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関西支部

第95回機器・部品メーカー懇談会

関西支部・部品運営委員会では11月22日(金)にホテルグランヴィア大阪にて標記懇談会を開催しました。

部品運営委員長挨拶

最初に坂本真治 委員長(パナソニック(株)専務)より挨拶がありました。「足元の市況は厳しいが、中国の設備周りは8~9月で底を打った様子です。センサー類は3ヶ月程度遅れて11~12月、電子部品はさらに3~4ヶ月遅れてQ4には手応えが出ると見ています。来年は、米国における10年目のリセッション懸念や中国の不透明感もありますが、何とか良い年にしたいと思います。」
続いて以下の報告がありました。

これからの日本とセキュリティ~No Security, No Digital~ 富士通(株)

太田大州 シニアエバンジェリストより講演いただきました。
「当社は“IT企業からDX(デジタル・トランスフォーメーション)企業へ”を旗印に、デジタル領域で社会課題を解決しSDGsに貢献すべく事業革新に取り組んでいます。米国政府は2001年の同時多発テロでインターネットの脅威を認識し、現在、世界のネット通信の7割を管理下に置きます。そのサイバーセキュリティ投資は2019年で66兆円に上り、安全保障の強化と新たな産業の創出を図っています。連邦政府のクラウド調達基準FedRAMPは省庁毎の新たな評価を不要とし、米国のクラウド事業育成に貢献しましたが、一方で情報の海外流出を防ぎ切れていない現実もあります。
日本でも、これに追随して政府調達等の基準が厳格化されています。企業のサイバーセキュリティもISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の構築・運用では不十分で、妥当性・正当性を証明するためには米国政府基準の達成が求められます。サイバーセキュリティに係る被害額は世界で63兆円(全企業利益の15%)に上り、かつ年々増加しており、大きな経営課題と言わざるを得ません。日本企業は最大の被害者で、BCPの再構築が不可欠です。電子部品産業においても、現在の競争力を維持・強化するため、サプライチェーンのリスクマネジメント強化に取り組んでいただきたいと思います。」

位置情報を活用したCASE社会への取り組み アイシン・エィ・ダブリュ(株)

VIT事業部 コネクティッドソリューション部の石川裕記 部長より講演いただきました。
「当社はアイシングループでトランスミッションやVIT(Vehicle Information Technology)を担っています。位置情報を活用したサービスとして、物流事業者様向けに“AW配送支援システム”を構築しました。最適な運行計画や正確な到着予測時刻を提供する物流支援、各店舗の駐車場所から搬入経路まで案内する店舗カルテ、災害発生時に避難ルートを示し、避難所に誘導する災害対応支援を実現しています。また、本年10月より愛知県岡崎市で、カメラとセンサーで道路の破損状況を把握する道路補修支援サービスの実証実験を開始しました。
実走行から得られるビッグデータを活用し“位置情報活用プラットフォーム”の開発を進めています。車速等の車両データ、車載カメラによる画像データ、各車両の移動データ等を集積、リアルタイムに地図情報に紐づけて多様なコンテンツを生成します。渋滞や道路工事等にまで対応するコンテンツ提供が可能で、インフラの管理やマーケティング・広告事業への活用を図ります。CASEの進展により、位置情報に連動する車内外の状況管理に向け多様なセンシングのニーズが高まります。部品メーカー様のご協力をお願いします。」

製造設備におけるIoT生産性向上のための装置マネジメント アズビル(株)

アドバンスオートメーションカンパニー CPマーケティング部の豊田英輔 部長より講演いただきました。
「当社はビル、プラント等の施設・設備における計測・制御を基盤に事業を進めています。製造設備のIoT化の内、ローカル/エッジコンピューティングにおけるデータの収集・一元管理・見える化と、これに基づく診断・制御性能判定について紹介します。
工業炉におけるローカルコンピューティング層には各種の制御機器があり、例えばバーナーコントローラからは、フレーム電圧や着火遅れ時間といった特有のデ-タが得られます。エッジコンピューティング層にIoTゲートウェイを設け、各制御機器の特有データを一元管理、これをトリートメントして見える化する“ヘルスインデックス”機能により、経年変化を可視化できます。異常が発生すれば “プレイバックモニタ”機能により発生時の動作状況が把握されます。当社マルチベンダーIoTゲートウェイは他社製品を含む多種の制御機器と接続でき、完全なプログラムレス通信で装置のIoT化に貢献します。
製造設備の使用期間は長く、また、多くのメーカー製品が混在します。同じパラメーターにも機差や経年変化が生じるので、各装置に固有の特性値を把握することが重要です。20年以上にわたるメンテナンスも求められますので、こうした機器用途の電子部品については長期にわたる供給・対応をお願い致します。」

Amazonにおけるデジタルトランスフォーメーション アマゾン ウェブ サービス ジャパン(株)(略称AWS)

デジタル・トランスフォーメーション本部の広橋さやか本部長より講演いただきました。
「当社はAmazon.comのシステムを担うと共に、世界最大規模のクラウドプラットフォーム提供事業者です。アマゾンはMachine Learning、Automation、Robotics、Spaceの4分野を中心に世界企業トップの研究開発費を投じています。センシング、ロボット技術、AIの活用により、レジのないコンビニ、人とロボットの協働による物流改革から月面での生産活動を目指す“BLUE ORIGIN”まで先進的なDXを展開します。
イノベーションの源泉はカルチャーにあります。すべてのプロセスはお客様を起点に逆算する等、お客様にこだわり続けます。長期思考と先駆者であることを重視、実験と失敗を許容する文化の中で、例えばスマホ事業の失敗がAmazon Echoの開発につながりました。具体的なアクションはAMAZON LEADERSHIP PRNCIPLESに集約され、“一人一人がアマゾンのリーダー”の意識で取り組んでいます。
AWSはアマゾンのDNAを継承するクラウドサービスです。自社ITシステムの巨大化が成長を鈍化させた反省から、機能を分割・自動化してAPIでの連携を進め、ITリソースを必要な時に必要なだけ低価格で提供しています。AWSクラウドで低コストの最新技術をモノづくりに活用いただければ、競争領域への資源集中が可能となります。」

エッジデバイスにおけるオムロンの取り組み オムロン(株)

エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネスカンパニー事業統括本部 技術統括部の河合光弘 部長より部品運営委員会を代表して報告がありました。
「当社の歴史に培われたコンピタンスは、ダウンサイジングと品質(長寿命化)を両立するファインメカエンジニアリング、多くの機能をコンパクトにパッケージ化するスマートサイジング、これらデバイスをプアなCPUで動かす技術にあります。機械の所有と使用が分かれる中、メンテナンスの取り組みが重要となり、壊れる前にシグナルを発する等、プアなCPUで情報を出す意味は大きいと考えています。

オムロン(株)による感触制御、光制御等のデモ展示

さまざまな付加価値を生む素子・モジュール群が揃うMEMSセンシング、クラウドに頼らずアルゴリズムによりプアなCPUで解析を行う画像センシング、スイッチにおける感触制御、透明パネルの微細凹凸加工で光線を制御し空中に結像させる光制御等、多彩な技術に磨きをかけており、ファインメカエンジニアリング、スマートサイジングに加味して、お客様のお役に立ちたいと思います。」