「JEITAベンチャー賞」受賞3社が決定
-Society 5.0の実現に向けた、ベンチャー企業との共創・連携を促進-
電子情報技術産業協会では(JEITA)ではSociety 5.0の推進、およびCPS/IoTの社会実装による新たなビジネスの創出によって、IT・エレクトロニクス業界をさらに発展させることをめざし、事業を展開しており、その取り組みの一環として、今般、第4回JEITAベンチャー賞が選考されました。
JEITAベンチャー賞は、IT・エレクトロニクス業界の発展に繋がるベンチャー企業を支援するとともに、JEITA会員企業とスタートアップ(優良ベンチャー)企業との共創・連携・エコシステムの構築支援を目的に2016年に創設されたものです。選考に当たっては、製品・サービスが「成長性・先導性」を有していること、標準化・社会実装等を通じて、様々な企業等に利用されるなど、大きな「波及効果」が考えられること、国内における社会課題の解決への貢献しうる「社会性」を持つことの3点を選定基準とし、学識経験者等で構成するJEITAベンチャー賞審査委員会において、電子情報技術産業の総合的な発展、経済発展に貢献しうるベンチャー企業を審査・選考し、表彰するものです。
第4回JEITAベンチャー賞では、昨年の12月10日から本年2月1日まで約1カ月半にわたり募集をした後、数件の海外ベンチャーを含む多数の推薦をいただきました。厳正な審査の結果、アイオーコア株式会社、株式会社AI Samurai、株式会社ナノルクスの3社の受賞が決定し、平成31年3月26日に開催された表彰式でJEITA柵山会長より表彰状と盾が贈呈されました。
表彰式では審査委員長を務めた、東京大学 荒川特任教授より「過去3回で表彰させていただいた企業が成長されていることを審査委員長として嬉しく思っている。ベンチャー企業に対する社会からの期待はますます大きくなっていると感じている。皆様も技術的な優位性を大いに活かし、JEITAの会員企業をはじめとする多くのパートナーと共創を進めていただきたい。」と講評がありました。また、JEITA柵山会長からは「JEITAが持つリソースやネットワークをフルに活用して、事業の飛躍に繋げていただきたい。皆様が持つ技術やソリューションを基に、広範な分野で社会の課題解決に貢献されることを大いに期待している。」と挨拶がありました。
受賞した3社のベンチャー企業は、JEITAホームページ等で紹介するとともに、Society 5.0の実現をめざすCPS/IoT総合展「CEATEC」への出展やJEITAが主催するシンポジウムやセミナーなどへの登壇、さらにはJEITA会員企業との交流支援などの特典が授与されます。特に、JEITA会員企業との交流支援については、今後、受賞企業を対象とした「JEITAマッチングイベント」などを実施し、今まで以上に取り組みを推進していく予定です。なお、受賞企業がJEITAへの入会を希望する場合は、「ベンチャー優遇特例制度」(JEITAベンチャー賞を受賞した企業等が正会員として新規に入会する場合、申請により協会会費の負担を2年間免除する仕組み)を活用することができます。これまでの受賞企業のうち、現在9社がベンチャー優遇特例制度を利用してJEITAの正会員として活動しており、その中には、新たな産業の可能性を探る活動を支援する制度「JEITA共創プログラム」を活用して、コンソーシアムの設立を主導した企業もあります。
今後もJEITAはSociety 5.0およびCPS/IoTの社会実装をさらに推進していくことで、わが国が直面する社会的課題の解決と新たなビジネスの創出をめざしてまいります。また、JEITAベンチャー賞もより一層の発展をめざし、応募企業の更なる充実を図るために推薦団体の拡大の検討等を進めていきます。今後もJEITAベンチャー賞へのご理解とご支援を頂けますよう、よろしくお願いいたします。
アイオーコア株式会社
審査評価
アイオーコア(株)は、かつてない小型、高速かつ省電力のオンボード型光トランシーバ“光I/Oコア”を開発し、今年度からユーザにサンプル出荷を開始しています。光I/Oコアは100Gbpsという高速かつ大容量の情報転送が可能な世界最小の5㎜角モジュールであり、将来は400Gbpsまで性能向上できる拡張性を有しています。光I/Oコアは、データセンター内のサーバラック間あるいはサーバボード間の情報伝送への実装されるものであり、広範囲な適用性と多様なメリットが考えられることから、今後さらに発展する情報化社会を下支えする重要な基盤集積モジュールとして期待されます。
株式会社AI Samurai
審査評価
(株)AI Samuraiは、AI(人工知能)を搭載した特許審査シミュレーション・システムを開発、実用サービスの提供を開始しました。本システムは、米国および日本の特許データベースと照合し、出願前の特許の類似文献を調査し、当該特許の登録可否を自動判定するものです。研究開発者にとって重荷だった特許出願時の類似文献調査の負荷を大幅に低減することにより、発明者はより創造的な研究活動に専念することがでるようになり、多くの研究開発者の手助けになることが期待できます。
株式会社ナノルクス
審査評価
(株)ナノルクスは、産総研で開発された赤外線カラー暗視技術を事業展開しています。従来はモノクロのみであった赤外線暗視カメラの取得画像の近赤外分光スペクトルに着目し、本来の可視光スペクトルとの相関を見出し、それを分析・学習することで、近赤外スペクトル画像をカラー映像化することを可能にしたものです。現在、監視カメラ、防犯カメラ、見守りカメラとして商品展開しており、ヘルスケア、個体認証、環境センシングなどへの応用も期待できます。