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活動報告事業推進部

令和6年度国際標準化奨励者表彰
(イノベーション・環境局長表彰)受賞と
エネルギーマネジメントに関する国際規格の検討

組織のエネルギーマネジメント体制、工場のエネルギー管理に関する国際規格2件の提案、国際審議のリードの貢献により、経済産業省 産業標準化事業表彰をうけました。各国際規格の概要とJEITA関連委員会の活動を紹介します。

経済産業省 産業標準化事業表彰

表彰制度の概要

国際規格や日本産業規格(JIS)の作成等に率先して取り組み、顕著な功績のあった個人や組織を顕彰する制度です。功績に応じて、内閣総理大臣表彰、経済産業大臣表彰およびイノベーション・環境局長表彰があります。

受賞者の功績


表彰式写真
横河電機(株)池山智之氏は、エネルギーマネジメントに関する国際規格2件を提案、プロジェクトリーダーとして国際の審議を牽引しました。これらの国際規格は、ISO TC301(エネルギーマネジメント)、IEC TC65 (工業用プロセス制御)の各技術委員会(TC)に、それぞれ1件ずつ提案されたものであり、組織の体制の視点、工場でのエネルギーデータ収集・操業最適化に関する国際規格です。
この貢献により、IEC TC65 JWG17(エネルギーシステム間の情報交換)の共同主査に就任するなど、さらなる国際標準化活動での活躍が期待されます。
2024年10月に表彰されました。受賞者インタビューが経済産業省(https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun-kijun/keihatsu/hyosho/interview/R6/20241008-A1.html)のページに掲載されています。

提案した2件の国際規格の概要

エネルギーマネジメント進捗度評価【ISO TS 50011】

組織のエネルギーマネジメントの体制を評価する技術仕様書(TS)です。従来、組織のエネルギーマネジメントの活動として、ISO 50001(エネルギーマネジメントシステム)の認証取得やエネルギー削減割合を示していました。このTSでは、組織の体制・運用・省エネ目標の達成度合いの3項目について、エネルギーマネジメントの体制に対する評価項目を定義しています。図1にTSのコンセプトを示します。このTSの活用により、エネルギーマネジメントの体制の継続的な改善や、省エネ活動に関する貢献をアピールできます。
この国際規格の原案は、エネルギーマネジメント標準化専門委員会(https://home.jeita.or.jp/indusys/energymanegement/)(JEITA産業システム事業委員会傘下https://home.jeita.or.jp/indusys/))で検討され、2023年に発行しました。

※エネルギーマネジメント標準化専門委員会は2025年度より、「エネルギーマネジメント標準化タスクフォース(TF)」に名称を変更します。

【図1:エネルギーマネジメント進捗度のコンセプト】

工場エネルギーマネジメントシステム(FEMS)【IEC 63376】

工場のエネルギーマネジメントに必要なエネルギー情報や生産に関する情報を収集するFEMSの機能を定義したものです。これまではエネルギーの見える化、台数制御、工場の全体最適化などに特化したシステムが同一のFEMSと呼ばれ、販売されてきました。この国際規格では、工場のエネルギー需給の全体最適化におけるFEMSに必要な機能を定義し、その機能利用状況に基づきFEMSの機能やクラス分けを定義したものです。図2は、FEMSのクラス分けの概念を用いて、FEMSの必要な機能、データ取得範囲を示したものになります。エネルギーの見える化や、複数設備の効率的な運転制御(台数制御)、工場の全体最適化の各事例で活用するFEMSを図示しています。
この国際規格の国際審議の対応は、制御・エネルギー管理専門委員会(https://home.jeita.or.jp/indusys/seigyo-subcomi/)WG1 FEMS標準化タスクフォース(JEITA産業システム事業委員会傘下(https://home.jeita.or.jp/indusys/))で検討され、2023年に発行しました。

【図2:FEMSのクラス分け】

今後のJEITA委員会検討体制について

従来のエネルギーマネジメントに加え、サプライチェーンGHG排出量のうち組織内で消費するエネルギーに関連するScope1、Scope2の排出量の管理方法について議論が行われています。
また、FEMSに関する国際規格の新規提案に向けた検討も始まっています。これまで、工場のエネルギー需給の制御は、エネルギー管理士など人によって行われてきました。今後、デマンド・レスポンス対応などより細かい時間単位でのエネルギーの需給調整の対応が求められることを想定し、AIなどを活用したエネルギー最適化の自動化事例の調査、各事例を基に、FEMSの構造化の検討などを行っています。
工場、FEMSでエネルギー需給の最適化や省エネ施策の導入の判断は、トップマネジメントの参画が不可欠です。昨年度までは、各々の委員会で検討を行ってきましたが、FEMSでも組織のエネルギーマネジメントの管理手法なども考慮する必要が出てきました。そのため、制御・エネルギー管理専門委員会(https://home.jeita.or.jp/indusys/seigyo-subcomi/)(JEITA産業システム事業委員会傘下(https://home.jeita.or.jp/indusys/))WG1内に両テーマを議論するタスクフォースを設置し、総合的に議論を進めることになりました。図3に示すように、両タスクフォースによる相乗効果が期待されます。

【図3:制御・エネルギー管理専門委員会WG1】

制御・エネルギー管理専門委員会委員募集

地球温暖化対策として、GHG排出量の削減、具体的には、再生可能エネルギーの活用と省エネルギーの両方を取り組むことが求められています。制御・エネルギー管理専門委員会では、設備群の運転最適化手法である連携制御・組織のエネルギーマネジメント・FEMSのそれぞれの視点から統合的な対応を議論しています。この検討に参加していただけるメンバーを募集しています。

JEITA産業システム事業委員会
https://home.jeita.or.jp/indusys/

産業を支え、ものつくりの基盤となる電子計測器、制御システム、計測標準・計測トレーサビリティに関する動向調査および研究を行い、関係製品、装置システムおよびサービスの向上を図り、安全で安定した高度な産業システムの提供を目指します。
産業システム事業委員会にご参加されますと、ご紹介した傘下の『制御・エネルギー管理専門委員会』『FEMS標準化TF』『エネルギーマネジメント標準化タスクフォース』にご参加いただけます。

【図4:2025年度制御・エネルギー管理専門委員会 体制】

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