JEITAスマートホーム部会と石川県能美市が連携し
全世代型IoT家電活用サービスの構築に向けた
キックオフイベントを開催
スマートホーム部会では、IoT家電が取得するデータを活用し、マルチベンダーかつ多様なサービス事業者との連携と共創を可能にする「イエナカデータ連携基盤」の検討を進めています。本データ連携基盤が社会実装されている石川県能美市におけるIoT高齢者見守りシステム構築事業の成果報告および今後の子育て家庭を中心とした全世代に向けたサービス展開に向けてキックオフイベントが開催されましたので内容についてご紹介いたします。
スマートホーム部会が推進する
イエナカデータ連携基盤と石川県能美市による
社会実装事業の紹介
スマートホーム部会が推進するイエナカデータ連携基盤
「イエナカデータ連携基盤」は、スマートホームにおけるデータ連携の新しい枠組みです。従来は各メーカーが独自のクラウドでデータを管理していたため、サービス提供側はメーカーごとにデータを取得する必要がありました。しかし、「イエナカデータ連携基盤」により、エコーネットコンソーシアムが推進する共通Web APIを用いてマルチベンダーでのデータ連携が可能になりました。ただし、受け取ったデータを利用するには処理が必要であり、個人情報の編集や認証などの作業が必要です。この役割を「イエナカデータ連携基盤」が担い、JEITAスマートホーム部会とエコーネットコンソーシアムはユーザーメリットの創出を重視し、スマートホーム市場の発展に向けたデータインフラ整備に取り組んでいます。
デジタル田園都市国家構想交付金による
能美市事業へのイエナカデータ連携基盤の活用
石川県能美市では、昨年10月、広範囲にわたる市民居住地域における高齢者や要介護者の孤立リスクに対処するため、シャープ、三菱電機、AIoTクラウドの協力のもと、高齢者がIoT家電を活用することで遠隔での見守りを可能にするプロジェクトを発表しました。このプロジェクトは、石川県能美市「スマートインクルーシブシティ推進事業」の一環として実施され、IoT家電から得られるデータを活用して高齢者の生活リズムや家庭内の状況を把握し、市のケアマネージャーを通じて見守りサービスを提供します。このプロジェクトにおいては、イエナカデータ連携基盤が採用され、ECHONET Lite Web APIを介して各家庭のIoT家電から得られるデータを活用しています。これにより、イエナカデータ連携基盤の新たな可能性が拡大し、社会実装に向けた進展が期待されています。
全世代型IoT家電活用サービスの
構築に向けてのキックオフイベントを開催
石川県能美市では3月22日に、 IoT家電を活用した高齢者見守りシステム構築事業についての事業成果報告と、この取り組みを次年度以降に子育て世帯を中心とした全世代型サービスへ展開するためのキックオフイベントを同市健康福祉センターのサンテにて開催しました。
高齢者見守りシステム構築事業の成果報告
成果報告では、本プロジェクトのリーダーを務めるシャープ株式会社より事業の進捗と成果について説明がありました。説明の中では、予定されている高齢者見守りシステム構築やマルチベンダーの対応が問題なく完了している事、イエナカデータ連携基盤やECHONET Lite Web APIを活用したメーカークラウドIFが採用されている事、システム構築~設置~テスト運用といった事がスケジュールに沿って予定通り進められている事が報告されました。
現在は被験者から同意を取れたところから順次IoT家電の設置を開始しており、3月末時点で空気清浄機51台、エアコン9台の設置が予定されています。
また、今回の報告の中ではIoT家電から取得されるデータがどのように処理・活用されるのか(高次化データ)について説明がありました。今回の取り組みでは、高齢者が自宅にいるかどうか(在・不在)、起床・就寝の時刻、お部屋環境の危険度に対応しており、さらにイエナカデータ連携基盤が提供する高次化データとして生活習慣情報の生成と習慣との差分に気付くことができたことを発表しました。
プロジェクトリーダーからは、今後の展開として、対象者数の拡大や、石川県全体システムとの連携による横展開の可能性に言及し、「『誰一人取り残さない、共に助け合う社会(スマートインクルーシブシティ)』実現に向けて、IoT家電のカテゴリ拡大、対象者の拡大、および、子育て支援や防災への用途拡大に貢献できるように引き続き、JEITA、エコーネットコンソーシアムが、連携して取り組む」との説明がありました。
スマート家電の可能性を探る。
子育て世帯との交流でリアルな悩みに直面
今回のキックオフイベントでは第2部として、能美市内の子育て世帯を招き、全世代型IoT家電活用サービスの構築に向けて“カフェトーク”として育児での困りごとやどういった公的支援があると子育ての負担が減るのかといった事をヒアリングするセッションを実施しました。
子育て中の困りごととしては、母親への負担が集中してしまう事で、時間的・精神的な余裕が無くなってしまうという意見が多く、スマート家電については便利であるが、使いこなせていない、機能や使い方を調べることや慣れるまでの時間的な余裕がないといった意見がありました。
また、行政に実施して欲しいサービスについてのテーマでは、子供が風邪で休んでいる間のオンライン授業の対応や、病児保育に預ける程ではない子供の預け先や、自営業の育児世帯への経済的支援も含めた育児休暇制度の構築といった意見が出されました。
これを受けて能美市長からは、「お掃除ロボット、乾燥機付き洗濯機、食洗器といった生活家電については、子育て世代の時間がないから、こういった商品が売れるのだと改めて感じた。能美市では、妊娠期から18歳までの子育て世帯をサポートし、福祉から教育までが充実した住みやすい市にしたいと考えている。本日のリアルな声は、能美市の課題だと感じている。この課題を次年度以降の事業に活かしていきたい」との発言があり、今後の全世代型サービスへIoT家電が活用される期待が高まるイベントとなりました。
■キックオフイベントの様子
引き続き、皆さまからスマートホーム部会活動へのご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。
本件の
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合わせ
E-mail : smarthome@jeita.or.jp