Activity
活動報告
IoT事業推進部

社会課題解決を目指し地方自治体との共創を実現

2020年4月、JEITAは埼玉県の公募事業「社会課題解決型オープンイノベーション支援事業 プロジェクトマネージメント業務」を受託し、初めて地方自治体の技術活用支援事業に参画することとなりました。

先進技術でニューノーマル時代の社会課題を解決

埼玉県が実施する「社会課題解決型オープンイノベーション支援事業」は、先進技術を活用する埼玉県内外の企業が、オープンイノベーションにより連携・共創して革新的な新製品・新サービスの社会実装に取り組み、社会課題解決と成長産業の創出を目指す事業です。
CPS/IoTを活用し超スマート社会(Society 5.0)の実現を目指すJEITAは、活動の方向性を同じくする本事業へ賛同し、「JEITA共創プログラム」の一環として、プロジェクトマネージャという立場で本事業に参画することとなりました。
地方自治体の技術活用支援事業にJEITAが参画するのは今回が初めてとなります。JEITAが担う主な役割は以下の通りで、埼玉県、埼玉県産業振興公社、ならびに本事業に参画する3つのWG(ワーキンググループ)とともに、with/afterコロナのニューノーマル時代において複雑化する社会課題の解決を目指します。

<JEITAが担う主な役割>
1.共創プログラムのノウハウを生かしたオープンイノベーション型事業の推進サポート
2.事業を通じて得られた成果・可能性を社会へ浸透させるための広報活動

3つのWGが社会課題解決に挑戦

本事業では、埼玉県の社会課題解決のために先進技術を持つ企業が中心となり組成された3つのWGが選定されました。各WGの代表は、2020年7月20日に埼玉県・JEITAが共同で開催したキックオフミーティング(記者向けの説明会)にて取り組みの概要を紹介しました。

キックオフミーティングを開催

アバターロボットを活用した災害に強い社会の構築

WGの1つ目は、avatarin株式会社が主体事業者となり、株式会社タムロンとの共創により「アバターロボットを活用した災害に強い社会の構築」を目指します。ANAホールディングスを持株会社とするavatarinは、CEATEC 2019で紹介したテクノロジー「newme」を活用し、本事業に取り組みます。
特に今回はnewmeが持つ「遠隔」の特性と、タムロンの熱画像/温度カメラモジュールを組み合わせることにより、医療現場や人の多い場所において人を介さずに発熱者を検知することで、新型コロナウイルス感染症の拡大防止などに寄与することを目指します。
本事業を通じ、既に各分野で市場投入されているnewmeの新しい存在意義を示すことで、ニューノーマル時代における新しいインフラとしてのアバターロボットを社会実装していくことを目指します。

小型無人配送車を用いた無人配送システムの構築

2つ目のWGは、主体事業者である有限会社ステンレスアート共栄とアトラックラボが共創する形で、「小型無人配送車を用いた無人配送システムの構築」を目指します。板金加工の高い技術を持つものづくり企業として埼玉県内で活躍中のステンレスアート共栄がユーザフレンドリーな自動走行車の車体を制作、アトラックラボは自動走行のシステム開発を行う形で事業を進めます。
本事業を通じて開発された車体は、高齢者の多い埼玉県において商品デリバリーなどのニーズに応える形での社会実装を目指します。本事業では実装時の環境に近い形で実証を行うため、秩父ミューズパークなど実際のユーザがいる場所を利用し、安全性や走破性に関する走行実証を行います。

超高齢化社会に求められるAI、ロボットを活用した医療・介護需要の低減

WGの3つ目は、RDS株式会社が主体事業者となり、タクモス精機、R2、exii design、マグネット、make senseが参画して事業を推進します。目指すのは「AI、ロボットを活用した医療・介護需要の低減」で、高齢者が多い社会において医療費の課題が生じる中で、先進技術を活用した未病対策として社会実装する構想です。
具体的には、人を追尾して歩行データを取得するロボットの開発と、そのデータから認知症等への罹患可能性を指摘するためのシステムを構築していきます。実証においては国立障害者リハビリテーションセンター協力の下、データ取得・分析を進めます。埼玉県内だけではなく全国的な未病対策、またそれを通じた医療費削減等も見据え、この新しい技術の確立を目指し活動します。

CEATEC 2020 ONLINEを通じ社会へ発信

CEATEC 2020 ONLINEへ、本事業に取り組む各企業が一体となり埼玉県事業として出展、取り組み内容を広く発信しました。埼玉県内企業に限らず幅広い層に対し、本事業の取り組みと目指すゴールイメージを共有することで、先進技術に対する社会受容性を高めるとともに、オープンイノベーション型事業の機運醸成を図りました。
各WG協力の下で充実したコンテンツとともにブースを展開、ブース内では一部実証の様子なども公開されたこともあり、会期中の来場者数は2000名を超えました。
なおCEATEC 2020 ONLINEのアーカイブ公開は2020年12月31日まででしたが、2020年度中に各WGの取り組み内容を紹介するWebサイトを立ち上げ予定ですのでぜひご確認ください。

CEATEC 2020 ONLINEに埼玉県が出展

地域×企業の更なる共創を推進

社会課題がますます複雑化する昨今、本事業のようにオープンイノベーション型・共創事業の必要性は今後ますます高まると考えられます。特に新しい生活様式においては、技術力の向上だけを追求するのではなく、暮らしや地域に根差した技術革新、そしてユーザニーズに合った製品の市場投入が重要となります。
そのような時流を見極めながら、CPS/IoTのフロントランナーが一同に介する業界団体であるJEITAは、地域・企業を始めとするあらゆるステークホルダーの結節点としての役割を果たし、共創をますます加速させていきます。
JEITA会員企業の皆さまはもちろん、各業界の企業の皆さま、また地方自治体・公共団体の皆さまにも、引き続きご協力をいただきたく、よろしくお願いします。