業界横断ビジネスの創出
-JEITA共創プログラム-
Society 5.0実現のためには、様々な産業・業種の先進的な取り組みを掛け合わせた「共創」により、社会課題解決を図ることが重要です。特にCPS/IoTには大きな期待が寄せられており、テクノロジーを活用した新たなサービスの展開が求められています。JEITAでは、より広範な社会課題解決と新産業創出による経済発展を促すべく、業界の枠を超えた共創を実現し、新たなビジネス創出をめざす「共創プログラム」の取り組みを2018年に開始しました。
ALAN(Aqua Local Area Network)
コンソーシアム
ALANコンソーシアムは、第1回JEITAベンチャー賞の受賞企業である株式会社トリマティスからの提案に基づき2018年6月21日に設立された、水中光技術で日本が世界をリードしていくことを目的としたコンソーシアムであり、「共創プログラム」による第1弾の取り組みです。
活動のコンセプトと背景
近年のAI技術・ICTの急速な発展の波は、陸上のみならず、海中にも押し寄せています。海中を代表とする水中環境を一つのLocal Area Networkと位置付け、水中環境を一つの生活圏と考えた場合、陸上や空間に準じた光応用技術の駆使が不可欠です。
光応用技術は、国内においても10年以上も前から行われていますが、水中レーザ探査技術では後発の米国に先を越されているという見方もあります。また、国内では開発者も利用者も海中光技術について個別に検討を行っている状況でした。
こうした中、材料、デバイス、機器、システム、ネットワーク(伝搬路を含む)などの技術・開発企業や研究機関、また、関係するユーザ企業等との意見交換を通じ、水中環境における課題やニーズ等を整理し、共有するために設立したのがALANコンソーシアムです。
現在はメーカー7社、国立研究開発法人3団体および9大学がメンバーとなって活動しています。
【ALANコンソーシアムがめざす3年後のイメージ】
コンソーシアムがめざす課題解決とビジネス創出
ALANコンソーシアムでは、下記のような新ビジネスの創出・社会課題の解決を実現することを目標に活動しています。
海底地形・水中構造物研調査
海底地形図の作成や水中構造物の点検等が容易となり、日本のインフラ維持に貢献します。
水中モニタリング
海沿岸施設や海岸線の監視に加え、養殖施設における魚の成長管理が可能となります。また、水中ロボットからの映像を陸上で視聴する「VR水族館」が実現可能とします。
海洋エネルギー調査
日本近海に賦存が期待されている海中エネルギー資源の探査効率を改善することにより、エネルギー・資源不足という課題解決に貢献します。
発足以降の活動の振り返りと今後の運営
CEATEC JAPAN 2018におけるブースの様子
2018年6月に発足して以来、委員会で活動方針等を議論するのに加え、外部に対して活動を積極的にアピールするため、設立記念フォーラムの開催や10月のCEATEC JAPAN 2018でのブース展示やコンファレンスを開催しました。非常に多くの見学者・聴講者にお集まりいただき、関心の高さを感じることが出来ました。
また、これまでは、フォーラム等で現在の技術状況や数年後の未来像を発信してきましたが、今後は直近の出口イメージを描いて活動していきます。特に来年度のテーマの一つは「水中の可視化・水中の見える化」です。本テーマを推進すべく、メンバーによるコンソーシアム発の具体化プロジェクトが来年度以降に展開される予定です。こちらはコンソーシアムメンバー間での情報・テーマ共有を実施の上ブラッシュアップを行い、本コンソーシアム内で実証実験等を行うことを想定しています。
さらに、本プロジェクトに起因する、他メンバーからの新プロジェクト・派生プロジェクトの発生促進を図ることにより、共創を促進していきます。
ヘルスケアプロジェクトの検討を開始
ALANコンソーシアムに続く共創の取り組みは他の分野でも始まっており、その一つが「ヘルスケアプロジェクト」です。 高齢化の進む日本においては、医療費の増加や介護人材不足といった様々な社会課題が生じています。これらの社会課題解決のためには、単一の企業・業界だけではなく、複数の産業界が協力した多角的なアプローチが必要となります。 JEITAでは、医療機器を中心に事業を展開するヘルスケアインダストリ部会参加企業を中心に、2018年度に「ヘルスケアプロジェクト準備会」を発足、介護サービス事業者である損害保険ジャパン日本興亜株式会社や綜合警備保障株式会社と連携し、社会課題解決に必要なサービスの在り方について検討を開始しました。 2018年度は、生活データ利活用による在宅高齢者向けの新サービス創出をテーマに、介護サービス事業者が求めるデータ、データ取得に必要なデバイス、ならびに様々なデバイスからデータを取得し連携する仕組みについて議論を行いました。 2019年度はより議論を発展させ、実際に在宅高齢者向けのサービスを立案、必要に応じより広くJEITA内外の事業者の参画も促し、また政策との連携も推進しながら実証実施をめざします。 更に実証の結果を踏まえ、2020年度以降は各サービス事業者を中心にした新サービスの市場投入も計画し、社会課題解決に資する取り組みを継続していきます。
共創プログラムの今後
共創プログラムは、社会課題解決に資するあらゆる活動を視野に進めていく予定です。IT・エレクトロニクス業界のみならず、他産業の企業をも巻き込んだプロジェクトの創出はもちろん、ガイドライン等の作成や規制改革要望といった政策提言の作成など、IT・エレクトロニクス業界とあらゆる産業界の連携により、Society 5.0社会の実現をめざしていきます。
取り組みたい事業(プロジェクト)や、事業者・地域、行政とのマッチング希望、規制改革要望といったご相談がありましたら、ぜひJEITA事務局へお寄せください。
また、地方創生をテーマに、自治体等からのニーズに関する相談窓口を事務局内に設置し、関係省庁へアプローチしております。今後、地方創生プロジェクトの創出をめざして活動してまいりますので、引き続き、皆さまから「共創プログラム」へのご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。
お問い
合わせ
TEL:03-6268-0003 (JEITA IoT事業推進部 担当:池田・遠藤・山田)
E-mail :
hiroshi.ikeda@jeita.or.jp
koki.endo@jeita.or.jp
hisashi.yamada@jeita.or.jp
【共創プログラムのフレームワークモデル例】