Activity
政策渉外部活動報告

責任ある鉱物調達への対応 責任ある鉱物調達調査説明会2019を開催

責任ある鉱物調達検討会では責任ある鉱物調達への理解を深めていただくため、サプライチェーンのメーカ等の担当者向けに説明会を今年も開催しました。

政策渉外部_1
政策渉外部_2

責任ある鉱物調達対応について

コンゴ民主共和国(DRC)および周辺9カ国で採掘される鉱物資源が、人権侵害、環境破壊等を引き起こしている武装勢力の資金源となっていることが懸念されています。これを受けて、2010年7月に米国金融規制改革法が成立し、1502条(紛争鉱物条項)で米国証券取引所に上場する製造業者等に対し、紛争鉱物(錫・タンタル・タングステン・金(略称:3TG))に関する米国証券取引委員会(SEC)への報告と情報開示を義務づけました。SEC上場企業は最終製品ができるまでのサプライチェーンを調査し、そのなかで製錬業者を特定しデュー・ディリジェンスを実施しています。デュー・ディリジェンスはRMI(Responsible Minerals Initiative旧CFSI)が提供する世界共通ツール「紛争鉱物報告テンプレート(CMRT)」を用いて実施されます。JEITAではこのRMIと連携し、CMRT等の策定に協力しています。また、2017年7月にEUで紛争鉱物規則が発効されました。この規則に基づき、EUに鉱物を輸入する事業者は2021年1月から3TGのデュー・ディリジェンスが義務化されます。

【紛争鉱物に関する欧米の規制】

アメリカ EU
発効日 2010年7月 ドッド・フランク法
2012年8月 SEC規則
2017年7月 発効
2021年1月 全面適用(デュー・ディリジェンス義務化)
対象者 米国上場の製造業者 EUに鉱物(鉱石・未加工金属)を輸入する企業
※部品・製品の状態で輸入している企業は対象外
対象リスク 武装勢力の資金源か否か OECD ANNEX II ベース(児童労働を含む人権侵害全般)
対象鉱物 スズ、タンタル、タングステン、金 スズ、タンタル、タングステン、金
対象地域 DRCおよび周辺国 紛争地域および高リスク地域(CAHRAs)
事業者が行うこと 1.3TG使用有無、原産国調査
2.サプライチェーンのデュー・ディリジェンス
3.年次報告書提出
1.サプライチェーンのデュー・ディリジェンス
2.年次報告書提出
3.各国による事後確認
今後の動き 現時点でも法律は有効 2019年末-2020年初旬 CAHRAsリストの公開 2019年中旬 川下向けの情報公開用プラットフォームの公開 2020年末 責任ある製錬所リストの公開

新たなリスクへの対応

RMIでは人力採掘における安全でない労働環境や児童労働に対する懸念が高まったことから、昨年より米国金融規制改革法のような法律・規制の対象ではないコバルトの調査を始動しています。また、今年1月からは新しい製錬所の監査基準によって、DRCおよび周辺国の紛争リスクからOECD デュー・ディリジェンス・ガイダンスAnnexⅡリスク※に準拠したリスクや地域を対象とした監査が開始しています。従来の武装勢力との関わりだけではない、新たなリスク・地域・鉱物への調査拡大の動きがあります。各企業は、サプライチェーンの「透明性」を高めるとともに、サプライチェーン関係者と協力をして、新たなリスクを含めた責任ある調達への対応が求められます。

説明会を開催

6月7日~21日、サプライチェーンのメーカ等の担当者を対象に東京、大阪、名古屋、仙台、福岡の全国5箇所全12回の説明会を開催し930名のご参加がありました。説明会では、企業が責任ある鉱物調達に取り組むべき理由や取り組み方、責任ある鉱物調達の最新動向や世界的なトレンドに関してご紹介しました。説明会終了後に、責任ある鉱物調達対応への一助となるよう個別相談も実施いたしました。

DVD 更に今年は、2018年ノーベル平和賞を受賞されたコンゴ民主共和国のデニ・ムクウェゲ医師の活動を描いたドキュメンタリー映画「女を修理する男」を同時上映しました。この映画は、同氏による性暴力被害者への献身的治療が主体ですが、背景にある「紛争鉱物」の実態にも触れています。併せて、東京大学 未来ビジョン研究センター 華井和代 講師によるビデオメッセージを紹介し、紛争鉱物地域で何が起きているかについても理解を深めて頂きました。

【開催実績】

都市 日程 時間 司会 第1部 講師 第2部 講師 参加
人数
東 京 6月7日(金) 10:00~11:30 日本航空電子工業(株) 京セラ(株) 住友電工デバイス・イノベーション(株) 107
13:10~14:40 TDK(株) 日本ケミコン(株) 富士通(株) 111
15:30~17:00 日本ケミコン(株) KOA(株) 日本航空電子工業(株) 101
6月10日(月) 10:00~11:30 住友電工デバイス・イノベーション(株) (株)東芝 (株)日立製作所 76
13:10~14:40 (株)日立製作所 (株)JVCケンウッド パイオニア(株) 110
15:30~17:00 アルプスアルパイン(株) (株)フジクラ 日本電気(株) 63
大 阪 6月13日(木) 10:30~12:00 パナソニック(株) (株)村田製作所 シャープ(株) 58
15:30~17:00 オムロン(株) 京セラ(株) ローム(株) 116
名古屋 6月14日(金) 10:30~12:00 (株)マキタ (株)村田製作所 ローム(株) 61
15:30~17:00 ローム(株) (株)マキタ コニカミノルタ(株) 73
仙 台 6月19日(水) 15:30~17:00 住友電工デバイス・イノベーション(株) TDK(株) 太陽誘電(株) 26
福 岡 6月21日(金) 15:30~17:00 (株)村田製作所 京セラ(株) パナソニック(株) 28
合 計 930

個別相談は、各司会と講師が対応するとともに、(一社)日本自動車部品工業会より東京会場では NOK(株)、日本発条(株)、矢崎総業(株)、名古屋会場ではアイシン精機(株)にもご協力いただきました。