2019技術セミナー
関西IT・ものづくり技術委員会では9月13日(金)に大阪歴史博物館で「日本が目指すSociety 5.0を支える技術~5G・CASEとMaaS・AIの最新動向~」をテーマに標記セミナーを開催しました。
5Gの世界動向とアプリケーション
西村忠雄 委員長(パナソニック(株))の挨拶に続き、エリクソン・ジャパン(株)藤岡雅信 氏より講演がありました。まずサービス事例を交えた5Gのロードマップとグローバルな展開状況、次に5Gのスコープとそれを実現する技術の特徴、さらに固定系とモバイルの融合など段階的な展開が見込まれるネットワークの進化につき説明がありました。続いて、モバイルトラフィック量の推移やアプリケーョン毎の割合、コンシューマの予想等の情報に基づく動画中心の拡大と、その後のローカル5Gを含む産業分野でのユースケース例が、ビジネス規模の予測と併せて解説されました。最後に産業応用の具体的トライアル事例として、オリンピック競技、バス・EVトラックの遠隔運転、装置製造、ロボット制御、自動車組立工場での取り組みが映像を交えて紹介され、将来に拡がる5Gの可能性が示されました。
CASEとMaaSが引き起こす
ビジネスモデルの変革
インテル(株)野辺継男 氏より講演がありました。
まず、Connected(C)について、クルマとICTの関係が、ECU(半導体)の導入と使用数拡大、インターネット接続、AI活用、EV化で加速度的に進化する姿が説明されました。自動運転(A)については、動画による紹介に続き、二極化が進む現状と今後の見通し、技術課題が解説されました。EV(E)については、バッテリーの価格動向と市場予測、欧州を例にEV化が自動車産業に与える大きな変化が説明されました。これらすべてと関わるService(S)を含め、MaaSがめざす姿と具体的な取り組み、自動車関連ビジネスモデルの変革の姿が示され、自動運転実現のポイントと二極化、EV化の緊急性、サービスカーの特徴という視点からまとめが行われました。
IoTビッグデータのための
AI技術とその応用
大阪大学 産業科学研究所・櫻井保志 教授より講演がありました。研究の目標や実績の紹介に続き、AIを活用した時系列ビッグデータ解析の技術が説明されました。
世界初のアプローチ「非線形テンソル解析」について、3つの要素技術(大規模テンソル解析、非線形モデリング、特徴自動抽出)を融合し、人手を介しない処理により将来予測をするもので、データストリームからさまざまなモデルを学習してデータベースに格納、現在の時系列パターンに適合するモデルを探索・活用することでリアルタイム予測が可能となり、適切なモデルがなければ新たなモデルを自動的に生成する点も特徴で、応用の可能性は拡がる、との解説がありました。また、製造業への貢献を目標に産業界への技術移転に向けて企業との共同研究に取り組む事例の紹介もありました。
昨年を上回る183名の参加があり、アンケートでは90%の方々から好意的な回答をいただきました。