タイにおける日本の
エネルギーマネジメント
および省エネルギーに関わる普及促進の活動報告
昨今、世界的に温室効果ガス削減の取り組みが行われ、企業の社会的責任としての環境負荷低減という側面からもより一層の省エネルギーの推進が求められております。JEITAでは、タイに向けて日本の省エネ製品およびソリューションに関する普及促進活動を実施しました
タイにてASEANセミナーを開催
JEITAエネルギーマネジメント標準化専門委員会にて活動しているISO TC301(エネルギーマネジメント およびエネルギー削減量)の国際標準化活動と、JEMIMA FEMS標準化委員会にて活動しているIEC TC65(産業プロセス計測制御・オートメーション)国際標準活動と合同のセミナーをタイにて開催しました。TPA(泰日経済技術振興協会)の協力の下、タイのバンコクにて、タイのエネルギーマネジメント関係のユーザ、タイ政府関係者、ISOやIECのキーメンバーを含む70名程度の方が聴講されました。
FEMS標準化委員会には、JEITA制御・エネルギー管理専門委員会にて提唱している“連携制御”の概念を取り入れたFEMSの国際規格を開発しているため、JEITA制御・エネルギー管理専門委員会のメンバーも参加しています。セミナーの中で、JEITAからは、国際規格に提案予定の“EnMSマネジメント進捗度評価”と“連携制御”に関して講演が行われました。
セミナーの冒頭に、IEC TC65タイ国内委員会委員長を務められているチュラロンコン大学Banjerdpongchai教授からタイのスマート社会実現に向けおよび産業オートメーションにおける制御システム概要が講演されました。
セミナー終了後の質疑応答は、数多くの質問がされ、その中でも、連携制御への質問が多く、大型の投資を伴わない、小さな範囲で導入する事が可能な“連携制御”は資金調達が難しいタイなどの新興国では非常に関心がある様子でした。また、講演した「EnMSマネジメント進捗度 評価」の狙いとしては、グローバルにおけるエネルギー効率のレベルアップの流れを作ることを考慮しており、新興国の組織から先進国の組織まで幅広い範囲を対象としているため、規格化されることにより、エネルギー効率向上の流れができ、エネルギー効率市場の拡大を想定しております。規格化に向けて、セミナーを通じてタイの関係者に周知することができました。
JEITA制御・エネルギー管理専門委員会 宇野委員による連携制御の講演
JEITAエネルギーマネジメント標準化 池山委員によるEnMSマネジメント進捗度評価に関する講演
チュラロンコン大学 Banjerdpongchai教授との意見交換会
ASEANセミナーの翌日にチュラロンコン大学を訪問し、Banjerdpongchai教授と意見交換会を実施しました。Banjerdpongchai教授から同大学のBEMSシステムについて紹介されました。
スマート社会の実現に向けた取り組みであるBEMSシステムは、チュラロンコン大学全体で取り組んでおり、太陽光発電、風力発電の発電量、蓄電池の蓄放電量、電気自動車、E-スクーターの充電システムでの電力使用量、建物の各教室や廊下など、200ヶ所のポイントで環境情報や電力使用量の計測が行われ、ZigBeeを用いて各測定点の情報を送信し、BEMSシステムに集約されます。これらのデータが集計され、リアルタイムに前日のエネルギー情報との比較が行えるようになっております。データを見て学生などが省エネ活動の動機付けになることを目的の一つとしており、教室の入り口などにディスプレイや学生のスマートフォンからアクセスすることにより、必要な情報が見えるようにしておりました。ISO/IECのキーメンバーである、Banjerdpongchai教授にJEITAおよびJEMIMAの連携制御や国際規格化提案などの活動の趣旨を再度、説明させていただき認識および同意を得ることが出来ました。
意見交換会の様子
BEMSが確認できるディスプレイ
今回の活動に関しては、多くの方々に日本の省エネ製品およびソリューションを知っていただくきっかけになりました。これから、世界中の環境配慮へ関心が増々高まる中、新興国のインフラが整っていくにつれて日本の省エネ製品およびソリューションの需要が高まることが期待されます。タイなどの新興国に向けた連携制御の事例を増やしつつ、交流を深められるよう働きかけていきたいと思います。