活動報告
標準化センター
Activity

IEC TC100釜山会議報告

本年10月15日(月)~19日(金)韓国・釜山のBEXCOにて、IEC(国際電気標準会議)TC100(AV・マルチメディア、システムおよび機器)および傘下グループの会議が開催され、活発な審議が行われました。その中から、いくつかの重要な議案について紹介します。

TC100概要
IEC TC100(AV・マルチメディア、システムおよび機器):1995年10月に設立2004 年1 月より日本が幹事国を務めており、現在、国際幹事:由雄(パイオニア)、国際副幹事:佐久間(東芝)、寺崎(パナソニック)、Pメンバー(投票権を持つ国):21カ国、Oメンバー(オブザーバーの国):23カ国、傘下に14のTA(Technical Area)がある。なお、TC100の受託審議団体はJEITAであり、TC100国内委員会を運営しています。


  • 会議会場BEXCO

  • TC100総会

A.各TA会議とその規格化

①TA4:Digital system interfaces and protocols

大幅なスコープ変更を決議、従来のオーディオインタフェース中心から、ビデオ、ハプティク、センサーインタフェースへと変更。オーディオプロジェクトはTA 20へ移管。

②TA15: Wireless Power Transfer(WPT)

韓国から持ち込まれているSpacial WPT、エネルギー効率、RF帯を用いたIoTセンサーへの給電プロトコル、スマホどうしの給電などを議論しました。

③TA18: Multimedia home systems and applications for end-user networks

旧TA8と旧TA14が統合し、初めての会合を開催。幹事国提案によるFast Track法を活用したUSB-IFのAudio関連の規格化等を進めました。

④TA20: Analogue and digital audio

2018年9月にTA20設立後初めての会議。アナログレコード規格メンテナンス推奨、ハイレゾヘッドホン測定規格はCD投票へ移行。

B.新規提案

①振動応用システムの振動信号伝送

鎌本氏(NTT)より、触覚振動信号を映像・音声などのマルチメディアコンテンツと同期して伝送するインタフェースのサポートをPT 60958-5プロジェクトに追加する提案がありました。触覚振動信号は音声信号に似ているため既存の音声伝送方式を活用できます。

②触覚、振動関係の規格化

篠田教授(東京大学)より、TC100マルチメディアの一分野である触覚、振動に関し、分野全体の説明があり、審議の結果、今後、用語の整理、技術・デバイス・評価手法の分類、想定される規格化項目の検討を行い、Technical Report(TR)を作成していくことになりました。

③フィルムスピーカの測定法

Chong氏(サムソン電子)より、携帯電話に貼るフィルムスピーカの測定法に関する提案があり、審議の結果、次回5月開催のTA20ロンドン会議にて、審議することになりました。なお、来年には、LGが大型テレビ版Display Speaker測定法を提案する予定。

④マルチドメインオーディオ/ビデオ検出装置

Ahn氏(韓国ETRI)よりAVセンシング機器とシステムの信号プロトコルの提案がありTA 4で検討を行うこととし、TA 4はPWIを発足することとしました。

⑤記録媒体用新ファイルフォーマット

ECMA TC31山下氏(日立)より先回に続き新ファイルフォーマット検討の報告があった、本件はTC100と協同規格開発が提案されていたが、TC100側はさらにエキスパートを募集することとしました。

⑥ディスプレイシステムの視覚的快適性

Zhao氏(中国)より主に教室で使うディスプレイと表示の品質と生徒に対する効果の検討が提案され、AGSのStudy sessionを発足し検討することとしました。

⑦音声認識に関連する因子の分類と定義

Zhao氏(中国)より一般的になってきた音声認識機能の評価のためまずシステムを特定する提案があり、AGSのStudy sessionを発足し検討することとしました。

C.IECトーマス・エジソン賞

TA2(色彩測定およびカラーマネジメント)で10年以上にわたりTAM(議長)を努められている杉浦博明氏がこれまでの功績により、IECトーマス・エジソン賞を受賞しました。

ートーマス・エジソン賞ー
国際電気標準会議(IEC)の技術活動に関連し、特にTC/SCの幹事・議長等、TC/SCや認証システムの運営に焦点を当て、当該分野での多大な貢献・業績を挙げた個人に対する表彰として2010年に設立された。

トーマス・エジソン賞を受賞した杉浦氏

D.今後の予定

TC100国際幹事より、今後の予定について、下記のような説明がありました。
・2019年 5月:AGS/AGM会議:英国・ロンドン
・2019年10月:Plenary会議:中国・上海
・2020年 5月:AGS/AGM会議:日本・高松


Felland 国際議長、由雄国際幹事、Siket IEC事務局