Activity
活動報告関西支部

第97回 機器・部品メーカー懇談会

関西支部・部品運営委員会では、6月16日(水)に標記懇談会をオンラインで開催しました。

部品運営委員長開会挨拶

開会にあたり、村田恒夫 委員長((株)村田製作所 代表取締役会長)より挨拶がありました。
「今日もオンライン開催となったことは大変残念ですが、多くの方にご出席いただきありがとうございます。一日も早くコロナが終息し、リアルで開催できることを望んでいます。
電子部品の市況はコロナ禍で一旦は停滞したものの、幸いにも昨夏には自動車関連(自動運転、電気自動車向け)が急回復し、スマホ、PC関連も好調に推移しております。年末来、高まる需要に対する半導体不足が課題となっておりますが、早期の不足解消、電子部品受注の拡大を見込みたいと思います。
本日は、部品運営委員会メンバーより要望の多いメディカル、DX、カーボンニュートラルの3つについてご講演いただきます。貴重なお話をいただき、ご参加の皆様にとって有意義な会合となることを期待しております。」

「hinotori™ サージカルロボットシステムの製品化と今後の展開」 (株)メディカロイド

代表取締役副社長(川崎重工業(株)精密機器・ロボットカンパニー医療ロボット部門担当理事、神戸大学医学部医学研究科特命教授)の田中博文様より講演いただきました。
「当社は、2013年8月 医療機器・試薬を製造するシスメックス(株)と川崎重工業の合弁で設立されました。日本初の産業用ロボットを世に送り出した川崎重工業の最先端ロボット技術を駆使し医療関係者の思いを一つ一つ形にすることで、2020年8月に国産初の手術支援ロボットシステムhinotori™の開発上市に成功しました。
hinotori™は、腹腔鏡下手術を支援するロボットです。“いのち”を支え誰もが自分らしく生きることのできる社会を実現するという思いを込めて、手塚 治の永遠の生命をテーマにした物語“火の鳥”から名付けられました。」
hinotori™の紹介、産業用ロボットと医療用ロボットの違い、開発の経緯等については、ビデオ映像による詳細な説明がありました。
「手術支援ロボットシステムには、JEITA会員企業様の製品が複数使用されております。手術支援ロボットのさらなる進化を支える製品として、JEITA会員企業様には、引き続きのご支援、ご協力をお願いします。」

「鉄鋼プロセスにおけるDXの推進と課題(IOT、AI、データサイエンス)」 JFEスチール(株)

常務執行役員の風間彰様より講演いただきました。
「データサイエンスは、製鉄原料の運搬から製品の出荷に至るまで広く活用されています。当社では2000年ころよりデータサイエンスとAIの活用を試み、2010年ころから両者を融合した取り組みを進めました。設備内の数千点で収集するビッグデータをリアルタイムに解析し、異常予兆の早期・網羅的検知を可能にした熱延設備状態監視システムや、複数台の移動式4Kカメラを5Gで繋ぎ、操業と同期した監視を行う画像プレイバックシステムを実現しています。高炉の運転では最大12時間先の炉熱を予測し、目標温度を維持する適切なアクションを図ります。スキンパス(冷間圧延)ミルでは、CPSで全体を最適制御するインテリジェント化により、圧倒的な世界最高速を達成しました。現場点検のIoT化と保全のデジタル化による統合保全システムを構築、地区毎に蓄積されていたノウハウの全社共有・解析も可能となっています。安全・防災においても、IoTデバイスの活用とAIの導入で労働災害の低減を目指しています。
社内でのデータサイエンティスト養成にも注力しており、革新的自動化により労働生産性を上げ、企業価値を向上させる、という目的達成に向け、DX計画を策定し、地道な取り組みを進めてゆきます。」

「2050年カーボンニュートラル社会実現に向けた鉱物資源政策」 経済産業省

資源エネルギー庁 資源・燃料部 鉱物資源課 課長補佐 山北和徳様より講演いただきました。
「2050年カーボンニュートラルの実現に向け、電力部門の脱炭素化に加え、需要サイドでも徹底した省エネを進める必要があります。運輸部門では、CO2排出量の約85%を自動車分野が占めており、その削減が大変重要です。
電力部門では風力、太陽光、地熱、大容量蓄電池、自動車部門ではリチウムイオン電池、全固体電池、高性能磁石、燃料電池(電極・触媒)等で、いずれもベースメタル(銅、鉄、亜鉛、等)、レアメタル(リチウム、マグネシウム、チタン、他)が不可欠ですが、日本はそのほぼすべてを海外に依存しています。これらの需要は今後急拡大することが予想されており、3月に発表されたIEA(国際エネルギー機関)の需給見通しでは、銅、リチウム、コバルトで2022年代半ばより需要が供給を上回ると予測されています。このような状況を踏まえ、経済産業省では、鉱山採掘・精錬・製造・販売・リサイクルのサプライチェーンを俯瞰し、海外資源確保の推進、備蓄、省資源・代替材料の開発、リサイクル、海洋資源開発などの鉱物資源政策を基に、鉱物資源の安定供給確保に向けた取り組みを推進しています。

部品運営副委員長閉会挨拶

閉会にあたり、松本 功 副委員長(ローム(株)代表取締役社長 社長執行役員)より挨拶がありました。
「新たなビジネスチャンスや今後の課題となるテーマにつき貴重な講演をいただき感謝します。
半導体の不足が取り沙汰されていますが、6月8日発表のWSTS(世界半導体市場統計)によれば2020年は前年比+6.8%、2021年は+19.7%と大幅な成長が見込まれています。5G、クラウド等のインフラ投資、カーボンニュートラル社会に向けたEV、省エネ、再生可能エネルギーの拡大等、課題は山積しております。次回はリアルで開催し、皆様と交流できることを期待しております。」

各社に関心の高い分野につき最新情報を提供し、連携の可能性が広がる有意義な機会となりました。