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活動報告関西支部

2021年新春特別講演会

関西支部・部品運営委員会および新分野・異業種研究専門委員会では1月20日(月)にリモートで新春特別講演会を開催しました。

最初に部品運営委員会の吉田茂雄 委員長(ニチコン(株)社長)より年頭挨拶ならびに電子部品市場動向の紹介がありました。
IMFによる2020年のGDP成長率は中国を除きマイナス成長ですが、2021年は世界で前年比+5.2%の成長が見込まれます。JEITAの電子情報産業世界生産見通しによれば、2020年はソリューションサービスの高い伸び等から+2%の見込み、2021年は+7%の見通しです。電子部品は2020年の-3.3%から2021年は+6.1%に復調、足元でも5G、半導体関連を中心に伸長しています。日系電子部品の出荷推移も2020年9月以降は前年を上回っていますが、今後はコロナ再拡大の影響も懸念されます。コロナ禍により、リモート勤務、地方移住、キャッシュレスの浸透など新しい生活スタイルへの移行が進みました。世界的な経済停滞でCO2排出量が減り、EVへの移行も加速、日本政府も2050年までに温室効果ガス排出ゼロの目標を掲げる等、環境やサステナビリティへの意識が急速に高まっています。エレクトロニクス産業も、こうした動きを捉えてウィズ・コロナの時代を果敢に開拓して行きたいと考えます。

責任ある企業行動ガイドライン(英語版)【講演】独立行政法人 日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部 アジア大洋州課長 小島英太郎氏より「東南アジア最新経済事情~米中対立とコロナ禍がサプライチェーンに与える影響~」と題する講演がありました。
1.ASEANにおけるコロナ禍の状況:ベトナム、タイ等は比較的抑止に成功していますが、インドネシアでは現在も感染が拡大しています。マレーシアも第2波で緊急事態宣言が発令され、自動車産業は操業停止となりました。現地産業界とジェトロの陳情により解除されましたが、各国間の移動は依然困難です。ワクチンがいつ各国に行きわたるかが今後の焦点となります。
2.ASEAN経済:米中摩擦から2019年第4四半期以降減速していた所にコロナ禍が直撃しました。2020年はベトナム、ミャンマー、ラオスを除きマイナス成長が見込まれます。eコマース、宅配、オンラインメディアは好調ですが、デジタル人材の不足が課題となっています。2021年はASEAN全域で高い成長が予測されます。
3.ASEANの日系企業:2020年の景況感は軒並み悪化しています。インドネシア、タイの落ち込みが目立つ一方、ミャンマーやベトナムでは半数近い企業が今後1~2年の事業拡大に意欲を示しています。コロナ禍により、自動化・省人化、経営の現地化などが進んでいます。
4.サプライチェーン・貿易:ジェトロ「2020年度海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)」によれば、コロナ禍と米中対立の下でもサプライチェーンの見直しを予定する日系企業は1~2割にとどまります。在中国の日系企業は販売先・調達先とも7割が中国内で、周辺国への移転要因は多くありません。米中貿易の縮小でASEAN諸国が中国を代替しつつあり、またRCEPの署名でサプライチェーン構築の選択肢が拡がるでしょう。
最後に大阪本部長 根本裕之氏よりジェトロの取り組み紹介がありました。日本企業が各国ECサイトを活用できる“Japan Mall”、各国の優良バイヤーを紹介する“Japan Street”等、デジタルの活用により各種サービスを拡充されています。各国の現況と今後の見通しを詳細に理解できる有意義な講演会となりました。