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活動報告関西支部

環境セミナー2023

関西環境対策委員会では3月7日(火)に掲題のセミナーをハイブリッドで開催しました(関西支部運営部会と共催)。欧州を中心とする化学物質規制の最新動向と、サーキュラーエコノミーに関わる日本企業の課題・戦略をテーマに3つの講演を行いました。

最初に(一社)東京環境経営研究所 シニアコンサルタントの萩原利哉 氏より「EUライエン委員長の掲げる環境政策と化学物質規制のうねり」と題する講演がありました。
「EUグリーンディール」は、域内における2050年の気候中立・GDP倍増を目指し、8つの環境分野における戦略を示します。そのうち「クリーンな循環型経済のための産業戦略」および「毒性のない環境のための汚染ゼロ目標」に関するアクションプランである「新循環型経済行動計画」および「持続可能な化学物質戦略」について、そのねらい、また具体的な動きとして電池規則案の検討状況、REACH規則等を巡る法改正の動きが説明されました。さらに、エコデザイン規則、REACH規則等に関わるイニシアティブについても詳しく解説されました。化学物質に関わる現行規制の多くは数年内の改正が見込まれています。

続いて(一社)東京環境経営研究所 理事長の松浦徹也 氏より「EU法の加盟国法への転換例とEU以外の国の法規制の影響」と題する講演がありました。
2018年に改定された「廃棄物枠組み指令」(WFD)の第9条は「持続可能な生産・消費モデルの促進」、「修復、再利用、アップグレードが可能な製品の設計、製造、使用の奨励」、「重要な原材料が廃棄物になることの防止」を掲げています。講演では、これらの理念が加盟国の法規制に具体化されるプロセスにつき、先行するフランス国内法を例に解説がありました。「フランス環境コード」を踏まえたミネラルオイル(鉱物油)規制・省令、売れ残り商品の廃棄禁止、修理可能性指標の導入等につき詳しく説明されました。また、有機フッ素化合物PFASの規制について、国際条約の動向と、それを踏まえたEUならびに米国(メイン、カリフォルニア、ワシントン等、州レベルを含む)の動きが紹介されました。

最後に多摩大学ルール形成戦略研究所 客員教授の市川芳明 氏より「カーボンニュートラル、資源循環型社会等、広い環境視点での動向と日本経済の課題」と題する講演がありました。
欧州の産業政策は、域内製品の競争力強化に向け、社会課題を起点にマーケットメカニズムを形成するのが常で、炭素国境調整メカニズム(CBAM)を含む環境規制もこの例に漏れません。デジタルプロダクトパスポート(DPP)においては、製品の持続可能性を証明するため、ライフサイクルに沿ったトレーサビリティが求められます。欧州では既に対応の検討が進んでいます。
標準化の役割は、互換性・品質の基準から、価値の定義(コンセプト規格)による市場創出に進化しており、ルール形成の巧拙は産業の競争力に直結します。欧米のルール形成戦略が解説され、日本の進むべき方向性が示唆されました。
会場とオンラインを合わせ150名超の聴講があり、各講演後には積極的な質疑が交わされました。

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