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情報産業部

IEC TC100 上海会議報告

本年10月14日(月)~20日(日)に中国・上海の国際会議場にて、IEC(国際電気標準会議)TC100(AV・マルチメディア、システムおよび機器)および傘下グループの会議が開催され、活発な審議が行われました。その中から、いくつかの重要な議案について紹介します。

TC100概要

IEC TC100(オーディオ、ビデオとマルチメディアのシステム及び機器):1995年10月に設立2004年1月より日本が幹事国を務めており、現在、国際幹事:由雄(ISA)、国際副幹事:佐久間(東芝)、寺崎(パナソニック)、Pメンバー(投票権を持つ国):16カ国、Oメンバー(オブザーバーの国):28カ国、傘下に1のTA(Technical Area)がある。なお、TC100の受託審議団体はJEITAであり、TC100国内委員会を運営している。

A.各TA 会議とその規格化(抜粋)

①TA2: Colour measurement and management

韓国から動画用拡張色空間(xvYCC)のHDR対応への拡張に関する追補提案(Amendment)があり、EOTF曲線における既存規格で定義された部分との境界での急激な勾配変化への懸念等についての議論を行った。

②TA17:Multimedia systems and equipment for cars

【Part4:合成映像のCMS要求への適応】

TAのタイトルとスコープの“Car(s)”を“Vehicle(s)” に変更することになった。
また、川西氏(ソシオネクスト)より、IEC 63033-3 Drive Monitoring System Part4についての説明があり、新規提案することになった。

③TA18: Multimedia home systems and applications for end-user networks

【TA18:ウェアラブルでの利用】

田中TAM(広島市立大学)より、新規プロジェクト “Wearable Sensing Data Container Format for IoT”の概要が説明された。

④TA19: Environmental aspects in the field of audio, video and ICT equipment

62087シリーズ(SDR機器の消費電力測定)の 改版(対象:Part1(全般), Part2(テスト信号), Part3(TV), Part7(PCモニタ):消費電力測定に影響を与えるABC(自動明るさ調節)機能や、MDD(画面輝度調光)機能の影響についての議論を行った。

B.新規提案

①触覚、振動関係の規格化

【Haptics:触覚、振動デバイスの種類】

篠田教授(東京大学)より、TC100マルチメディアの一分野である触覚、振動に関し、分野全体の説明があり、審議の結果、今後、用語の整理、技術・デバイス・評価手法の分類、想定される規格化項目の検討を行った結果、Study Session(SS)を設置し、審議していくことになった。

②フィルムスピーカの測定法

【フィルムスピーカー:ディスプレイ面の音の放射】

LGより、大型テレビ版Display Speakerの測定法に関する提案があった。

C. 国際幹事・国際議長の交代

Felland国際議長と由雄国際幹事

TC100国際幹事が由雄淳一氏(ISA)から寺崎智氏(パナソニック)に、TC100国際議長がDavid Felland氏(米国)からUlrike Haltrich氏(ドイツ)に、それぞれ交代する。

D.今後の予定

TC100総会での集合写真

TC100国際幹事より、今後の予定について、下記のような説明があった。
▶︎2020年5月:AGS/AGM会議:日本・高松
▶︎2020年9月:Plenary会議:米国・ロサンゼルス

E. Joint IEC/TC100 and ISO/
IEC JTC 1 workshop

TC100とJTC1は双方の技術課題について話し合う会議を行ってきたが、今General Meetingの機会にWorkshopを開催し双方の技術課題、新規課題などを説明した、JTC1からはMPEGのキャリリオーネ氏も登壇した。
この結果、両者は競争するのではなく、相補的かつ相互依存の関係を築いてきたことがあらためて確認された。例えばTC100は多くのMPEGのアプリケーション規格を策定している。また今後の車載技術に関してもそのデータ利用では双方の協力が期待される。