5月度関西支部運営部会講演
支部運営部会では、5月15日(水)の部会にグーグル・クラウド・ジャパン合同会社 製造インダストリアル事業本部 副本部長の高見健太郎氏を招き、「生成AIを中心としたGoogle Cloud最新事業動向」と題する講演を行いました。
Googleの事業とカルチャー
Googleは、アナログコミュニケーションと、常に変わり続けることを重視します。持株会社Alphabetの下で各社が事業開発に取り組み、成功した事業をGoogleがグローバルに展開します。成功の基準は「10億人のユーザー確保」で、検索やYoutubeなど9事業あります。裏には多くの失敗もありますが、責められることはなく、そこから何を学ぶかが評価されます。グーグル・クラウドは、Googleが自社向けに構築したグローバルネットワークサービスを事業として社会に提供しています。
チームは多様な人材で構成されます。活発な意見交換のため「心理的安全性」を重視、担保するためのチェックリストも準備されています。自律的な働き方を尊びつつお互いの強み・弱みを補いあい、チームとして成果を上げてゆきます。
イノベーションの実現に向け、個人/チーム/部門、それぞれのレベルで、コア事業7割、成長事業2割、その先の事業1割の仕事に取り組みます(70-20-10ルール)。初めから完璧を求めず、突飛なアイデアも不可能と決めつけません(Moonshot Thinking)。ビジネスの10%拡大を求められれば、10倍拡大の提案も用意します(10倍思考)。業務時間の2割までは担当外の仕事に携わることができます(20%ルール)。
週に1日はチームを離れ、他部門や社外との取り組みを手がけます。その不在はチームで埋め、取り組みの体験をチームがシェアすることで、全体の経験値が上がります。Face to Faceに敵うコミュニケーションはないので、社員が出社したくなるオフィス環境を整備。必要な情報が社内のどこにあるか、大企業になるほどわからなくなるので、業務に関連する情報をAIがリコメンドするしくみを活用しています。
生成AI技術の概要と、企業における取り組み
生成AIモデルGeminiは、複数種のデータ(コード/テキスト/音声/画像/動画、等)をシームレスに扱う「マルチモーダル性」を備えます。保険会社ではドライブレコーダーの録画に基づく事故状況の分析に活用。学校では、手書き回答の判読、誤りに対する説明等を検証中です。感情表現の読み取りも進みつつあります。
データセンターからスマホ向けまで、多様なサイズを提供しており、今後は自動車への搭載を目指します。ユーザーのデータ行動を把握するGoogleと自動車の物理行動を把握する自動車メーカーが組めば、人の移動におけるシームレスな体験を提供し、サプライチェーンと輸送の高度化に貢献できます。
企業における生成AIの利用・開発では、大量のデータ学習とセキュリティ確保の両立がポイントとなります。Googleでは、セキュアなデータプラットフォームにおいて、Geminiに限らず最適のモデルを選択可能な環境を提供しています。ユースケース/シナリオを想定、仮説を立てて試行を繰り返し、うまく進めば、関連人材の育成も含めて本格的に進めていただきたいと思います。
講演後は活発な質疑・意見が交わされました。イノベーティブな企業カルチャーを学ぶと共に、生成AI活用のヒントを得る有意義な機会となりました。