Activity
関西支部活動報告

第94回 機器・部品メーカー懇談会

関西支部・部品運営委員会では6月5日(水)に大阪・太閤園で標記の懇談会を開催しました。

部品運営委員長挨拶

関西支部 部品運営委員長挨拶 最初に坂本真治 委員長(パナソニック(株)専務執行役員)より挨拶がありました。
「海外の機器メーカー/ODM各社を回ると、一様に混迷している印象ですが、メガトレンドを見失わずに手を打ち続けたいと考えています。欧州でスマート農業関連の企業を訪問し、エレクトロニクスへの期待を感じる一方、GAFAはじめプラットフォーム企業は、今の仕組みで儲かるのは8年程と見定め、危機感をもって業態を変えようとしています。こうした動きが、デバイス事業にとってチャンスなのか脅威なのか、本日はしっかり勉強させていただきたいと思います。」

デジタルトランスフォーメーション時代のIoT/AIとローカル5Gを活用したものづくり革新 日本電気(株)

関西支部 関西支部 福岡俊一 執行役員より挨拶の後、スマートインダストリー本部の北野芳直 技術主幹より講演がありました。
「自社工場での実践を基に“NEC Industrial IoT Platform”を構築、モデルラインでは生産性が50%向上しました。これを実装した“NEC DX(Digital Transformation)Factory”を展開しています。音声認識を活用した作業のナビゲーションと分析、現場データを利用しやすく加工して蓄積するデータレイク、ホワイトボックス型AIを用いて人が迅速に判断する仕組みなど、ユニークな技術・システムを提供すると共に、ローカル5Gを含む高度なネットワーク技術にも強みを発揮します。働き方改革に向け、工場現場の革新には感情分析のソリューションが求められる等、今後のスマートファクトリーには、多様なセンサーの高度化が不可欠で、部品各社の開発に期待しています。」

自社工場の自動化を活かしたロボット製品の多用途展開(株) ダイヘン

関西支部 FAロボット事業部の神品泰宏 企画部長 FAロボット事業部の神品泰宏 企画部長より講演がありました。 「当社は1919年に柱上変圧器で創業し、電力機器、半導体関連、溶接メカトロへと事業展開しました。ロボット事業は1980年に自動車の溶接自動化からスタートしています。溶接機とロボットの双方を生産する数少ないメーカーで、アーク溶接ロボットのシェアは国内4割、世界で3割。自動車の外、鉄道車両やトラックのアルミタンクの溶接など幅広く活用されています。六甲事業所は、溶接機・ロボット事業の中核拠点で、ロボットがロボットを組み立てる自動化工場です。省力化・効率向上のみならず、組立・搬送など溶接用途以外のロボットの開発、紹介の場でもあります。独自に開発した“シンクロフィード溶接システム”は、溶接時に飛散する亜鉛粉の98%を削減しますが、100回/秒の高速上下運動を実現する小型モーターと制御システムが必須です。さらなる小型化と精密制御に資する電子部品の開発を期待しています。」

スマート農業の現状と今後の展開 (株)クボタ

関西支部 飯田 聡 特別技術顧問 飯田 聡 特別技術顧問より講演がありました。 「クボタは農機・エンジン、建機、環境関連、パイプ関連の事業を展開し、農機・エンジンでは世界3位を占めます。グローバルメジャーブランドを目指してICT・IoTによるイノベーションに取り組み、最近では“下町ロケット”の新シリーズに全面協力しました。 日本では農業就労者の減少・高齢化が進み、データの活用と自動化によるスマート農業が不可欠です。当社では、ICTで作業と作物(収量・食味)の情報を収集し、もうかるPDCA型農業を実現する“クボタ スマート アグリシステム(KSAS)”を提供しており、収量・食味を数m単位で計測する精密センシング、ドローンの活用による圃場の状況に応じた追肥・農薬散布、水位センサーを用いた圃場水管理等に取り組んでいます。自動運転トラクタによる有人機・無人機の協調運転を実現し、完全無人化に向けた実証も進めます。アシストスーツ等も含め、アジアへの展開をめざしています。今後は、農地特有の状況をAIで精緻に分析するデジタル化に向け、幅広いオープンイノベーションを期待しています。」

次世代自動車の市場展望~CASE戦略のシナリオ~ カノラマジャパン(株)

関西支部 宮尾 健 代表取締役 宮尾 健 代表取締役より講演がありました。 「電動化は米中はじめ各国の動きが激しく、シフトは加速しており、当社は2030年の電動化率を7割と予測しています。中国は巨額の助成金でEVメーカーを育て、NEV規制で2019年から出荷10%超の電動化を義務づけました。2030年に1500万台の電動化を掲げ、バッテリーでも巨大な投資が進みます。当社では、バッテリーの量産化を背景に2023年に電動車とガソリン車の店頭価格が均衡すると予測しています。ADAS・自動運転の発展により部品需要は拡大します。車載カメラは1台あたりの搭載増もあり、大幅に増加。自動運転レベルの高度化により、LiDAR搭載や5Gの需要も急拡大するでしょう。IoTの浸透と、車の“所有”から“利用”への流れが、自動車産業のピラミッド構造を大きく変え、IT企業や、Mobility Companyへの変革を果たした企業が頂点を占めます。多様な領域間の連携なくして生き残り得ないことを認識する必要があります。」

今後期待できる主要市場とホシデンの取り組みについて ホシデン(株)

関西支部 中井保夫 執行役員 部品運営委員会を代表し、ホシデン(株)の中井保夫 執行役員より、注目する市場とその取り組みについて報告がありました。
「自動運転の進展で、自動車市場では一層の安全性・快適性が求められます。静電容量式タッチパネル技術を活用し、車載ディスプレイの大型化・曲面対応、インテリア性・操作性の向上によりニーズに応えてゆきます。データ転送の高速・大容量化に対応する小型コネクタ・ハーネス、マイク技術を活かした音声操作時のノイズ・振動対応や音声認識率向上、A2B技術による配線容易なデジタル・システムにも取り組んでいます。FA/Wearable/Health市場では、機器間接続、センサーによる見える化、機器の小型化がカギとなります。各用途に向けたbluetoothモジュール、音響技術を活かした異音検知、小型無接点充電器、バイタルモニタービーコン等の開発に取り組んでゆきます。」

Society 5.0の拡がりで注目が高まる自動車、FA・ロボット、農機の各業界から講演いただき、電子部品事業に期待する貴重なご意見も伺い、懇親会を含めて活発で有意義な情報交流の機会となりました。