活動報告
標準化センター
Activity

IEC TC111釜山会議報告

本年10月22日(月)~26日(金)韓国・釜山のBEXCOにて、IEC(国際電気標準会議)TC111(電気・電子機器、システムの環境規格)の総会および傘下グループの会議が開催され、活発な審議が行われました。その中から、いくつかの重要な議案について紹介します。

TC111概要
IEC TC111(電気・電子機器、システムの環境規格):2004年10月に設立。設立時より日本が国際議長を務めており、現在、幹事国はイタリア、国際議長:フランス、国際副議長:竹中(日立ハイテクノロジーズ)、Pメンバー(投票権を持つ国):25カ国、Oメンバー (オブザーバーの国):12カ国、傘下に8っつのWG(Working Group)・PT(Project Team)がある。なお、TC111の受託審議団体はJEITAであり、TC111国内委員会を運営しています。


  • 韓国 釜山市の風景

  • IEC General Meeting会議場外景

A.MT62474(VT62474)

①IEC 62474「電気・電子製品及び電気・電子業界のためのマテリアルデクラレーション」規格とは

電気・電子業界およびその製品に関するマテリアル・デクラレーションに関連した手順、各種データーベースおよびフォーマットについて規定しています。IEC 62474により規定された「申告対象物質・物質群」などを記載するIEC 62474DSLはVT62474により維持管理されています。
この申告対象物質・物質群等を収載したIEC 62474 DSLリストはクラス1,2,3として規定される3つの選定基準で構成され、ジョイント・インダストリー・ガイドライン(JIG)等をもとに作成されました。
VT62474は、関連法規制の改正などを年2回定期的にIEC 62474データベースに反映すると同時に必要に応じて年数回非定期に更新しています。
このIEC 62474規格は2012年に1.0版が発行され、電気・電子製品分野における製品含有化学物質の情報開示の基準となることで、これまでサプライヤーを悩ませてきた個別企業独自の基準や書式での情報提供要求を抑制し、国際的に共通化された伝達手段への移行を促す効果を上げてきました。2018年11月30日に発行されたIEC 62474規格2.0版は、1.0版発行後の標準化促進の過程で要望された各国産業界の意見を幅広く取り入れる事で、より汎用性の高い国際規格とする事を目指しています。MT62474は、このIEC 62474規格2.0版の開発を担った国際標準化組織であり引き続きIEC 62474規格2.0版に対するAmendment 1およびTRの開発を行っています。

②釜山会議での議論

<MT62474>

10月12日のFDIS投票の結果、P-Membersの88.9%の賛同を得る事に成功し、ISへの移行が承認されました(ISは2018年11月30日発行)。
また釜山会議での各国コメントを反映した「Amendment 1 for IEC 62474 ed2.0 2018」の開発と、IEC 62474 ed2.0 2018に対するTechnical Report(TR)の開発を継続して担うこととなりました。

<VT62474>

釜山会議では審議の結果、以下についての承認をしました。
(1)Exemption listの基本仕様と発行
(2)Material Classes Listの基本仕様と発行
(3)IS 用XML schemaの基本仕様と発行
(4)改定物質リストD17発行日程。
(5)DSLにおける2つの新data fieldsの追加
その他多くの案件が議論され11月1日以降の定例国際Web会議により継続審議されています

B.環境配慮設計(ECD)分野の国際標準規格開発

①IEC/ISO JWG ECD環境配慮設計とは

IEC TC111は、2009年にIEC 62430(JIS C 9910)「電気・電子製品の環境配慮設計」を発行しています。本規格は、ライフサイクルを通じた環境側面とその影響を評価・改善していく「環境配慮設計の原則および、商品企画の段階から概念設計、詳細設計、試作などの各段階で考慮しなければならない要求事項」を規定しています。
その上で、どのような製品・サービスであっても、その環境配慮はサプライチェーン(バリューチェーン)全体で取り組まざるを得ず、電気・電子製品の範囲だけに閉じておくものではないことから、このIEC 62430を踏まえて、環境配慮設計に関するISOとIECのダブルロゴ国際標準規格(あらゆる組織、製品およびサービスに適用できる「環境配慮設計の原則、要求事項およびガイダンス」)を開発するプロジェクトとして、JWG ECDの活動が開始されています。

②釜山会議での議論

各国へのCDV(Vote on Committee Draft)/DIS(Vote on Draft International standard)投票の結果、IEC/ISO共に大多数の賛成を得ました。従って、次のステップとして、最終段階であるFDIS(Final Draft International standard)の発行に向けて準備を進めることが確認されました。

C.IEC 62321(電気電子製品中の有害物質における試験方法)

①IEC 62321とは

IEC 62321は、IEC TC111/WG3(含有化学物質等測定方法)にて、2008年12月に電気電子機器-6種類(鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビフェニル、ポリ臭化ジフェニルエーテル)のRoHS指令対応規制物質の試験法規格として発行されました。その後、REACH規則など拡大する環境規制に対応するため追加物質に対するメンテナンス性の向上,ユーザーメリットを考慮し、2013年に分冊化されました。現在以下のように試料のサンプリング方法や物質ごとの試験方法を記載し、Part 8まで発行されています。
(1)試料のサンプリング方法
(2)蛍光X線によるスクリーニング方法
(3)石英管燃焼法イオンクロマト(F, Cl, Br, I)
(4)水銀の試験方法
(5)鉛、カドミウムの試験方法
(6)特定臭素系難燃剤の試験方法
(7)六価クロムの試験方法
(8)フタル酸エステル類の試験方法

②釜山会議での議論

釜山会議では、以下の試験法について審議されました。
(1)石英管燃焼法イオンクロマト(F, Cl, Br, I)
(2)臭素系難燃剤/フタル酸エステル類同時スクリーニング方法
(3)HBCDD試験法
(4)芳香族炭化水素(PAH)試験法
いずれの方法も共同実験が進み、今後CDV(Vote on Committee Draft)やFDIS(Vote on Draft International standard)投票へ進みます。
また、2019年に施行されるRoHS2でのフタル酸エステル禁止に伴い、日本から新たなフタル酸スクリーニング法、中国から臭素系難燃剤/フタル酸エステル同時定量法など各国から新規提案が行われました。更に、化学物質試験法に関するISOとIECのダブルロゴ国際標準規格を目指し、有機リン系難燃剤(TCEP)を最初のプロジェクトとして、今後検討を進めています。

D.その他

①AHG13・循環経済(Circular economy)

韓国からの提案を受けて設立されたアドホックグループは、循環経済(Circular economy)分野に関連した標準化ニーズ等の基礎調査を進めてきました。釜山会議では、今後、JWG ECDと共同で電気電子製品のCircularity Designに関するTR開発の提案を作成し、TC111で審議・検討していくことになりました。

②ローハロゲンの定義策定(PT63031)

2018年5月にローハロゲンの定義策定のプロジェクトの取り下げが決定したことを受け、JS709 Bを基にしたPAS63015についても、釜山会議にて取り下げることを決定しました。

③環境性能基準(環境ラベル基準)(PT63212)

中国からの提案を受けて設立されたアドホックグループは、環境性能基準(環境ラベル基準)の国際整合に関連した標準化ニーズ等の基礎調査を進めてきました。釜山会議では、調査結果のTR発行が確認されました。

④Type III 環境宣言についての電気電子製品の製品カテゴリールール(PCR)のフィージビリティスタディ

釜山会議では、中国から、Type III環境宣言の電気電子製品に共通する製品カテゴリールールに関する文書作成の提案がありました。TC111では、今後、中国から正式なNP提案があることを踏まえ、アドホックグループの設立および、現状の調査を含む文書作成の可能性を調査していくことが決定されました。


TC111総会