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国際連携室

グローバル課題への対応 WTOパブリックフォーラムへの参加と電子商取引交渉への期待

2019年10月8日から11日まで、スイスジュネーブのWTO本部にてパブリックフォーラムが開催されました。
JEITAはこのフォーラムにおいて米国ITIとセッションを共催するとともに、日本政府主催のワークショップに登壇しました。

WTOパブリックフォーラムとは

WTOでは毎年10月にパブリックフォーラムを開催します。各国・地域の政府、国際機関、産業界、市民団体などが100を超えるセッションを主催し、1,500以上が参加するWTOの年次最大のイベントです。
今年は“Trading Forward: Adopting to a Changing World”をテーマに10月8日から11日まで開催され、136のセッションが運営されました。
会期中にJEITAが参加した2つのセッションと1つの非公式会合、加えて、JEITAが今後WTOの場で目指すものについて、ご紹介します。

参加の目的

本年6月に開催されたG20サミットの成果であるData Free Flow with Trust: DFFTや、同サミットにて安倍総理が提唱した「大阪トラック」の実現に向けた具体的な活動として、米国カウンターパートとセッションを共催し、日本政府主催のワークショップに登壇しました。これらを通じて、デジタル産業界がWTOの電子商取引交渉に期待するものについて、参加者に広く周知を図りました。

日本政府主催ワークショップ

日本政府は「大阪トラック」をテーマにワークショップを開催しました。
ITIのモデレーションの下で、国際的なルールメーキングの必要性と大阪トラックの目指すものについて議論し、外務省経済局飯島審議官、OECD、欧州シンクタンクECIPE、そして、JEITAからは通商委員会副委員長が登壇しました。
JEITAからは、社会の発展に貢献するデジタルソリューションの具体例を紹介し、参加者の関心を得ました。
議論を通じて、デジタル貿易の発展と社会貢献において、WTOおよびOECDなどの国際的な議論の場での産官連携した取り組みの必要性を聴衆に訴えました。

日本政府主催ワークショップ_01
日本政府主催ワークショップ_02

ITI・JEITA共催セッション

JEITAは米国カウンターパートITIとの共催で、データの価値と貿易における重要性をテーマにセッションを開催しました。
ITIが議論をリードし、コロンビア政府のWTO大使を筆頭に、フランスSchneider Electric, 米国シンクタンクITIF、そしてJEITA通商委員会委員長がスピーカーとなって、デジタル化の社会への貢献においてデータ流通の自由化が如何に重要か、議論を行いました。
JEITAからは、パブリックフォーラムの開催前に世界産業界27団体が共同で公表した提言を紹介し、この提言で述べているデータの自由な流通、個人データの保護、機密情報の開示要求の禁止、サイバーセキュリティの確保、といった、いわゆるDFFTが、デジタル貿易の発展における重要な要素であることを述べました。(後述)

ITI・JEITA共催セッション_01
ITI・JEITA共催セッション_02

電子送信の関税不賦課モラトリアムに関する非公式会合

米国産業界が主催して、米、英、日、オーストラリア、カナダ、シンガポール、コスタリカなどの政府を招いて非公式会合が開催されました。
会合では、電子送信に関税を賦課しない慣行を、2020年6月に開催される次回WTO閣僚会合以降も延長する必要性について議論しました。インド、南アフリカ、インドネシアなど、延長に反対する国々の動きが活発化する中、如何にして延長の合意を目指すか、各国から活発な意見が交わされました。
JEITAからは通商委員会副委員長が参加し、データ流通を始めとする電子送信の新興国のインフラ発展への貢献と、関税賦課による消費者の負担増を指摘しました。

WTO電子商取引交渉に向けた世界産業界共同提言

WTO電子商取引交渉に向けた世界産業界共同提言 現在デジタル産業界がWTOに最も期待する議論は、電子商取引に関するものです。現在は正式な交渉の立ち上げに向けて80の有志国が議論に参加しています。
JEITAは、ここでの議論に盛り込むべき重要な論点を米英のカウンターパートとともに取りまとめ、世界の主要なデジタル産業界に働きかけて共同提言とし、パブリックフォーラムの開催前に公表しました。この提言には国内外から27団体が参加しました。
この提言では、今後の電子商取引、あるいは、デジタル貿易を促進するために必要な13の論点を提示し、WTOでの交渉開始と早期合意を促しています。
前述のように、13の論点を構成する重要な要素はいわゆるData Free Flow with Trust: DFFTです。
加えて、電子送信において現在採用されている関税不賦課のモラトリアムを維持することや、情報技術協定ITAのさらなる拡大など、モノ、データ、サービスの自由化を促しています。
JEITAとITIは今回のパブリックフォーラムでこの共同提言に焦点を当て、WTOへの期待を表明しました。

結び

パブリックフォーラムへの参加を通して強く感じたことは、産業界の共同提言で述べているような論点を盛り込んだ電子商取引ルールの策定が、今後のWTOの存続と世界の経済社会の発展においてカギとなることを、デジタル業界以外のプレーヤーにも認識してもらうことの重要性です。WTOに対する懐疑的な見方やデジタル社会の進展に抵抗感を持つ人々に対し、マルチな場での合意の意義とデジタルソリューションのSDGsへの貢献について、今後も国内外の官民で協力しながら世界に発信していきます。