具から、人々の安全と健康、そして心のつながりを支える社会インフラへと着実に進化させるべく、JEITAスマートホーム部会としても、イエナカデータ連携基盤の推進や、他分野との連携をさらに強化していく必要性を強く認識しました。
引き続き、皆さまからスマートホーム部会活動へのご 支援・ご協力をよろしくお願いいたします。
本件の
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E-mail:smarthome@jeita.or.jp