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活動報告関西支部

3月度運営部会・部品運営委員会合同会合講演

関西支部では3月6日(水)に開催した運営部会、部品運営委員会の合同会合に、自動車アナリストの中西孝樹 氏を招き、「世界の自動車業界動向」について講演を行いました。

CASE2.0~カーボンニュートラルと自動車産業への課題

CASEは、カーボンニュートラル(CN)とバッテリーEV(BEV)へのシフトに焦点が移り、「CASE 2.0」と呼ぶべき段階に入っています。温室効果ガス削減は「2035年65%」がフォーカスされ、製品・製造工程のCNとサーキュラーエコノミーへの移行が鍵を握ります。米中欧におけるBEVシフトは、24~25年度は減速の見通しながら、その後は35年に向け再加速します。30年のBEV比率は、米国25%、中国43%、欧州45%と見込んでいます。

ソフトウェアディファインド・ビークル(SDV)への進化

SDVは、ソフトウェアを定義した後にハードウェアの設計を進めるクルマづくり。ソフトのアップデートにより、車の価値を進化させます。スマホと同様のユーザー体験を実現するためには、高度なOTA(On The Air=無線によるソフトウェア更新)技術を可能とするアーキテクチャが必要で、従来の完成車メーカーが新興ブランドに追い付くことは容易でありません。26年以降、BEVとSDVの進化は完全に紐づいてくると考えています。

台頭する新興企業と企業・製品の世代交代

テスラは3つのレガシー(内燃機関、ティア1、ディーラー)を持たず、BEVを中核とするビジネスモデル構築に突き進みます。驚異的な開発スピードと、「ギガキャスティング」等の新たな発想で、組立効率を40%向上、コストを30%削減、CNにも効果を上げています。
BYDは、徹底した垂直統合により新エネルギー車を10~20万元レンジまで大衆化し、近年は、中国ローカルの自動運転技術の開発に取り組むソフトウェア企業に変貌しつつあります。
中国メーカーは、新興国・グローバルサウス展開の足がかりとして、24年以降にタイでのBEV生産を急拡大の見込みです。今後、中国SDVが世界をリードする構図は揺るがず、日本メーカーは、対抗できる車種を24~25年に中国市場に投入、新興国市場へ展開してゆく必要があります。グローバルモデルの開発はこれと切り離し、26~28年に先進国で戦う態勢を整備、その後に中国向けとグローバル向けの統合を進めれば、存在感を維持できる可能性があります。

日本OEM(完成車メーカー)の反撃

トヨタのEV開発は、26年の投入をめざす自動車用OS 「アリーン」が要となります。「マニュアルBEV」や、オンデマンドで「走り」を変える等、クルマ屋ならではのSDV価値を追求、LEXUS(BEV)とTOYOTA(ハイブリッド車)の二正面作戦を進めます。ホンダと日産に、こうした二正面作戦は難しく、アライアンスの強化に向かう可能性が考えられます。

2035年の未来図

30年における完成車メーカーの勢力図を考えると、中国・インド勢台頭の可能性が大きく、日米勢の衰退が懸念されます。伝統的な完成車メーカーの世界シェアは20年に98%でしたが、30年には86%まで縮小するでしょう。自動車産業もバリューチェーン全体でいかに収益を生むかが課題となってゆきます。

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