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活動報告市場創生部

企業の経営課題に貢献できるデザインの役割強化に向け
WORLD DESIGN FORUMを開催

ESG投資やSDGsなど社会課題への対応による企業価値の向上が求められている中、デザイン組織が果たす役割も変化しています。デザイン委員会では、先進的な欧州の事例を学ぶことで、サステナブルな企業経営実現に資するため、デンマーク大使館の協力を得て、2022年5月18日にオンラインでWORLD DESIGN FORUMを開催しました。

開催の目的

デザイン委員会では、企業や業界におけるデザインのプレゼンス向上のため、デザインに関わる諸問題の調査・研究、情報発信等を行っています。
企業価値を高めるためには、社会課題への取り組みは、避けては通れないものになっている一方で、年々複雑化、多様化する社会課題は、1社で対峙するには困難を極めます。
この課題へのアプローチとして、デザインのチカラが注目されており、欧州ではデザインと企業活動は一体化し、社会におけるデザインが果たす役割は拡大しています。
デザイン委員会は、この点に注目し、欧州の先進事例をもつ有識者から、サステナブルな企業価値創造が求められる時代の新規事業創出に向けて、デザインが果たす役割のヒントを得るため、セミナー開催を通じた情報発信に取り組みました。

プログラム

セミナー内容

デンマークの国立のデザインセンター長であるクリスチャン氏による「デザインの未来」と題した基調講演では、デザインの財務的な価値や、デザインの価値を最大限に引き出すために必要なリーダーの役割等を紹介し、組織を生き物として捉え、ミッションに対して有機的に変化させていくことが、組織の創造性を発揮するために必要なことであると述べました。
また、イノベーションを生み出すために必要なことは、多様性と共創であることに言及し、マイルス教授とエスベン氏はそれら2つの要素を元に、デザインチームが実現していくための取り組みについてディスカッションを行いました。

多様性について、マイルス氏は、デザインチームにおいては、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーがもたらす違いが、さらなる違いをもたらし、新しいアイディアが生まれることによって、隠されたチャンスが見つかると述べました。また、デザインチームには、デザイナーのイマジネーションの実現可能性を考慮する役割や、研究者や技術者と歩調を合わせるデザイナー側の意識も時に必要であることを指摘しました。
エスベン氏は複数のステークホルダーが参画するチームにおける共創の事例として、日本とデンマークの意思決定の過程を比較しました。デンマークでは、解決策を見出すプロセスにおいて、時に合意に至れないことがあるほど、激しい議論を交わす一方、日本ではコンセンサスを重視しつつも、激しい議論の発生がないため、発言を伴わない意見は存在しないことになってしまうと指摘しました。そのため、日本ではデンマークのような議論を行うのでなく、意思決定の段階で、解決策を見出すプロセスに立ち返り、その際に挙げられた意見を参考にする、という方法で意思決定をサポートしていると述べました。

デザインを活用した経営の実現に向けて

日本においては、デザインが経営に果たす役割はまだまだ少ないと言え、各社内でのデザインセクターと各部署のコミュニケーションを加速し、更なるイノベーションを生むための施策に取り組む必要があります。

JEITAデザイン委員会は、引き続き海外の先進事例の収集に取り組むとともに、多様なクリエイティビティの力で、企業の枠を超えた異業種との共創・課題解決に向けた活動を続けてまいります。
2022年度は、インハウス組織のありたい姿の実現に向けて、中期計画を策定に取り組んでいます。
本取り組みにご興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、是非、デザイン委員会にお声掛けください。

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