大阪大学でのJEITA関西講座
関西IT・ものづくり技術委員会/産学連携分科会では、会員各社よりエンジニアを大学に派遣して講義を行う「JEITA関西講座」を神戸大学と大阪大学の大学院工学研究科で継続実施しています。
前期の神戸大学に続き、後期は大阪大学の「知価社会論」に会員企業6社から6名の講師を派遣しました。この講義は、昨年度より「デザイン思考」を取り入れ、「企業で推進される具体的プロジェクトを題材に、デザイン思考の考え方を活用し、グループディスカションを通じて新たな発想やビジョンを具体的に描く能力を高める」という学習目標を掲げています。全体のプログラムは次の通りです。
10月2日 ガイダンス
10月9日 基調講演「知価社会とは何か」
10月16日 世界の学生事情
10月23日 デザイン思考「新製品の構築」
10月30日 デザイン思考「インサイト事例」
11月6日 講義① (株)村田製作所
11月13日 講義② パナソニック(株)
11月27日 講義③ TOA(株)
12月4日 デザイン思考「実践版」
12月11日 講義④ 三菱電機(株)
12月18日 講義⑤ ローム(株)
1月8日 講義⑥ (株)島津製作所
1月22日 学生アイディアピッチ(講義に変更)
1月29日 まとめ
講義は当初、対面で始まりましたが、新型コロナ感染症の拡大により、11月27日以後、リモートでの実施となりました。講義に加えて、学生はグループに分かれて講師にインタビューを行い、レポートを提出します。例年は各社を訪問して実施し、併せて工場や施設の見学を行う機会となっていましたが、これもすべてリモートとなりました。
JEITA各社の講師からは、①会社の歴史、②プロジェクトの成功事例、③新規事業創出の取り組みにつき講義いただきました。講義中にスマホ、PCを通じて随時質問できるシステムにより、担当の北岡康夫教授が巧みに質問を引き出され、リモートになってからはチャットも活用して活発な質疑応答が行われました。毎回、終了後に行ったアンケートでは、総計で「とても有意義だった」と「有意義だった」を併せ95%を超える高い評価を得ています。
各社の講義と並行して、学生はデザイン思考を用いた新製品の構築方法について学びます。ユーザーが潜在的に欲しているモノ・コト(インサイト)を把握し、先入観や心理的バイアスを取り除いて現実的な提案(コンセプト)に落とし込むことが骨子となります。その後はグループに分かれ、自分たちでインサイトを見出した上で、担当教員とのワークやグループ内でのディスカッションを通じてコンセプトを練り上げ、新たな製品・サービスのアイディアに結実させてゆきます。締め括りとして1月22日に各グループがビジネスアイディアを発表するピッチを行う予定でしたが、これも実現せず、代替の講義に変更となりました。
大学側からは来年度の継続実施を強く要望されており、3月16日には各社講師・委員とリモートで今年度の講座を振り返り、また、来年度に向けての意見交換が行われました。