2021年度三次元CAD情報標準化セミナー報告
2022年3月18日(金)に、三次元CAD情報標準化専門委員会(以下、専門委員会)主催の三次元CAD情報標準化セミナーを開催しました。本年度も、まん延防止等重点措置の延長などもあり、オンライン(ライブ配信)のみとなり480名以上の方が受講されました。昨年度のセミナーで発表した「業務で使える3DAモデル(3D製品情報付加モデル)」の継続的な検証と標準化活動の取り組みについて発表しました。具体的には、詳細設計業務を更に効率化するためのJEITA普通公差の改定版「ET-5102A」発行や、ダウンストリームで確実に伝えるデータム&幾何公差設定ガイドライン、実践的なサンプル部品を用いた幾何公差の検証・測定例集などを紹介しました。
実践的にダウンストリームで効果が得られる
DTPDの検証と標準化活動
DTPDの普及へ
専門委員会では、3DAモデルの普及とともに「構想設計/CAE~製品設計~生産、製造、計測~サービス」まで幅広く、設計成果物である三次元デジタルデータを活用すべく、2013年より、「DTPD:Digital Technical Product Documentation」の普及にも軸足をおき、自工程と次工程での設計情報活動を見据えたプロセス化とデータ標準化を目指しています。
JEITA 「ET-5102A」(普通幾何公差)規格の改定
【JEITA_ET-5102A改正版の発行】
普通公差(いわゆる指示なき箇所の公差)の指示を、3DAモデルにも採用すると表記省略により詳細設計の効率化や製造や検査などの実務での3DAモデルの見易さなどのメリットが得られます。更に、このJEITA規格では、データム座標系を定義し、それを利用した輪郭度公差および位置度公差により明確な指示ができます。また、今回の改定版では、サイズ公差も等級表から選び付与できるようになりました。今後は、適用部品種類の拡大(現状、樹脂成型品のみ)、誘導形体(中心点・中心線・中心面)への適用、マシンリーダブル対応、公的規格への上程などの活動を続ける方針です。
データム&幾何公差設定ガイドライン
【データム&幾何公差設定ガイドライン】
DTPD運用検討会では、データム&幾何公差設定ガイドラインを作成しています。ここでは、実際の部品の使われ方、取り付け方、測定まで考慮したデータム設定による拘束を説明しています。設計要求、機能要求と測定の再現性に関する注意事項や部品の複数拘束や自由状態における事例なども掲載しています。更にデータム形体の測定方法などにも踏み込んだ内容となっており、品質保証の実務での問題解決にも役立つと思われます。
セマンティックPMI定義の検証、技術的課題と今後の展望
【セマンティック定義の検証】
【主なPMIデータ品質の問題点】
昨年度、専門委員会にて、各CADソフトウェアの機能で、データムと幾何公差に必要な機能がセマンティックPMIで実現できるかの検証した継続として、本年度は、CADベンダー様3社に協力いただき、最新バージョンでの状況を確認しました。この過程で、「データム」「データムターゲット」「データム系」の理解を深めてもらう説明会も実施し、確かな検証が実施できました。セマンティックPMIが正しく定義できれば、後工程の効率化と自動化に繋がるので、重要なフェーズとなっています。
更に、本セミナーでは、STEP AP242やJTなどの中間ファイル使用時の問題点や今後の取り組みについても報告いたしました。
幾何公差の検証・測定例集「実践編」
【幾何公差検証測定例集】
2018年に発行した幾何公差の検証・測定例集は、基礎的な形体の測定方法について、ゲージ等を使用した検証と3次元測定機を使用した場合の説明を掲載しました。今回は、実務で利用し易いように、実際の部品を用いた例集を作成しました。CMMと非接触3次元測定については、測定機メーカー様の協力を得てしっかりとした内容になったと思います。
公差解析のすすめ
【公差解析のすすめ】
設計者は、要求仕様に従った機能や性能を発揮する製品を、必要なだけ、市場に供給できるように、十分な検討を行う必要がり、3DAモデルによるアセンブリーでは、適切な構造や公差が設計できていることを検討するツールが存在します。今回は、デジカメの3DAモデルで、ケース、レンズユニット、実装基板の関係を「公差解析」にて検証トライしています。
オンデマンド配信のご案内
このセミナーですが、5月18日まで、オンデマンド配信にて、ご視聴いただけます。
下記のURLからお申し込みください。