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政策渉外部

遠藤会長記者会見
(「Society 5.0」の実現に向けたJEITAの取り組みを発信)

2019年12月18日に遠藤信博会長による記者会見を開催し、「電子情報産業の世界生産見通し」など、JEITAの事業全般に関する発表が行われました。当日は86名の報道関係者にご出席いただき、その内容は報道各社によって広く社会に発信されました。

遠藤会長記者会見

発表内容のハイライト

①CPS/IoT世界市場の拡大

2019年を振り返ると、今年はSociety 5.0に向けた動きが社会全体で一気に加速した年、といっても過言ではないように思います。
IT・エレクトロニクス産業を中心に、データを活用して社会課題の解決を目指す企業の集まりであるJEITAは、この動きを加速して、Society 5.0を実現することを基本方針として活動しています。コンピューティングパワー、5Gによるネットワーク、AIを用いたデータ処理の劇的な進化とその組み合わせにより、価値創造の可能性が一気に広がりつつあり、情報社会からデータ社会への移行によって価値創出は大きく変わります。広範囲でデータを集め、解析することで、部分最適から、今までできなかった全体最適の答えが出せるようになるからです。まさにコラボレーション、共創の時代の到来です。
CPS/IoTの世界市場は大きく拡大しています。2018年において世界で241.1兆円、2030年には532.1兆円と、大きな成長を遂げる見通しとなりました。CPS/IoT市場は大きなポテンシャルを秘めているのです。

②業界動向(電子情報産業の世界生産見通し)

その中核となるのが電子情報産業であり、さらなる成長が期待されている分野です。ここからは「電子情報産業の世界生産見通し」を紹介します。本調査は、世界の電子情報産業の生産規模をデータによって明確にするとともに、世界における日系企業の位置づけを把握することを目的として、会員各社を対象としたアンケート調査をベースに、国内外の関連企業・団体の皆様のご協力を得て、毎年取りまとめているものです。

世界生産の状況と見通し

2019年の電子情報産業の世界生産額は、データ利活用の高度化・自動化が進むことでソリューションサービスが好調となりましたが、世界経済の先行き不透明感の拡大に伴う投資抑制などにより、電子部品は在庫調整局面となり、また半導体はメモリの価格低下などがあったことから、2兆9,219億ドルと、微増にとどまる見込みとなりました。一方、2020年は、引き継き先行きに懸念はあるものの、5Gの進展や攻めのIT投資のさらなる拡大が期待できることから、プラス成長となる3兆807億ドルを見込み、3兆ドルを超えて過去最高を更新する見通しとなりました。
品目別でみると、電子部品が2019年から回復して2020年は過去最高を記録する見通しであることに加え、ソリューションサービスが2019年、2020年ともに過去最高の世界生産額を更新する見通しとなりました。利活用分野の広がりやサービス化の流れに乗り、ソリューションサービスはいまや9,000億ドルを超える市場になりつつありますが、データ社会への移行が加速することに伴って、今後もさらなる成長が期待されています。

日系企業の動向

2019年の海外生産分を含む日系企業の世界生産額は37.4兆円を見込みました。企業の生産性向上や施設の安全性向上を背景としたパソコンやパブリックディスプレイ、ソリューションサービス等の国内需要増加があるものの、世界全体での先行き不透明感に伴う投資抑制などで特に金額の大きい半導体と電子部品が対前年比マイナスとなったことが要因です。国内生産額は11兆円を見込みました。今後はIoT機器の高機能化が進み、新たなビジネスモデルの創出が活発化することで需要拡大が見込まれています。2020年の日系企業の世界生産額は前年比2%増の38.1兆円で、プラス成長に転ずると見通しました。電子部品や通信機器、ソリューションサービスが成長を牽引します。国内生産額はほぼ横ばいを見通しています。

③JEITAの業種・業界を超えた取り組み

JEITAの業種・業界を超えた取り組み

電子情報産業がJEITAの中核であることに変わりはありませんが、いまのJEITAは電子情報産業だけに限りません。ここ数年でJEITAも大きく変わりました。2017年度より、事業指針に「Society 5.0の推進」を掲げ、業種・業界を超えて社会課題の解決に向き合う、あらゆる産業が集うプラットフォームとしての業界団体になるべく、変革に取り組んでまいりました。
会員制度に関する定款を変更し、IT・エレクトロニクス業界のメーカーに限らず、IoTに密接に関係する企業に正会員の門戸を拡げました。以降、多様な業種の皆様にJEITAの活動にご参画いただき、ここ数年、正会員数は右肩上がりに増加しています。JEITAは業種・業界の枠を超えたルールの策定や標準化などに率先して取り組んでいます。JEITAでは、現在、製品ごとの分野別部会・委員会に加え、業際分野となるテーマを扱い、業種・業界を超えた議論を進めています。
例えば、スマートホーム。業種・業界を超えてデータをやりとりするための「データカタログ」第1版を発行し、会員企業に実際に活用していただきながら、より使いやすくすることに取り組んでいます。CEATEC 2019では、特別企画「スマートライフ」を展開し、データ活用により実現するライフスタイルを発信しました。
また、JEITA会員のIT企業やOT企業、さらに高圧ガス保安協会にもご参加いただき、「スマート保安に係る検討会」を新たに立ち上げました。経済産業省が進めているプラント保安にデータを活用するためのアーキテクチャの検討に対応するものです。今後、プラント事業者の方々とも意見交換をしながら、中小プラントも活用しやすい、データを活用したより良い「スマート保安」の実現を目指して、検討を進めてまいります。

④5Gおよびローカル5Gの動向(注目分野に関する動向調査)

そして、これからの成長を牽引するキードライバーと考えているのが、第五世代移動通信システム、いわゆる5Gです。情報化社会からデータ社会へ移行しつつある中、5GはSociety 5.0を実現するための重要な基幹インフラに他なりません。2020年の春、日本においても5Gサービスが本格的にスタートすることから、あらゆるものがネットワークでつながる世界の実現が、目前に迫ってまいりました。また、5Gの技術を用いて自営網を構築できる「ローカル5G」に対する期待も高まりつつあります。今まで、通信の安定性や法規制などの課題から無線ネットワーク化が難しかった場面において、活用の広がりが期待できるからです。
例年、「電子情報産業の世界生産見通し」と併せて実施している「注目分野に関する動向調査」ですが、今年は5G、そしてローカル5Gに焦点を当て、世界および日本市場の世界需要額を見通すとともに、IoT機器ならびにソリューションサービスの需要額を定量的に把握する調査を実施しました。5Gが産業界にどのような変化をもたらすかを予測しています。

5G市場の世界需要額見通し 【CPS/IoT市場の成長と深い関わりを持つ5G】

超高速大容量・超低遅延・超高信頼・多数同時接続の特性を有する5Gにより、民生用途・産業用途を問わず、工場、病院、農場、建築現場、スタジアム、街など多様な場面で新たなイノベーションが起こり、新たなサービスも次々と生まれることが予想されています。Society 5.0の実現に向けて、5Gはキードライバーとなることでしょう。5G市場の世界需要額は、年平均63.7%増で成長し、2030年には168.3兆円と、2018年と比べると約300倍に拡大すると見通しました。IoT機器は自動運転車やロボット、ネットワークカメラなどが、ソリューションサービスの利活用は製造、金融、流通・物流などが市場を牽引していく見込みです。

WAN5Gとローカル5Gの世界需要額見通し

5Gにはパブリックエリアでキャリアの公衆網に接続する「WAN(ワン)5G」と、クローズドな空間でプライベートに利用できる「ローカル5G」の2つがあります。2030年におけるWAN5Gの世界需要額は158兆円、ローカル5Gの世界需要額は10.8兆円と見通しました。
ローカル5Gは新たな市場創出の期待を集めています。それは新たな通信サービスとしての制度化により、機密情報を高セキュリティで担保できることや通信の安定性も高いという特性から、これまで無線化が進んでいなかった工場や農場、建設現場やイベント会場、病院といった領域において導入が見込まれているからです。日本のローカル5G需要は2020年に始まり、2025年には3,000億円と立ち上がりを見せ、その後2030年までに約4.4倍の1.3兆円に拡大する見通しです。IoT機器としてはロボットやドローン、自動運転車が需要を牽引し、ソリューションサービスとしては、製造分野向けが需要を牽引すると予測しています。IT企業だけではなく、世界最高レベルのOT企業も参画しているのがJEITAの特性であり、この強みを活かし、IT企業とOT企業をつなぐことで、JEITAとしても、ローカル5Gの市場創出に積極的に取り組んでまいります。

⑤事業環境整備と市場創出の取り組み

JEITAは業種・業界の枠を超え、Society 5.0の実現に向けたルールの策定や標準化など、課題解決に挑む団体に生まれ変わりました。新たなイノベーションや付加価値を生み出し、国際社会でリーダーシップを取っていくために、日本企業の国際競争力向上に資する事業環境整備をはじめ、デジタル化対応への税制要望や規制改革要望、さらには海外の産業界と連携した、保護主義の拡大阻止と越境データ流通の自由化を目指す活動などにも精力的に取り組んでまいります。

⑥今後の取り組みと結び

Society 5.0の未来に向けた取り組みが益々進展していくにあたり、今回、注目分野として取り上げた5Gをキードライバーとして、今後あらゆる分野においてデジタル化が進み、JEITAはますます重要な役割を担うことになると考えています。もはや、デジタル化に無縁の業界などあろうはずがありません。JEITAはあらゆる産業との連携をさらに強化しながら、Society 5.0の実現に向けた事業環境整備と市場創出に、より重点的に取り組んでいきます。
2020年、そしてその先の未来に向けて、JEITAは産業と産業のつなぎ役として、新たなビジネス創出を促すことで、社会課題を解決し、世界に先駆けた超スマート社会:Society 5.0の実現とともに、日本経済のさらなる活性化やSDGsの達成に貢献していきます。政府をはじめ関係各所と密に連携しながら、会員の皆様とともに、積極的に事業を推進してまいります。

刊行物のご案内

注目分野に関する動向調査
電子情報産業の世界生産見通し2019

『電子情報産業の世界生産見通し2019』
(「注目分野に関する動向調査」付き)

  • ■発行年月:2019年12月
  • ■会員価格:
    • 3,300円

※詳細はJEITAホームページにてご確認ください。