「JEITAベンチャー賞」受賞企業5社が決定
2024年3月27日、「JEITAベンチャー賞」の受賞企業5社およびEarly edge賞(特別賞)1社が決定したことを発表しました。
JEITAベンチャー賞は、電子情報技術産業の総合的な発展のみならず、経済発展に貢献しうるベンチャー企業を表彰するもので、IT・エレクトロニクス業界の発展に繋がるベンチャー企業を支援するとともに、JEITA会員企業とスタートアップ(優良ベンチャー)企業との共創・連携・エコシステムの構築支援を目的としたものです。「JEITAベンチャー賞審査委員会」が成長性(先導性)、波及性、社会性の3つの視点からベンチャー企業を審査・選考した結果、第9回 JEITAベンチャー賞は、オーシャンソリューションテクノロジー株式会社、サステナブル・ラボ株式会社、株式会社 Thinker、7Gaa株式会社(セブンジー ツーエー K.K.)、株式会社TriOrbの5社が受賞しました。また、特別賞として「Early edge 賞」(市場における貢献度は未知数だが、非常に高い技術を保有し、将来、大きな成長が期待できる企業)は、LOMBY株式会社が受賞しました。
今回受賞した6社のベンチャー企業は今後、JEITAの活動に参画いただくほか、Society 5.0の実現を目指すCPS/IoT総合展「CEATEC」への出展やJEITAが主催するシンポジウムやセミナーなどへの登壇、さらにはJEITA会員企業との交流支援などの特典が授与されます。
受賞企業の審査評価(社名五十音順)JEITAベンチャー賞
オーシャンソリューションテクノロジー(株)https://www.ocean5.co.jp/
オーシャンソリューションテクノロジー株式会社は、水産業のDX化を目的に、漁業者支援サービス「トリトンの矛」を提供する。熟練者の経験と勘に頼っていた漁業のノウハウをデジタル化することで、高齢化が進む水産業の課題解決のツールとなり得る。船舶に搭載するIoT機器によって航行軌跡を自動記録し、漁獲量も含めた操業日誌データを自動作成、そして漁協に報告書が自動で送られる。こうして蓄えた過去の操業日誌データと現在の海洋気象情報をAIで解析することにより、効率よく漁獲が可能な漁場を選定する機能を備える。インドネシアをはじめとする海外展開も期待される。よって、JEITAベンチャー賞に相応しいと判断した。
サステナブル・ラボ(株)https://suslab.net/
サステナブル・ラボ株式会社は、定性的で数値化されにくい企業のESG/SDGs貢献度をデータ化・可視化し、ESG投融資判断や企業価値評価の為のツールを開発した。サステナビリティ情報を「見たい側」である機関投資家向けツール「TERRAST」に加え、機関投資家に「見せたい」側である非上場企業向けツール「TERRAST for Enterprise」を製品化している。既に、国内上場企業3,000社+海外上場企業1,000社をカバーする情報量を有するが、投融資に有用のツールとして、今後、中小企業への利用が見込まれ、更なる事業拡大が期待される。よって、JEITA ベンチャー賞に相応しい企業と判断した。
(株)Thinkerhttps://www.thinker-robotics.co.jp/
株式会社Thinkerは、対象物との距離と傾きを高速で検知することができる近接覚センサーの事業化を実現した。ロボットハンドに近接覚センサーを搭載することにより、カメラなしでも透明物体や鏡面物体の形状をハンド自体が認識し、また高速かつ高分解能の処理を可能とするAIモデルの搭載により、対象物の動きを含む状況変化を即時に把握できる。今後、ロボットフレンドリーな社会の実現に向け、すでに導入が進んでいるFA現場に加え、食料工場など人力作業が多い現場やホームロボット市場などの幅広い分野での展開が期待される。よって JEITA ベンチャー賞に相応しい企業と判断した。
7Gaa(株)(セブンジー ツーエー K.K.)https://7gaa.co.jp/company/company/
7Gaa株式会社(セブンジー ツーエー K.K.)は、精緻かつ短時間での電波測定が可能な、独自のデータ算定・分析方法(近傍界アルゴリズム)および、高いデータ転送速度と帯域幅での通信を低コスト・広帯域対応・長距離伝送を伴って可能にする、光ファイバーと光源発受装置を一体化した装置である「XGocTM」をコアに、通信機器製品を製造する際に欠かせない電波計測の低コスト化・効率化を行い、中小企業の通信IoT分野への参入を後押しするなど、5G/Beyond5G&6G(主にミリ波帯)の普及促進に貢献している。自動車、素材、電機などの業界を対象に売上実績もあり、将来性が期待できる。よって、JEITAベンチャー賞に相応しい企業と判断した。
(株)TriOrbhttps://triorb.co.jp/
株式会社TriOrbは、高性能な移動プラットフォームとして多種多様なロボットのAMRとして利用が可能となる、球体を駆動部に用いた精密な球駆動式全方向型自律移動プラットフォーム”TriOrb BASE”を開発し、工程間搬送の省人化・付帯作業の自動化など、製造業での実用化を展開している。さらに、Visual SLAMによる自律移動ソフトウェア開発・複数台でのロボットの協調搬送システムへの展開などの複合的な技術により、これまで課題とされている、精緻な位置決め、走行環境の制約、高重量・長尺など多種多様な搬送物への対応などを解決することが期待される。よって、JEITA ベンチャー賞に相応しい企業と判断した。
Early edge賞
LOMBY(株)https://lomby.jp/
LOMBY株式会社は、物流ラストマイルインフラの構築のための屋外輸送網を自動化する製品およびサービスの提供を目指している。このため、安価な国産ロボットの製造やIoTロッカーの開発には、スズキ株式会社やリョービ株式会社の子会社との共同開発を実施し、実証実験は株式会社セブンイレブン・ジャパンと共同で行うなどの戦略を取っている。自社の有する技術とこのような戦略を通して、今後重要となる物流インフラ市場とともに成長することが期待される。よって、Early edge賞(特別賞)に相応しい企業と判断した。