Activity
活動報告市場創生部

住まい手から信頼されるスマートホーム市場を築くために
~スマートホームIoTデータのプライバシー保護に向けた検討~

スマートホーム部会では、スマートホーム関連機器・サービスの利用者から信頼される魅力的な市場の創出を目指し、ネットワーク家電等から取得するIoTデータ等のプライバシー保護に向けた検討を開始しました。

デジタル化の加速とプライバシーへの配慮

【スマートホームIoTデータから得られる情報の例】

社会全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中、宅内外のあらゆる機器・住宅設備・サービス等が生活データを中心に連携することで、消費者のニーズに合ったサービスの提供や社会課題の解決に繋げていく、スマートホームの実現が期待されています。
その一方、ネットワーク家電等から取得される宅内のデータ(スマートホームIoTデータ)は住まい手の生活環境や嗜好を特定し得る機微な情報を含むため、機器利用者の立場に立つと、どのようなデータが取得されてどのように利用されるのか、また事業者に適切に管理されているか等、不安に感じることが想定されます。
また、スマートホームIoTデータは必ずしも個人情報保護法で定める個人情報には該当しないことから、その取扱いについて明確な共通認識がありませんでした。そこで、スマートホーム部会では2021年度に「スマートホームIoTデータプライバシー検討TF」を発足。
国立情報学研究所の佐藤一郎先生を顧問に迎えるとともに、スマートホーム部会メンバーのみならずJEITA個人データ保護専門委員会や政府関係者等の有識者も参加し、利用者からの信頼を確保するために事業者が取り組むべき事項について、多面的な視点で検討を開始しました。

プライバシーガイドラインの策定

【同意取得方法の例とレベル分け】

スマートホームIoTデータプライバシー検討TFでは、利用者からの不安・不信・不満といった“不”の部分を解消し、スマートホーム事業者が利用者の信頼を確保するため、IoTデータの取得・活用に際し配慮すべき事項をまとめた「スマートホームIoTデータプライバシーガイドライン」の策定を進めています。
このガイドラインは、スマートホームIoTデータの特徴を整理した上で、さまざまなケースにおいて事業者がどのように利用者と接することが求められるかを記載したものです。既存のスマートホーム事業者はもちろん、これから新規にスマートホーム機器・サービスを取り扱う事業者や、利用者にとっても参照すべき情報をとりまとめ、2021年度はガイドラインの原案を作成しました。
ガイドライン中に定めた、スマートホーム事業者とユーザの接点となる説明・同意取得・利用者の自己コントロール性の担保について紹介します。

説明に関するガイドライン

【ガイドライン目次】

事業者は、どのようなデータを、どのような目的に利用するかを、データのライフサイクル全般にわたって漏れや誤解などが無いように利用者へ説明する必要があります。ガイドライン原案では、次の要素毎に事業者が説明時に配慮すべき事項を整理しています。

同意の取得/用語の説明/プライバシーポリシーへの記載項目/業務委託/共同利用/個人識別できない状態での第三者提供

同意取得に関するガイドライン

事業者は、取得するデータの種別や利用目的等を踏まえ、同意取得の必要性やタイミング、取得方法を判断する必要があります。ガイドライン原案では、さまざまな同意取得の方法を示した上で、機器や取得するデータ、同意取得を行うタイミング等の条件を踏まえ、事業者がどのような同意取得の方法を取り得るかを記載しています。

自己コントロール性の担保に関するガイドライン

利用者が安心してIoTデータを提供するためには、法で定める個人情報と同様に、利用者自身が情報をコントロールできる仕組みの確保が望まれます。ガイドライン原案では、スマートホームIoTデータの特性を踏まえた上で、事業者が取り組むべき自己コントロール性の担保について、開示請求/訂正・削除・追加請求/サービス利用停止の各ケースにおける考え方を整理しています。

今後の取り組み

スマートホーム関連事業者が利用者の信頼を得るためには、利用者起点でプライバシーに関わる問題に能動的に取り組むことが急務と考えています。
そこで2022年度からは、消費者団体や、プライバシー・個人情報の取扱いに関する有識者・学識経験者等を交えた有識者会議を立ち上げ、スマートホームIoTデータプライバシー検討TFが取りまとめた「スマートホームIoTデータプライバシーガイドライン」の原案を元に、より利用者に寄り添った議論を進めてまいります。コンシューマービジネスや個人情報を取り扱うビジネスに関係する事業者の皆様においては、必ず関係してくる事項となりますので、ぜひ活動にご参加いただき、一緒に業界ガイドラインを作成していければと考えております。
また、事業者のプライバシー保護に対する積極的な活動を利用者に対しても周知していくことで、スマートホームに対する理解度と安心感を高め、よりよい暮らしの実現と市場創出を加速する活動も検討してまいります。
国民一人一人に安心・安全・快適を提供できるスマートホームの実現に向け、引き続き皆さまのご協力をお願いします。