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活動報告事業推進部

ウェアラブルエレクトロニクスの標準化が新たな局面に!
~IEC TC124ミラノ会議報告~

2023年10月2日~10月6日にイタリア・ミラノで、IEC(国際電気標準会議)TC124(ウェアラブルエレクトロニクス)Plenary会議および傘下グループの会議が開催され、活発な議論が交わされました。以下では会期中の審議・決議の中から重要な議案について紹介します。

TC124概要
IEC TC124(ウェアラブルエレクトロニクス):2017年7月に設立、現在、国際議長:平川秀治氏(東京電機大学)Pメンバー(投票権を持つ国):13カ国、Oメンバー(オブザーバーの国):10カ国、傘下に4のWG(Working Group)がある。なお、TC124の受託審議団体はJEITA であり、TC124国内委員会・委員長には相澤氏(東京大学)、幹事長には前田氏(東洋紡)が就任し、議事運営を行っている。

A. 主な議論

1. ミラノ会議

ミラノ会議はCEI(イタリア電気技術委員会)にて開催され、日本からの9人を含む約40名(8カ国)が参加しました。各既存のWGにて開発中の案件の審議の他、新たにJWG6(電熱衣服、IEC TC124/WG2とISO/TC38/WG32)、AhG7(ウェアラブルのユースケース)の設立が承認されました。さらにウェアラブル通信を扱う新WGの設置をPメンバー国に問い合わせることが承認され、それに伴い、準備的な役割であったJAHG5は解散することとなりました。

2. WG1:用語、WG2:E-テキスタイル

WG1では、各規格の進行に伴い新たな用語につき定義について審議が行われました。またWG2ではNP提案された電熱衣服につきISO/TC38のリエゾンも交えて丁寧な審議があり、前記の通りJW6設立にて次のステップに進むことが承認されました。また韓国とインドより新規提案の説明があり、今後の活発な議論が期待されています。

3. ウェアラブル通信の新ワーキンググループに向けて

日本が主導して開発を行ってきたBody Area Network(BAN)の規格化が終了し、昨年11月に規格書が発行されましたが、ウェアラブル関連の通信分野は更なる発展が期待できることから、今回のPlenary会議ではウェアラブル通信に関する新しいワーキンググループを設立して専門的に議論するかどうかの投票をPメンバー国に対して行い、判断することになりました。賛成多数で可決されれば、次回のヘルシンキ会合から新しいワーキンググループが設立されることになり、コンビーナは日本から選出される予定です。

B. 今後の予定

2024年5月:ヘルシンキ
2024年秋:Plenary会議:未定

C. 国内対応

【IEC TC124(ウェアラブルエレクトロニックデバイスおよびデクのロジー)関連組織】

TC124にて審議しているIEC規格は、ウェアラブルエレクトロニクス標準化専門委員会にて審議しており、その傘下に2つ標準化小委員会を設置し、対応しています。
これまでのTC124ではE-テキスタイルならびに各種センサー類に関する標準化提案が主でしたが、今後は通信関係、生体情報の管理、各種応用に関する標準化提案が増加し、エレクトロニクス的な側面が強くなってくると予想されます。JEITA会員各社の積極的なご協力をお願いします。

D. 表彰関係

IEC 63203-801-1およびIEC 63203-801-2のProject Leaderである田中宏和氏(広島市立大学教授)がIEC1906賞を受賞されました。

ウェアラブルエレクトロニクス標準化専門委員会

1)社数:12社 オムロンヘルスケア、カケンテストセンター、クラレトレーディング、図研、帝人、東洋紡、東レ、ボーケン品質評価機構、ミツフジ、村田製作所、ユアサシステム機器、ユニオンツール

2)事業概要 ウェアラブルデバイスは、端末に搭載されたセンサーを通じて装着している人の生体情報を取得し、クラウド上で解析してフィードバックすることによって、フィットネスやヘルスケア分野などで活用され始めています。また、産業分野では作業支援や労働管理などにも使われ始めており、IoT社会の発展において、人とインターネットの融合に欠かせないデバイスとして、幅広い分野での展開が期待されています。既に、多くの企業からウェアラブル端末が発売され、また研究開発の発表などが行われている状況にあって、グローバルで健全な普及促進と市場拡大を図るためには、適切な国際標準の開発が求められており、我が国としても積極的に参画し関与して行くことが重要となっています。

3)関係リンク先
・IEC TC124
https://iec.ch/tc124