新会長に津賀 一宏 パナソニック ホールディングス(株)
取締役会長が就任
JEITAは6月3日に第14回定時社員総会を開催し、津賀 一宏 パナソニック ホールディングス株式会社 取締役会長が新会長に就任しました。記者会見には対面/オンラインの両会場をあわせて102名の報道関係者が出席、会員企業や政府と密に連携してデジタル産業のさらなる発展に貢献し、テクノロジーと社会との調和と、サプライチェーンに関する課題への取り組みを推進していく旨が、津賀新会長より発表されました。
津賀新会長記者会見 挨拶概要
JEITAは、前身の団体設立から昨年で75周年を迎えました。今年は主催する展示会「CEATEC」が25周年、「Inter BEE」が60周年となる節目の年です。歴史の重みを感じつつ、JEITA会長として責務を果たしてまいります。
デジタル化が急速に進む中、IMD世界デジタル競争力ランキングで日本は前回より3つ順位を落とし32位となり、他国に遅れを取っています。デジタル技術は生産性や成長率を向上させ、少子高齢化や気候変動などの課題解決にも不可欠で、企業価値にも影響を与えます。デジタル産業を支える半導体やAI技術などは、日本の成長に寄与する重要な要素であり、JEITAの役割はますます重要です。
経済安全保障も重要なテーマです。情報システムは国境を越えて繋がり、データの安全・安心、自由な流通は世界経済の原動力です。デジタル化が進む中、半導体や電子部品は重要なキーデバイスとなっています。地政学リスクが高まる中、サプライチェーンの強靭化にはデバイス製造への大胆な投資や最先端技術の研究開発が不可欠です。これらの取り組みは、産学官の連携・協業が求められ、仲間作りや仕組み作りが一層重要となっています。
JEITAが注力している取り組み
社会のデジタル化と課題解決が急務となっている今、JEITAはデジタル産業を代表する団体として、社会の期待に応え、責務を果たす必要があります。会員企業が一致団結して取り組んでいる2つの重点項目を紹介します。
テクノロジーの進化と社会との調和
デジタルイノベーションは社会全体の利益となり、その恩恵を誰もが享受できることが望まれます。そのためには継続的なデジタル投資が不可欠です。デジタルの社会実装により成長力を高め、テクノロジーの進化が社会や暮らしの豊かさ、さらには日本の産業競争力強化につながるよう、事業環境の整備を推進しています。
一方で、生成AIなどの急速な技術革新に対応した利活用のルール作りや、デジタルイノベーションと社会・法制度の調整も重要です。JEITAは、デジタル技術が社会と調和するためのアクションを率先して進め、未来の社会や暮らしに貢献してまいります。
サプライチェーンへの対応
経済安全保障におけるサプライチェーンの強靭化はもちろん、人権やサイバーセキュリティ対策、サステナビリティへの対応、カーボンニュートラルのためのCO2の可視化など、サプライチェーンを取り巻く課題は増え続けています。これらの課題に対しては、データの共有・連携・活用など、デジタル技術による解決が期待されます。
しかし、サプライチェーンの問題は一社だけで解決できるものではなく、複数の企業が協力し合うことが重要です。このような活動こそ、デジタルを旗印に幅広い産業の企業が集まるJEITAの特性が生かされる分野です。コンソーシアムやプロジェクトチームなど、各課題に対応した組織体制を構築し、JEITAは推進役としてリソースやネットワークをフルに活用して進めてまいります。
2024年度の新たな取り組み
最後に、今後の新たな取り組みについて紹介します。
デジタルによる課題解決の必要性はますます広がっており、個別業界の対応では限界があります。そのため、デジタル産業界だけでなく、アカデミアや政策立案の専門家から多角的な知見を得て、協調領域の設定と活動の具体化を進めます。重要なのは、バリューチェーン全体の最適化を考えることです。
例えば、サプライチェーンのCO2排出量の可視化に取り組む「Green x Digitalコンソーシアム」では、業界横断でステークホルダーが参画し、取引先とのCO2データの共有フレームワークを国際標準と整合させて策定・実証してきました。今年度からは実装フェーズに移行します。この成功事例を他の領域にも広げていきます。
また、具体的な検討はこれからですが、デジタル田園都市国家構想の実現や物流DXに向けたアクションなど、デジタル技術が求められるテーマは多岐にわたります。全てのステークホルダーが連携して取り組むための新しい仕組み作りを進めます。
これら新しい挑戦をご覧いただく機会が、今年25周年を迎える「CEATEC」です。AIの社会実装や次世代人材育成など幅広いトピックスが揃っています。また、日本自動車工業会が主催する「ジャパンモビリティショー」も同時期に幕張メッセで開催され、日本の産業界の力を発信する絶好の機会となります。CEATEC 2024は10月15日からの4日間です。ご期待ください。