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活動報告事業推進部

IEC TC124 アーリントン会議報告

TC124概要
IEC TC124(ウェアラブルエレクトロニクス):2017年7月に設立、現在、国際議長:平川秀治氏(東京電機大学)Pメンバー(投票権を持つ国):13カ国、Oメンバー(オブザーバーの国):10カ国、傘下に4つのWG(Working Group)がある。なお、TC124の受託審議団体はJEITA であり、TC124国内委員会・委員長には相澤氏(東京大学)、幹事長には前田氏(東京大学)が就任し、議事運営を行っている。

IEC TC124(Wearable Electronic Devices and Technologies)の総会が米国のアーリントンにあるCTA(Consumer Technology Association)の会議室で開催されました。アーリントンは米国の首都ワシントンと、日米親善の象徴として日本から送られた桜の並木が有名なポトマック川を挟んで隣接する都市です。市内には国防総省(ペンタゴン)やアーリントン戦没者墓地があります。また、ロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港も実はアーリントンにあります。

A. アーリントン会議の概要

前号でもお知らせしたとおり、IEC TC124では発足以来、比較的基本的な部品や素材(E-textiles)、センサー類の評価方法に関する標準化提案が主体でしたが、最近はウェアラブル装置を用いたストレス評価、睡眠評価あるいはウェアラブル機器から得られた情報のセキュリティなど、提案対象がウェアラブル装置の応用面に広がってきています。また、提案対象の広がりとともに提案国も、韓国だけでなく、欧米、インドなどに広がりつつあります。
扱う対象領域が、ウェアラブル機器から得られる情報になると、ISO/IEC JTC1との関係整理が必要になります。日本は、このような状況に備えるためにウェアラブル装置の通信とインターフェイスを扱うWG8の設立を推進し、コンビナーに就任した広島市立大学の田中教授を中心に主導的な立場で対応していくことを目指しています。アーリントンの会合では、SCOPEが重なり合うJTC1傘下のSC6、SC41との関係整理についての議論に時間が割かれました。
TC124の国内委員会、専門委員会ではこのような状況変化に対応してゆくために、これまで以上に、エレクトロニクス関連企業、IT系企業からのエキスパート参加が求められてきます。

<主なWGの活動状況>
1. E-textiles(WG2)

韓国と英国からE-textilesのインピーダンスに関係する新規案件が合計3件提案されています。E-textilesにおける導電糸配線は、直線ではなく波型ないしループ型になってしまうため誘導成分が発生します。よってインピーダンスは配線品質の評価として必要な項目になりますが、提案者はどちらかというと変形に伴うインピーダンス変化に着目したセンサー的な側面や、アンテナへの応用(共振回路)に着目しています。各論的な議論に任せてしまうと案件間の互換性が損なわれる結果が予想されるのと、それ以上に何のためにインピーダンス測定を行うのか?という標準化の根本的な目的が見失われてしまう恐れがあるため、まずWG2内で導電糸配線の品質評価の全体像を共有するためのグランドマップ作成し、その後に各論に移ることになりました。

2. Devices and Systems(WG4)

先に触れたストレス評価、睡眠評価については、NP回覧に進むことが合意されました。プロジェクトリーダーは米国が努めます。

3. Wearable communications(WG8)

①In-body to On-body Communication System(新規日本提案)

名古屋工業大学・安在大祐先生より、10MHz ISM帯における体内から体外への無線通信規格(物理層)の提案があった。この提案は、人体内の減衰量を低く抑えられる10MHz帯に着目し、飲み込み型センサーを対象に、体内で取得したセンシングデータを体外に向けて高品質に無線伝送する物理層を規格化するものです。今後は、PWI設置に向けたQ文書の回付を行うことになりました。

②IEC 63203-801-2 ED2

日本が規格化したボディエリア・ネットワーク(MACプロトコル)標準の第2版への改訂作業。CDV回付に向けたドラフトの説明が行われました。

B. TC124構成

議長:
日本(平川秀治、東京電機大学)
幹事国:
韓国
AG1
全体 Convenor 韓国
WG1
用語 Convenor フランス
WG2
E-テキスタイル Convenor 英国と日本(前田郷司、東京大学)
WG3
材料 Convenor 韓国
WG4
デバイスとシステム Convenor 韓国と米国
JWG6
電熱衣服(ISO/TC38(Textiles)とのジョイントWG 韓国とベルギー(ISO)
WG8
ウェアラブル装置の通信とインターフェイス Convenor 日本(田中宏和、広島市立大学)

C. 今後の国際会議予定

2025年春:シンガポール
2025年秋:インド

D. 国内対応

TC124にて審議しているIEC規格は、ウェアラブルエレクトロニクス標準化専門委員会にて審議、対応しています。

ウェアラブルエレクトロニクス標準化専門委員会

1)参加企業数:12社
オムロンヘルスケア、カケンテストセンター、クラレトレーディング、図研、帝人、H2L、大日本印刷、東洋紡、ボーケン品質評価機構、ミツフジ、村田製作所、ユニオンツール

2)事業概要
ウェアラブルデバイスは、端末に搭載されたセンサーを通じて装着している人の生体情報を取得し、クラウド上で解析してフィードバックすることによって、フィットネスやヘルスケア分野などで活用され始めています。また、産業分野では作業支援や労働管理などにも使われ始めており、IoT社会の発展において、人とインターネットの融合に欠かせないデバイスとして、幅広い分野での展開が期待されています。既に、多くの企業からウェアラブル端末が発売され、また研究開発の発表などが行われている状況にあって、グローバルで健全な普及促進と市場拡大を図るためには、適切な国際標準の開発が求められており、我が国としても積極的に参画し関与して行くことが重要となっています。

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