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関西支部活動報告

5月度関西支部運営部会講演

関西支部では5月8日(水)の運営部会に(株)日本総合研究所・関西経済研究センター長の石川智久 氏を招き、「2020年代の関西経済について~2025年「以降」を見据えて」の題で講演を行いました。

関西支部 長年にわたり関西経済を巡る調査研究に携わられた講師から、その知見を踏まえ、たいへん熱の入った語り口でご講演いただきました。
「関西では、今秋のラグビーワールドカップを皮切りに、大阪・関西万博まで大きなイベントが相次ぎます。インフラも、先日はおおさか東線(新大阪~久宝寺)が全線開業し、23年には北梅田(仮称)駅が開業予定等、整備が進みます。これほど多くのイベント・プロジェクトが予定される地域は世界的に見ても多くありません。
万博は、関西ローカルの一イベントではなく、東京オリンピック・パラリンピック後にわが国の成長を持続させると共に東京一極集中を是正する、国全体に益する取り組みであり、その意義を広く発信してゆく必要があります。半年で3,000万人の来場が見込まれますが、年換算で6,000万人という数字は、ディズニーランド、ディズニーシー、USJを併せた規模に匹敵し、大きなポテンシャルを持つものです。
万博・IRの効果を最大化するためには、十分なアクセス網の整備が不可欠です。陸路はもちろんのこと、関西空港、神戸空港からの海上ルートも含め、広域かつ一体的に進める必要があります。穏やかな海に島の浮かぶ瀬戸内の風景は欧米人が大変好むもので、クルーズ船とのコラボを進めれば、より広範な経済効果が期待されます。
1970年の万博は“人類の進歩と調和”という理念にエンターテインメント性をうまく加味し、湯川秀樹や丹下健三から、当時30代の横尾忠則や和田誠まで、オールジャパンの人材を投入して成功しました。こうした点は今回も大いに見習わなければなりません。2025年は団塊の世代が後期高齢に達し(2025年問題)、わが国のIT産業が様々な課題に直面する(2025年の崖)時期にあたります。万博には、関西経済の復活と共に、こうした課題解決への貢献が求められます。特区の活用を含め、国の政策と十分に連携して進めて行かなければなりません。
IRについては、カジノばかりが注目されますが、その床面積はIR施設全体に対し3%が上限と政令で定められています。世界水準の会議場・展示場をはじめMICE関連施設を一体的に整備することで、宿泊・飲食・観光等、来場者への多様なサービス需要が生まれ、シンガポール等の先行事例を見ても、大きな経済効果をもたらすことは間違いありません。設置は当面、全国で3ヶ所に限られますが、2番目以降の指定獲得は競争激化が確実で、最初の指定を得ることが大変重要です。

講演の様子 講演の様子 これまでに2回の万博とG20を成功させた都市は、ロンドンしかありません。歴史と伝統に根差した豊富なコンテンツも活用し、国際的なMICE都市としての“大阪”ブランドを確立することは、2025年以降の中長期的成長につながるもので、関西全体が一丸となって取り組む必要があると考えています。」
質疑応答に加え、終了後の懇親会でも活発な情報交換が続き、関西経済の将来を考える大変有意義な機会となりました。