活動報告
情報・産業システム部
Activity

JEITA 働き方×ITアイデアソン
~AI時代の豊かな暮らしの実現に向けて~ 実施報告

ソフトウェア事業委員会/ソフトウェア事業戦略専門委員会では、日本のIT関連産業のグローバル市場における競争力を分析し、市場競争力の向上に向けて、我が国における情報利活用の現状や課題等について調査・検討を進めております。2050年頃を見据えたあるべき姿として「Society 5.0」(超スマート社会)を掲げ、その実現に向けた取り組みを進めております。Society 5.0実現に向けた重要な課題として、少子高齢化に伴う労働人口の減少、生産性の停滞、人口減少時代に適応したライフスタイルの転換等への対応が必要であると指摘されております。
そこで、課題解決を模索すべく、働き方改革に焦点をあて、2018年11月5日に、ITの活用により働き方をどのように変革させることができるのかを検討・考える場として、アイデアソンを実施しました。当日は、様々なアイデアやご意見等を伺うことができ、当専門委員会の事業推進に非常に有益であり、成功裏に終えることができました。詳細につきましては、JEITA 情報・産業システム部会ホームページにてご参照いただけますが、以下概要を報告します。

①特別講演

「サイボウズはいかにして100人100通りの働き方ができる会社になったか」

講師:青野 誠 氏
(サイボウズ株式会社 人事部 副部長 兼 チームワーク総研 研究員)

青野氏から会社内の従業員の多様な個性や働き方への希望を尊重するための仕組みについての講演が行われました。同社の離職率が上昇したことを受け、2005年に人事制度の方針の見直しを行い、段階的に制度や風土作りに取り組み、「100人いれば100通りの働き方」があってよいと考え、従業員一人ひとりの個性が違うことを前提に、それぞれが望む働き方や報酬制度を実現するための仕組みを整備してきた経緯を説明いただきました。自社働き方の仕組みを考える上で、「ツール」「制度」に加え、それを使う従業員やチームが生み出す「風土」の3つに着目して働き方の取り組みの事例を講演いただきました。働き方の取り組みを実際に行った結果、同社における離職率は大きく減少したほか、優秀な人材の確保、柔軟な組織や人事の実現等に繋げることができたことをご紹介いただきました。

②参加者によるグループディスカッション

③成果発表

特別講演の後、4つのグループに分かれ、未来の労働のあり方や、働き方改革を効果的に支援するITツールのアイデア等について議論を行いました。各グループの議論にて議論された「ITを活用した働き方の理想像」や「働き方を支援するためのIT活用」は以下の通りです。

■グループA
サービス名:ライフキャリアコンシェルジュサービス

人生100年時代においてより長く働くことを可能とするコンセプト「Linked 100」を提案しました。

■グループB
サービス名:ワークライフバランス(イキイキワクワクシステム)

従業員(労働者)にとって、ワークライフバランスや適切な収入を「Gain」として提供し、 単純作業等による「Pain」を除くことが重要と考え、それらを実現するために、働き方に対する従業員個人の希望を出来る限り叶えることで、「うれしさ」を見出せるように企業を支援するITサービスを提案しました。

■グループC
サービス名:コミュニケーションツールを使った評価分析

多様な働き方を希望する従業員同士が認め合うことができる風土の醸成を目指し、他人からの感謝や他人へ与えた感動の度合いを定量化した指標(いいね)を適用するという新たな人事評価の仕組みを提案しました。

■グループD
サービス名:SuGuRu ~個人を最大限サポートします!!~

従業員個人の働き方の支援を通し、個人の幸福度向上および企業の生産性向上、産業の活性化を目指すデータベース型サービスを提案しました。

④審査結果

■グループA

実現したら是非活用したいと思わせるシステムと感じました。実現するとすれば、公営の仕組みとなるのではないかと考えます。また、比較的若い世代が「自分が100歳になったら何をするか」について、検討する機会を得るのは重要だと考えます。

■グループB(特別賞)

サービス案について、「PLAN」、「DO」、「SEE」の枠組みで具体的な機能が検討されていた点は非常に説得力があります。「SEE(評価システム)」に関しては、どのような評価軸が最適なのかなど、検討するとより良い仕組みになるのではないかと考えております。

■グループC(優勝)

他人からの感謝や感動を表すデータに着目した点は斬新だと思います。従来の評価軸はそのままに、従業員のバイタル情報や表情から感謝・感動の度合いを収集し、評価システムに適用するアイデアはとても興味深いアイデアでした。

■グループD

SuGuRuシステムは実現性が高く、「個人」、「会社」に関連したデータの収集・分析のサービスはすぐにでも実装できる仕組みではないかと思っております。また、「世の中」の観点は他チームにはない斬新なアイデアだと感じております。