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活動報告市場創生部

デンマーク大使館とJEITAデザイン委員会が連携し、
WORLD DESIGN FORUM 2023を開催

JEITAデザイン委員会は、デンマーク大使館と共催で、GXとデザイン、DXでのユーザーデザイン、倫理デザイン、ブランディングとデザインなど国際的知見の共有を目的にイベントを開催しました。
2022年5月18日に開催した、JEITA World Design Forum 2022の続編として、デンマークデザインセンター CEOクリスチャン・ベイソン氏の来日に合わせ実現した講演の内容をご紹介します。

1. 講演概要

●開催日時:2023年2月1日

●会場:JEITA大手町事務所

●聴講者:約200名(オンライン含む)

●登壇者

[オープニング]

・宇田哲也 氏 (JEITAデザイン委員会委員長・富士通株式会社デザインセンター センター長)

・クリスチャン・ベイソン 氏 (Danish Design Centre (DDC) デンマーク・デザイン・センター CEO)

・ディナ・オーマン・ハンセン 氏 (デンマーク大使館商務担当公使参事官) 

[スピーカー]

●基調講演

・クリスチャン・ベイソン 氏 (Danish Design Centre (DDC) デンマーク・デザイン・センター CEO) 

●プレゼンテーション

・濱口屋有恵 氏 (コントラプンクトジャパン代表取締役)

・ペターセン花野 氏 (Queue/it 営業部シニアアカウントエグゼクティブ)

・ミケル・ムンク 氏(2021.AI CEO)

2. オープニングセッション

JEITAデザイン委員長の宇田氏、デンマークデザインセンター(DDC)CEOのベイソン氏、デンマーク大使館公使参事官のハンセン氏が登壇し、低迷する日本経済やデンマークの若者のメンタルヘルスなどの課題について共有し、解決に向けた共創の必要性や企業間の関わりなどが語られました。また、共創プロセス自体を楽しむことの大切さも述べられました。

左から、ベイソン氏、ハンセン公使参事官、宇田委員長
(撮影:富士通 横田 奈々 氏)

3. ベイソン氏の基調講演

「解決されるべき社会課題のためのデザイン」というテーマでベイソン氏から基調講演をいただきました。

[基調講演の概要]

・ダボス会議において、企業は社会的責任を果たすため、株主資本主義からステークホルダーへのシフトが必要であることが強調された。

・デザイナーは課題に対応しつつ、良い方向に物事を変えることも必要とされている。(事例:米国退役軍人省のウェブサイト改善で省への信頼が増加した)

・社会課題解決に対する取り組みの例として、デンマークデザインセンター(DDC)が作成したThe Digital Ethics Compass:安心して使える責任あるテクノロジーを設計する支援などを紹介

・前提を疑い、さまざまなステークホルダーを巻き込みながら協業することが必要

デザインを活用した社会課題解決は、未来への価値創造プロセスの一つであること、そして、企業が社会的な責任を果たすためにも、デザインを活用して社会課題に取り組むことが必要であることを再認識する基調講演となりました。

デンマークデザインセンター クリスチャン・ベイソン氏

4. 各ご登壇者のご講演

ベイソン氏の講演を受け、国際的に事業を展開するデンマーク企業3社による社会課題解決に向けた事業や、エコシステムの中でデザインの果たす役割について、具体的な取り組み事例をご紹介いただきました。
オーステッド社のリブランド事例では、デザインの重要性だけでなく、パーパスのブランディングによる体験を通じた社会的な適切性の必要性が強調されました。Queue・it社の仮想待合室の事例では、顧客の信頼やロイヤリティを獲得するために、公平性の保持が必要であることが示されました。最後に、2021・AI社は、ガバナンス、リスク、コンプライアンスの遵守の必要性と、行動規範の定め方やそのバランスについて講演しました。
企業や社会にとって適切な体験や公平性を提供する際に、デザインが重要な役割を果たすことが示唆されました。

コントラプンクトジャパン 濱口屋氏

Queue・it ペターセン花野氏

2021・AI ミケル・ムンク氏

5. ネットワーキング

講演会と質疑応答の後は、現地参加者によるネットワーキングが行われ、デンマークのお菓子が和やかな場に花を添えました。

デンマークのお菓子

6. 講演の反響

者アンケートでは、回答者の約半数が社会課題解決に対するデザインの役割について共感し、社会課題に取り組むデザイナーに対して期待の声が寄せられ、本イベントがデザインの力が社会に及ぼす影響を考える一つのきっかけとなったことが伺えました。

7. 今後のデザイン委員会の活動

JEITAデザイン委員会は、2022年度に新たな中期計画を策定し、企業の枠を超えたエコシステムを形成し、社会課題解決に取り組む存在を目指し、活動を続けています。
2023年度は、引き続き各専門委員会で調査・研究を行い、社会や企業へ貢献するデザイン活動を推進するとともに、政策連携も見据えながら、社会課題を解決するデザイナーの在り方の探索と実践を進めます。
委員会の今後の展開にご期待ください。

デザイン委員会の情報は、noteで定期発信を予定しています。

■JEITAデザイン委員会 note

https://note.com/jeita_design
※本講演会の詳細レポートもnoteに掲載しています。