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活動報告事業推進部

IEC TC100フランクフルト会議報告


Plenary会議
2023年9月4日~9月8日にドイツ・フランクフルトで、IEC(国際電気標準会議)TC100(AV・マルチメディア、システムおよび機器)Plenary 会議(総会)および傘下グループの会議が開催され、活発な議論が交わされました。以下では会期中の審議・決議の中から重要な議案について紹介します。

TC100概要
IEC TC100(AV・マルチメディア、システムおよび機器の技術分野に関連する国際標準):1995年10月に設立-2004年1月より日本が幹事国を務めており、現在、国際幹事:上原まひる氏(ソニーグループ)、国際副幹事:佐久間正剛氏(東芝)、田中宏典氏(パナソニックオペレーショナルエクセレンス)、Pメンバー(投票権を持つ国):21カ国、Oメンバー(オブザーバーの国):26カ国、傘下に11のTA(Technical Area)がある。なお、TC100の受託審議団体はJEITAであり、TC100国内委員会を運営している。

A. 主な規格化提案

1. TC100/WG12:メタバース

メタバースに関する定義、分類、標準化の観点でのギャップ分析に関するPWIの初稿案のレビューが行われ、TC100の視点でのメタバース定義、分類であることを明確にすることが推奨されました。またWG12の標準化のロードマップが示され、WG12の具体的な標準化項目について、引き続き、議論していくことになりました。

2. TA18:エンドユーザーネットワーク

PNW TS 100-3957では、NP投票中の“Haptics stimuli descriptors”(多種多様なHapticsの諸元表示として簡単にその内容を把握、分類できる記述子仕様)を改めて説明、本会議後投票可決となりCD段階に進むこととなりました。(当初、議論参加国不足もその後の説明で定数揃いました。)
また、メタバースの国内対応組織での議論をもとに、相澤氏(東京大学)より「Alignment of Heterogenous Data Streams with Video Frames」という新規規格案のコンセプト、ユースケースについてのプレゼンテーションを行いました。プレゼンテーション後の議論の結果、この規格案をTA18で議論していくことが合意されました。

3. TA4:デジタルシステムインターフェース

日本主導によりMT 62889で進められていた、自動車搭載用途向けビデオ信号伝送規格IEC 62889のedition 2への改定は、CDV(投票用委員会原案)の回覧が終了し、フランクフルト会議でCDVコメントの審議・解決、およびFDIS(最終国際規格案)段階を省略し出版することが承認されました。2023年内の出版が見込まれており、2022年2月のMT(メンテナンスチーム)の設置からおよそ2年で規格化の完了を迎えました。

B. 新国際役員

TC100国際幹事に上原まひる氏(ソニーグループ)、TC100国際副幹事に田中宏典(パナソニック)が2023年8月より承認されました。


Ulrike Haltrich氏(国際議長(左))、上原まひる氏(国際幹事(右))

C. TC100国際役員

現在の傘下TAと日本人国際役員は下記の通りです。

<現在の傘下TAと日本人国際役員>

TA1:
音声・映像・データサービス・コンテンツ用端末
議長:佐久間正剛(東芝)
TA2:
色彩計測および管理
議長:杉浦博明(三菱電機)
TA4:
デジタルシステムインタフェース
TA5:
ケーブルネットワーク
幹事:田村博夫(ジャパンケーブルキャスト)
議長:松本卓三(古河電工)
TA6:
ストレージ
幹事:中村竜也(キヤノン)
議長:勝尾聡(ソニー)
TA15:
ワイヤレス給電
TA16:
AAL(自立生活支援)、アクセシビリティおよびユーザーインターフェース
TA17:
車載機器、マルチメディアシステムおよび機器
議長:小出啓介(ソニーセミコンダクタソリューションズ)
TA18:
エンドユーザーネットワーク
幹事:小出啓介(ソニーセミコンダクタソリューションズ)
議長:田中宏和(広島市立大学)
TA19:
環境
TA20:
オーディオ
幹事:鈴木伸和(ソニー)

D. 今後の予定

TC100国際幹事より、今後の予定について、下記のような説明がありました。
2024年5月:AG1/AG2会議:シンガポール

E. 表彰関係

これまでのTC100の活動が評価され小出啓介殿(ソニーグループ)がIEC1906賞および産業技術環境局長表彰、奥田悟崇殿(三菱電機)が産業技術環境局長表彰を受賞しました。

AV&IT標準化委員会

1)社数:24社

2)事業概要
・マルチメディア(AV&IT)機器・システム分野の標準化推進とIEC/TC100対応
・IEC/TC100規格・ISO規格・JTC1規格の作成、提案、審議 国際会議対応 など
・JEITA規格・JIS規格・国内関連規格の作成、提案、審議 など
・上記分野の標準化方針、ビジョン、基本政策の策定と関連委員会への周知
・傘下の委員会間の課題解決調整、情報交換共有
・委員会、委員会の対外課題への対応と解決調整

3)関係リンク先
・AV&IT標準化委員会
https://home.jeita.or.jp/cgi-bin/about/detail.cgi?ca=14&ca2=384
・IEC TC100
https://iec.ch/tc100