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小島会長記者会見
~社会課題解決や次世代育成などの成果を発信~

2023年12月21日に小島啓二会長による記者会見を対面とオンラインのハイブリッド形式で開催し、「電子情報産業の世界生産見通し」など、各種取り組みに関する発表が行われました。
計109名の報道関係者にご参加いただき、その内容は報道各社によって広く社会に発信されました。

記者会見する小島会長
対面会場の様子

【発表内容のハイライト】

業界動向(電子情報産業の世界生産見通し)

エネルギーや原材料価格の高騰、地政学リスクの高まりなど不透明感が強く、個人消費や設備投資が鈍化する環境の中、デジタル化の投資拡大でソリューションサービスは伸長したものの、それらを補うまでには至らず、世界生産額は3兆3,826億ドルで前年比3%減の見込みとなりました。2024年は、インフレの鎮静化が遅れるなどの景気リスクは残るものの、デジタル化による社会や企業を変革する動きが世界各国で進み、電子機器やデバイス需要の回復、ソリューションサービスの需要拡大も見込まれることから、世界生産額は前年比9%増の約3.7兆ドルとなり、過去最高の世界生産額を更新する見通しです。品目別でみますと、2023年はソリューションサービスが過去最高を更新する見込みで、2024年はソリューションサービスに加え、半導体も過去最高を更新する見通しです。

注目分野に関する動向調査

世界の生成AI市場の需要は2023年の106億ドルから、2030年には2,110億ドル、約20倍に急速に成長すると見通しました。日本市場も現在の15倍となる約1.8兆円に成長する見通しです。アプリケーションの急速な普及や専門分野向けの生成AI活用ニーズの拡大により、徐々に適用/応用範囲を広げ、市場が拡大していくとみています。利活用分野別で特に伸長が著しいのが製造分野で、年平均50%を超えて成長し、2030年には507億ドルへと拡大する見通しです。他にも金融や公共、通信・放送分野などにおいて、作業の効率化や創作活動の拡大などで利活用が広がると見通しています。また、生成AIの発展や利活用の広がりにより、ハードウェア市場にも効果がおよびます。ハードウェア11品目を抽出して需要見通しをまとめた結果、2030年までの年平均成長率は世界で4.7%増、日本で3.7%増となっており、これは生成AIによる押し上げが盛り込まれているものです。特にインフラについては、世界と日本で3割程度の大きな押し上げ効果が織り込まれた見通しとなっています。

JEITAの取り組みと今後の見通し

JEITAの目指す「テクノロジーの進化と社会との調和」、「デジタルによる社会課題解決の推進」について進捗をお伝えします。
テクノロジーの進化と社会との調和を実現するために、「AIに関する提言」を改訂し、利用者のリテラシー向上やセキュリティ対応を強化、国際的な協力を通じた社会実装について、指針を具体化しました。今回の改訂に際しては、会員企業による「行動宣言」と「実践」を共に公開し、率先垂範に努めました。今後も提言に沿った実践を進めると同時にTech7(テック・セブン)と呼ばれるG7各国・地域のデジタル業界団体とも引き続き連携しながら、最新テクノロジーとの調和が取れた社会実装を推進してまいります。
デジタルによる社会課題解決の推進については2つの取り組みを紹介します。JEITAが事務局を務める「Green x Digitalコンソーシアム」が日本初の試みとなる、仮想サプライチェーン上におけるCO2データ連携に成功しました。CO2データ連携の国際的なイニシアチブとの対話を強化しています。また、スマートホーム部会が共通の通信規格を策定した「イエナカデータ連携基盤」を活用した「IoT家電による高齢者見守りシステムサービス」が石川県能美市において2024年4月より本運用となる見込みです。スマートホームは、政府が進めるデジタル田園都市国家構想における重要なテーマの1つであり、JEITAとしても長く注力しているテーマです。取り組みをさらに広げていき、デジタルによる社会課題解決を推進します。

CEATEC 2023

学生をはじめ、若手・中堅世代も含めた「次世代」こそが、デジタルトランスフォーメーション、グリーントランスフォーメーションを支える人材であり、担い手育成の取り組みを強化しています。その1つがCEATECです。CEATECはビジネスや技術交流がメインの場である一方、未来を切り拓く若い世代を応援するため、大学研究機関やスタートアップ企業の参画誘致や教育的支援にも取り組んでいます。今後は次世代の中でも、エンジニアリングや研究開発といったフィールドで活躍される技術者や研究者の皆さんをより一層応援する施策を推進していく方針です。イノベーションを創出するには、きっかけとなる出会いや交流、新たな発見があることが重要です。産官学の社会を変えるイノベーターが一堂に会する共創の場として、2024年、CEATEC 25周年の記念開催の準備を進めてまいります。ご期待ください。

刊行物のご案内

『電子情報産業の世界生産見通し2023』
(「注目分野に関する動向調査」付き)

  • ■発行年月:2023年12月
  • ■会員価格:6,600円