Market
情報産業部市場動向

ITプラットフォーム市場動向および2018年度サーバ出荷実績

5月28日に、ITプラットフォーム市場動向および2018年度サーバ出荷実績に関する記者説明会を開催し、多数の方々が参加の下、以下の項目について報道関係者向けに発表しました。

情報産業部

ITユーザトレンド調査活動

ITプラットフォーム事業委員会では、1999年度からITプラットフォーム導入ユーザの動向をアンケート調査するとともに、その動向を発表しています。
ITユーザトレンド調査からは、以下のことがわかりました。

  1. 2018年度のIT投資は増加しており、この傾向は2019年度も続く見込みとなっております。
  2. サーバ統合、仮想化が進む一方で、クラウド化が更に進展すると思われます。
  3. IoT/ビッグデータ/AIの活用は注目度、取り組み度ともに「業務の効率化」の目的の下に徐々に高まっています。また、 RPA(Robotic Process Automation)も、高い注目度となっています。
  4. 業務部門によるIT投資が増える傾向にあります。部門独自のITシステム導入では、情報システム部門と連携して導入することが求められており、当業界のベンダ企業もその一翼を担うことが必要と感じています。今後はこのようなニーズを捉えた活動も重要となると考えられます。

【IoT/ビッグデータ/AIの5年後の活用予測】

IoT/ビッグデータ/AIの5年後の活用予測

2018年度サーバ出荷実績

2018年度 総出荷実績

需要の中心であるIAサーバは、金額で上半期、下半期ともに前年を上回り、年度でも前年度を上回りました。
UNIXサーバは、金額で上半期、下半期、年度ともに前年を下回りましたが、台数では上半期、下半期、年度ともに前年を上回りました。
メインフレ-ムコンピュータは、下半期は台数・金額ともに前年を上回りましたが、上半期、年度では台数、金額ともに前年を下回りました。

【2018年度 総出荷実績】

総出荷 2018年度上半期 2018年度下半期 2018年度
前同比 前同比 前年度比
IAサーバ 台数 116,526 94% 134,809 95% 251,335 95%
金額 98,556 112% 115,750 108% 214,306 110%
UNIXサーバ 台数 1,985 105% 2,147 115% 4,132 110%
金額 22,864 97% 20,490 93% 43,354 95%
メインフレーム
コンピュータ
台数 104 84% 99 104% 203 93%
金額 13,030 57% 17,342 106% 30,372 78%

IAサーバの単価推移

IAサーバは、全体で6.58%の単価上昇であり、特にミッドレンジクラス(6.87%)が牽引しています。
金額ベースの機種構成は上位機へシフトしている傾向にあります(表1)。

2019年度以降の見通しについて

グローバル市場の不透明感はありますが、国内経済は、2020年に向けたインフラ投資やセキュリティ対応強化、超高齢化社会を見据えた働き方改革の推進など、需要拡大の兆しが見えています。
今後は、IoTの進展によるビッグデータの高速処理・解析、人工知能(AI)を取り込んだ更なる生産性向上や価値創造の動きなど、Society 5.0(超スマート社会)への変革が求められています。
これらの動きに対応した下記の分野・領域において、ITプラットフォームの更なる需要拡大が期待できます。

  1. クラウドを活用したシステム・サ-ビスの拡大に対応するデータセンター構築・増強
  2. 社会や市場からの要請による、高度なサイバーセキュリティへの対応。
  3. システム運用効率化に向けたサーバ統合・仮想化からシステム統合への取り組み拡大。
  4. 企業内ユーザ部門での利用拡大に伴う新たなサーバの導入。
  5. 5Gなど通信インフラの整備やIoTデバイスの浸透に伴うデータ量の増加など市場変化への対応。
  6. ビッグデータの高速解析や人工知能(AI)による新たな価値創造への取り組み。
  7. 働き方改革に伴う、業務自動化(RPA)などのITを用した企業の生産性向上に向けた取り組み。

サーバの年間総消費電力量に関する試算

2018年度のサーバの年間総消費電力量に関する試算

同事業委員会傘下のプラットフォームグリーンIT専門委員会では、自主統計を発表しているサーバ出荷台数と、省エネルギー効率化把握のために求めているサーバ定格電力を基準として、サーバの年間総消費電力量の推定値をまとめています。
今回、2001年度から2018年度までのサーバ出荷台数に基づく推定値と、2021年度までの予測値をまとめました。
2018年度は72億kwhの試算結果となりました。2017年度と比べ、2億kwh増となりました。物理サーバ1台当りの年間消費電力量は増える傾向にあり、IAサーバの中位機クラスが仮想化用途で高機能化して、平均定格電力が大きくなっているためと推定されます。ただし、仮想化システムの普及に伴い、論理サーバ1台当たりの電力量は減少傾向にあると推定されます(表2)。

【表1:IAサーバの単価推移】

IAサーバ単価の年度推移 13年度(金額構成比) 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度(金額構成比) CAGR(13年〜18年)
L2(300万円以上) 12.16 6.2% 9.06 11 11.10 12.90 13.05 7.4% 1.43%
L1(100〜300万円未満) 1.82 12.3% 2.03 1.99 1.31 2.14 2.13 20.2% 3.15&
M(50〜100万円未満) 0.84 40.6% 1 1.2 1.17 1.16 1.17 40.2% 6.87%
S(50万円未満) 0.39 40.9% 0.42 0.4 0.41 0.41 0.49 32.2% 4.57%
S2(25〜50万円未満) 0.48 - 0.5 0.48 0.47 0.47 0.55 - 2.71%
S1(25万円未満) 0.28 - 0.33 0.28 0.30 0.26 0.29 - 0.43%
全体 0.62 100% 0.69 0.71 0.71 0.74 0.85 100% 6.58%

【表2:国内サーバ年間総電力量(推計/推移)】

表2:国内サーバ年間総電力量(推計/推移)