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活動報告関西支部

5月度関西支部運営部会講演会

運営部会では、5月14日(水)の会合において、株式会社島津製作所 環境経営統括室 室長の横田明善氏をお招きし、講演会を開催しました。

島津製作所は1875年に京都で創業し、2025年には創業150周年を迎えました。
「科学技術で社会に貢献する」という社是のもと、理化学器械の製造から始まり、1897年には当時輸入に依存していた蓄電池を日本で初めて製造しました。1909年には日本初の医療用X線装置を、1957年には汎用ガスクロマトグラフを商品化しました。その後も、モジュラー構造の液体クロマトグラフやTOF-PET装置など、世界初・日本初の製品を多数開発し、「人と地球の健康」への願いの実現に向けた事業を展開しています。
同社は、社是および経営理念に基づき「島津グループサステナビリティ憲章」を制定し①地球環境とグローバル社会の持続可能性、②島津グループの事業活動の持続と成長、③従業員の健康とエンゲージメントの向上の3つのサステナビリティに取り組んでいます。環境経営は、その専任組織である環境経営統括室が中心となり推進し、年2回開催されるサステナビリティ会議において全社的な目標が協議・決定されています。
脱炭素に向けた取り組みとしては、2050年までに事業活動で排出するCO2(Scope1,2)を実質ゼロとし、再生可能エネルギー比率100%を目指しています。2030年までには85%以上のCO2削減を目標とし、販売した製品使用時のCO2排出についても2020年度比で30%以上の削減を目指しています。スマートメーターの導入など、省エネ推進にも積極的に取り組んでいます。
Scope3においては、特にカテゴリー11(製品の使用)の削減を目指し、製品のエコ化を進めると共に、2027年度から義務化される非財務情報開示に向けて、グループ全体でのScope3データの算定と第三者保証の取得の準備を進めています。
資源循環の取り組みとしては、2024年に乾式オフィス製紙機を導入し、年間2トンの紙ごみ削減を実現しています。また、プラスチック包装材をペレット化してポリ容器にアップサイクルして、社内で再利用する取り組みも進めています。
さらに、同社独自の「エコプロダクツPlus」制度では、省エネや小型化など6項目において従来製品比で25%以上改善された製品を認定し、社内の意識向上とCO2削減に貢献しています。
GHG(温室効果ガス)削減では、農研機構と連携し稲作由来のメタン排出削減に向けた分析機器の開発を進めています。また、PFAS分析に対応する高精度分析装置の開発にも取り組んでいます。生物多様性保全の分野では、本社敷地内に「島津の森」を整備し、在来種の植樹や希少植物の保護を実施しています。2025年3月には「自然共生サイト認定」を取得しました。さらに、京都府南丹市では、社員とその家族、社外ボランティアと共に、森林保全活動も行っています。
講演後には、環境経営推進における責任と権限、目標設定や社内外の協力の得方、生物多様性保全の進め方など、具体的な課題に基づいた活発な質疑応答が行われました。

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